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「SFみたい」「カッコいい」――ネットで反響“球体ドローン”、生みの親が貫く信念

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2019年05月22日 05:11  ITmedia NEWS

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写真NTTドコモの研究者・山田渉さんが開発した「浮遊球体ドローンディスプレイ」
NTTドコモの研究者・山田渉さんが開発した「浮遊球体ドローンディスプレイ」

 丸いボディーに映像を表示しながら飛行できる「浮遊球体ドローンディスプレイ」、プロペラがなくても空を飛べる「羽根がないドローン」――。NTTドコモには、他に類を見ない“飛行物体”を生み出し続ける1人の研究者がいる。



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 その研究者は、同社の山田渉さん(先進技術研究所 社会センシング研究グループ)。「サイエンスフィクション(SF)をサイエンスにする」をモットーとして掲げ、学生時代からモノづくりに取り組んできた。



 山田さんは浮遊球体ドローンディスプレイを2017年春、羽根がないドローンを19年春に発表。ドローンらしからぬ丸いフォルムと独創的なコンセプトが注目され、いずれもSNS上で「カッコいい」「面白い」「SFみたいだ」などと話題に。イベント「ニコニコ超会議」に出展すると、ドコモブースは多くの来場者でにぎわった。



 山田さんはドコモでは、ドローンの他、装着すると没入感の高いVR映像を視聴できる「超広視野角VRゴーグル」など、ジャンルにこだわらず先進的なモノづくりを担当。研究内容を論文にまとめて国際学会でも発表している。プライベートでも、ハッカソンに出場して賞を獲得するなど精力的に活動している。



●ドローンやコンピュータと人間、どうすればうまく関われるのか



 山田さんの研究・開発のモチベーションになっているのが、「ドローンやコンピュータと人間が、うまく関わり合う方法を考え出したい」という使命感だ。



 例えば、ドローンは以前から宅配などでの活用が期待されているものの、飛行音の大きさや人への衝突が懸念され、広く普及するには至っていない。皇居や寺社仏閣の上空にドローンを飛ばす迷惑行為もたびたび起こり、ドローンにマイナスイメージを持つ人も少なくない。



 そんな中でも、柔軟な発想を持ち、構造を工夫すれば、ドローンは人間のよい“相棒”として広まるかもしれない。「ドローンが飛び回って音楽ライブやスポーツイベントを盛り上げたり、道に迷っている人を見つけ出し、フワフワ飛びながら案内したりしてもいい。工場の点検などをドローンに任せてもいいですよね」と山田さんは目を輝かせながら話す。



●ドコモと大学院博士課程の“二足のわらじ”



 こうしたアイデアは、もしかすると「SFの世界じゃあるまいし、無理だよ」と実現可能性を疑う人がいるかもしれない。だが山田さんは、これらを現実のものとするため、ドコモでの仕事と並行し、東京大学大学院の博士課程にも在籍。



 「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション」(人間とコンピュータの快適な関係)研究の第一人者として知られる暦本純一教授のゼミで学び、SFに登場しそうなモノをひらめくセンスと、それを実現する技術力に磨きをかけてきた。



 「いきなりいいモノをつくることはできません。暦本教授やドコモの先輩に教えを乞いながら、地道な検証を繰り返す作業の積み重ねが、発想の源になっています」(山田さん)



●斬新な“球体ドローン”が飛ぶ仕組みとは



 そんな山田さんが努力の末に考え出した、2つのドローンの構造は次の通りだ。



 浮遊球体ドローンディスプレイは、サッカーボール状に並べた金属製のフレームに、細かくLEDを配置。フレームの内部には、4つのプロペラを持つドローンを備えている。ドローンが空を飛んでいる間、フレームはLEDを点灯させた状態で高速回転させることが可能。LEDの“残像”でできる光の幕がスクリーンの役割を果たすため、プロジェクションマッピングで映像を投影できるのだ。



 屋内であれば、遠隔操作だけでなく、条件付きでの自動飛行にも対応。スタジアムやコンサートホールなどでの商用化を目指して着々と準備を進めており、19年4月にはプロバスケットボール「Bリーグ」の演出でも使用された。



 「普通のディスプレイと違って、このドローンが作り出す“残像ディスプレイ”は透明です。そのため、映像そのものが浮遊しているような演出を実現できます」(山田さん)



●ヘリウムガスの浮力でフワフワ移動



 羽根がないドローンは、本体がヘリウムガスを充填した風船である点が特徴。プロペラではなくヘリウムガスの浮力で宙に浮かび、表面に取り付けた「超音波振動モジュール」が空気ポンプのような役割を果たすことで空中を移動する。このモジュールは、本来はデバイスの冷却などに使われる市販のものだ。



 「モジュールが発する微弱な振動を推力として使うため、前後・上下・左右のいずれの向きにも動くことができます。付けるモジュールの数や、重量の調整を手探りで行い、計200グラム程度に収めることで飛行を可能にしました」と山田さん。



 「『羽根がないものはドローンではない』という意見もあるようですが、本来のドローンの定義は無人航空機。これはれっきとしたドローンですよ。羽根がないため、接触しても人を傷つけないのが既存のドローンと大きく異なる点です」と山田さんは自信を見せる。



 今後は屋内での“空飛ぶ広告”や道案内、警備などの用途を想定して改良を続けるという。将来的には、浮遊球体ドローンディスプレイと羽根がないドローンを組み合わせ、2機種が上空を飛び交うイベント演出を手掛けることも構想中という。



●球体になったのは偶然



 丸い形状が共通している2つのドローンだが、山田さんによると「どちらも球体になったのは偶然」。「浮遊球体タイプは、スタジアムの観客が全方向から映像を見られるように丸くしました。羽根がないタイプは、動かした際の空気抵抗が一定で、安定した動作ができるため丸くしました。文脈が全く違うのです」という。



 「ドローンとして使える風船が、たまたま丸かったのが正直なところです。本当は球形にこだわるつもりはなく、円筒形でも流線形でもいいんですよ。丸いドローンはスピードが出にくい欠点もあるので、色んな形のドローンがあっていいと考えています」と山田さんは笑う。



 今後は両ドローンの商用化に向けた研究を加速させつつ、ドローン以外のプロダクト制作も視野に入れている。「私にとってのゴールは、現実世界とSFの世界の垣根をなくすこと。ドローンはその手段の一つでしかありません」(山田さん)。“SFを現実にする”という信念を貫き、世間があっと驚くドローンを生んできた山田さんは、今度はどんなモノを私たちに披露してくれるのだろうか。


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  • スタートレックTNGのホロデッキでラクサナとアレキサンダーが行った星のピエロシャボン玉みたいだ��������これもウォーフ大尉のように叩いたら破裂して消えると面白いかもね。まぁ良い子はやらないようにかな?
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