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ただの肩こりじゃない! 「五十肩」の特徴と治療法は?

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2019年05月24日 07:00  AERA dot.

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写真同愛記念病院 整形外科・副院長 中川照彦医師(左)/愛知医科大学病院 整形外科副部長・特任教授 岩堀裕介医師
同愛記念病院 整形外科・副院長 中川照彦医師(左)/愛知医科大学病院 整形外科副部長・特任教授 岩堀裕介医師
 多くの日本人が悩む肩の痛み。なかでも中高年に多く起こるのが五十肩だ。肩関節の周囲に炎症が起こり、痛みと運動制限が現れる。多くは1〜2年で自然治癒するが、薬物・注射療法や適切なリハビリが早期改善につながる。

【表で見る】肩の痛みに関するデータはこちら

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 五十肩の好発年齢は、40〜50歳代。まさに働き盛りに突然起こる。なかには重いものを持つ、ぶつけるなどの外傷をきっかけにして起こることもあるが、ほとんどの場合、明らかな誘因がないにもかかわらず、肩に痛みと関節の動かしづらさが現れる。夜間に強い痛みがあり眠れない、腕が上がらない、衣服の脱ぎ着ができないなど、日常生活に支障をきたすようになる。

 肩関節は、人間の関節の中でもっとも可動域が大きい。腕が自由に動かせるように、肩甲骨と上腕骨をつなぐ肩関節は連結が浅くなっており、その周囲を関節包や腱板という筋肉の鎧が取り囲む。

 五十肩の発症原因は、加齢などにより腱や関節包が古い輪ゴムのようにもろくなり、傷つくことが発端と考えられているが、はっきりとは特定されていない。同愛記念病院整形外科の中川照彦医師は話す。

「五十肩は肩関節の周囲の組織に炎症が起こり、痛みや、縮んで硬くなる拘縮(こうしゅく)が現れるのが特徴です。糖尿病の人は関節包を構成するコラーゲンなどの軟部組織が硬くなりやすく、5倍くらい五十肩の発症率が高いことが知られています。五十肩はたんなる筋肉疲労から起こる肩こりとは、まったく病態が異なります」

 五十肩は進行に伴い、急性期・慢性期・回復期と症状が変わっていく。発症し始めて2週間くらいまでの急性期には、炎症による痛みが強く現れる。痛みは肩を動かしたときだけでなく、安静時や就寝時にも現れる。だが急性期には、無理をすれば肩を動かすことが可能だ。治療においては、なるべく安静にすることを心がけ、消炎鎮痛薬の内服・外用剤を使用する。痛みの程度がひどければ、オピオイド系の鎮痛薬を併用したり、ヒアルロン酸やステロイド薬の関節内注射をしたりして痛みを緩和する。ヒアルロン酸は関節液の主成分で、関節の動きを滑らかにしたり、衝撃を緩和して痛みを軽減したり、炎症をやわらげたりする効果がある。通常、1週間に1回の注射を5回ほど続けて治療していく。ステロイド薬は強い抗炎症作用を持つが、糖尿病があると悪化させる恐れがあるため使用は慎重にする。

 五十肩という病名は、俗称であり、正式には肩関節周囲炎や肩関節拘縮、凍結肩と呼ばれる。「凍結」したように、関節が固まって動かない点が、この病気の大きな特徴であり、その症状は急性期に続く慢性期以降に出現する。愛知医科大学病院整形外科の岩堀裕介医師は、次のように話す。

「慢性期になると、痛みは軽減しますが、そのまま放っておくと関節包の拘縮が進んでいきます。ひどい場合にはシャツの脇の下を縫い縮めたような状態になり、他の人が持ち上げても腕が動かなくなります。そうならないよう、痛みが軽くなってきたらリハビリで硬くなった肩関節をほぐす運動をして、少しずつ肩の可動域を回復させていきます」

 慢性期以降には、リハビリとともに、注射療法では、関節包や肩峰下滑液包の中にヒアルロン酸を注射して、肩の動きの改善をはかる。また、関節包内にステロイド薬と局所麻酔薬を注入して縮こまった関節包を膨らませたり、部分的に破裂させたりして、関節腔を拡張することもある。それでも改善しない場合は、エコー画像を見ながら神経根周囲に麻酔薬を注射して脱力させ、医師が外側から肩を動かすことで硬くなった関節包を破く、エコーガイド神経ブロック下徒手授動術をおこなうこともある。

 これらの治療によっても拘縮が改善されず、重症化して著しく日常生活に支障が及ぶ場合には、関節包の周囲をぐるりと切り離す手術が検討される。全身麻酔下で、肩に数カ所の穴を開けておこなう鏡視下関節包切離手術がおこなわれる。

 ただし、手術をした場合も術後にはリハビリが欠かせないと、中川医師は話す。

「手術で例えば50度しか上がらなかった腕が150度まで上がるようになった人でも、術後に痛いからと動かさずにいれば、関節の拘縮が再発することがあります。術後のリハビリは非常に重要です」(中川医師)

 一方、手術の目的で肩治療の専門医に紹介されてくる患者の中には、適切なリハビリをすることで徐々に肩関節の可動域が広がり、結果的に手術を回避できる人も少なくないという。

「実際、五十肩で手術を要する患者は5%以下です。五十肩の治療では、手術よりリハビリを主体とした保存療法の役割が非常に大きくなります。無理に動かし痛みを伴う間違ったリハビリをおこなうと、筋肉の防御性収縮が起こって症状がかえって悪くなるケースもみられます。痛みの対症療法をしながら、患部を温め、痛くない程度の適切なリハビリを継続しておこなうことが大切です」(岩堀医師)

 五十肩はほとんどの場合、およそ1〜2年の間に自然に治癒することが多いが、期間や症状の現れ方は個人差が大きい。

「拘縮が起こっても、不思議なことにそれが治るのが五十肩です。ただし、ほぼ治るとはいえ、全体の約2割の人には可動域制限が若干残ります」(中川医師)

「治癒までの期間が3〜6カ月の人もいれば数年かかる人もいます。炎症と拘縮が一気に起こる人や、片側の肩が治った後にもう片方にも起こる人などさまざまです。ただし同じ側の肩に再発することは、ごくまれです。軽い場合は必ずしも受診する必要はありませんが、無治療であれば、五十肩が完全に元通りに治癒するのは全体の3〜4割でしょう。適切な治療をおこなうことにより、治るまでの期間を短縮させたり完治する割合を高めたりすることができます」(岩堀医師)

 五十肩だと思っても、なかには肩腱板断裂であったり、頸椎疾患や心臓病、がんなどが原因であったりすることもあるので注意してほしい。強い痛みや動きの制限があれば、自己判断せずに、専門医のいる整形外科を受診して適切な診断・治療を受けることが大切だ。(ライター・坂井由美)

※週刊朝日  2019年5月31日号

このニュースに関するつぶやき

  • 昨年12月に発症し、五ヶ月のリハビリで8割程回復しましたが全快はまだまだです。
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  • 昨年の7月位から五十肩(肩間接周囲炎)で苦しんだ。半年以上、肩への注射と運動療法続けて今はかなり楽になった。話には聞いていたが辛かった。
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