ホーム > mixiニュース > コラム > トラックドライバーの身体を蝕む、過酷過ぎる「バラ積み・降ろし」の実態

トラックドライバーの身体を蝕む、過酷過ぎる「バラ積み・降ろし」の実態

21

2019年05月24日 09:00  HARBOR BUSINESS Online

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

HARBOR BUSINESS Online

写真トラックの荷台には、運転手が自ら荷物を手積みする
トラックの荷台には、運転手が自ら荷物を手積みする
◆「不条理なルール」に縛られるトラック運転手

「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。

 前回は「過失がなくても逮捕されるトラックドライバーの現実」を紹介したが、彼らトラックドライバーが直面するこのような不条理は、道路上だけでなく、業界そのものにも大変多い。

 今回は、その中でも彼らの大きな負担となっている「過酷なバラ積み降ろし作業の実態」を紹介したい。

 彼らトラックドライバーの労働環境が「過酷」だと言われるのには、「長時間労働」と「低賃金」、そして今回紹介する「荷役」という3つの大きな要因がある。

 荷役とは、荷物の積み降ろし作業のことだ。

 これまでに何度か言及しているように、トラックドライバーの仕事は、「トラックの運転」だけではなく、「荷物を安全・確実・定時に運び届ける」ことなのだ。

 だが、こうした広義なトラックドライバーの存在意義を、都合よく「荷物を積んで降ろすまでがトラックドライバーの仕事」と考える荷主(荷物の輸送を依頼する運送業者にとっての客)が業界には多く、結果、トラックドライバーは「トラックの運転」以外にも、契約にない「荷物の積み降ろし」という実質的な「オマケ仕事」を余儀なくさせられている現状がある。

 そのうえ、その荷役作業の際、「パレット」と呼ばれる大きな板に積み上げた荷物のかたまりを、フォークリフトで一気に積み降ろしする効率のいい方法ではなく、1つひとつの荷物を手でトラックへ積み降ろしさせる荷主が多く存在しており、こうした荷主都合による作業は、パレットでは1時間もかからない積み込み作業が2時間以上になるなど、トラックドライバーの労働環境悪化の元にもなっている。

◆積み降ろしで腰を痛め、首ヘルニアに

 これらの手荷役作業を「バラ積み・バラ降ろし」と言ったりするのだが、今回、SNSで現役のトラックドライバーに「今までに実施したことのあるバラ積み・バラ降ろし」について聞いてみたところ、大変多くの声が集まった。

●パチンコ台1台30kgを40台くらいが限界でした

●米の30kg紙袋の800袋バラ積みはキツい

●ケーキ系の軽い荷物を10トン車に積めるだけ、約4500個とかの方が腰にきます

●即席麺運んでます。夏が1番辛いです。炎天下での手積み手降ろしで熱中症なったことあります

●スイカシーズンは腰と体がアザだらけになります。Sサイズ(2個入り)で5キロ位、4Lサイズ(2個入り)で20キロ位。総個数は900個

●トイレットペーパーは段ボールではないので、持つと滑るしサイズも微妙に違う。考えて積まないと到着したら悲惨な目に。一個は軽いけど300超すとキツい

●気温40℃超えの日に30kgの紙袋を12tバラ積み。6tで汗が止まって7tで足がしびれ出して8tで急に滝のような汗が出だして9tで立てなくなって救急車呼んで貰いました

●業務用小麦粉(25Kg)や一斗缶(最大25Kg)。特に水飴やシロップ缶は地獄です。最高で水飴缶200缶の全バラやりました。一斗缶全バラやりすぎて、中指の第二関節変形しました

●お米の時期になると30kgの紙袋を10t(13t)車で400本。トレーラーだと800本バラで積み降ろし。腰コルセット必須。積み終わった頃には 運転もイヤになる

●2年前に便器の配送の時、首のヘルニアになり手術。その後腰のヘルニア悪化に伴い昨年2度の手術をしました。便器は確か45圓50程手積み・手降ろし。現在、3回目のヘルニア再発。手術検討中

●タイヤを天井まで、サイズを考えながら積んでます。下から大きい順で積んで、上の方は一回り小さいサイズにして積んでます。そうしないと積んでるうちに倒れてしまうんで。トラックの夏タイヤだと 50キロ スタットレスだと70キロ近くありますから、積む体勢が悪いと腰をやりますね

●今の会社でも、腰痛いと配車係に言っても、慣れるから大丈夫だよ!と笑って流されて終わりですが、8月に入籍する大切な人との将来の為にも死ぬ気で頑張っています

 途方もない荷積み作業の後、疲れた体に鞭打って、今度は長時間座りっぱなしで運転。到着現場近くの車内で数時間の仮眠を取った後に、今度はそれらを再び降ろす。

 こうした激務を日々繰り返すゆえ、彼らトラックドライバーの多くは、上記にもあるように腰に何らかの問題を抱えている人が多い。重い荷物をひたすら積み降ろすのももちろん大変だが、荷物の重さにバラつきがあるのも、かなりの負担になるのだ。

◆それでも、荷主がバラ積みをさせたがる理由とは?

 ドライバーにとっては体を壊しかねないこのバラ積み・バラ降ろし作業。

 無論パレットに積まれたままの状態でトラックに積めれば、作業時間の短縮にもなるし、なにより身体的負担が一気に減る。だが、それでも「手積み・手降ろし」の光景が現場からなくならないのは、荷主側の以下のような都合があるからだ。

1.積載量を増やしたい

 パレットで積むと、どうしても荷物と荷物の間に隙間ができ、トラックに積める荷物の量が少なくなる。運送料を支払う荷主からすれば「空気」はできるだけ運ばせたくないのだ。

 特に、洋服をハンガーにかけた状態で運ぶ、いわゆる「ハンガー車」などは、荷が軽い割に場所を取るため、運送費も割高になりやすい。そのため、なるべく要領よく運べる手積み手降ろしが多くなるのである。

2.パレットの紛失

 自社のパレットに荷物を積んで運ばせると、後日そのパレットが紛失するケースがよくある。回収や管理なども大変であるため、パレットはあくまでも保存用として使用し、輸送用としては使わないとする業者が多いのだ。

 このような彼らの都合から、もともとパレットに積まれているものを、トラックに積む際にわざわざバラ積みして運ばせ、到着した先で、再度現場にあるパレットに積み直させている荷主も多い。

◆バラ積み・降ろしは長時間労働にも

 こうした手積み・手降ろしによるトラックドライバーへの負担は、体力的なものだけではない。

 バラ積み・降ろしをすると、作業時間が長くなる分、順番を待つ他のトラックの待機時間も長くなるため、ドライバー全体の拘束時間の長時間化にも繋がってくる。場所によっては積み込みまでに2〜3時間待たされることもザラだ。

 もうすぐ夏がやって来る。エンジンを切った車内で強いられる長時間の荷待ち、炎天下・サウナ状態の荷台での荷物数千個の積み降ろし。

 彼らの労働環境が少しでも良くなることを願うばかりだ。

【橋本愛喜】

フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。

このニュースに関するつぶやき

  • モーダルシフトを!
    • イイネ!7
    • コメント 2件
  • フォークリフト使うとか、積み降ろしの時に多くのスタッフを集合させて積み降ろしさせるとか。少人数では無理ですよexclamation
    • イイネ!14
    • コメント 1件

つぶやき一覧へ(16件)

あなたにおすすめ

前日のランキングへ

ニュース設定