亀梨和也、初ソロシングル『Rain』が首位に 最新チャートから見えた男性ボーカル表現の”現在形”

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2019年05月25日 08:11  リアルサウンド

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参考:2019年5月27日付週間シングルランキング(2019年5月13日〜2019年5月19日・ORICON NEWS)


 5月27日付のオリコン週間シングルランキングによれば、亀梨和也の『Rain』が136,874枚を売り上げて1位、HKT48の『意志』が36,178枚で2位、純烈の『純烈のハッピーバースデー』が25,382枚で3位という結果となった。


(関連:亀梨和也は第三形態へと新たな進化を遂げようとしている 初ソロSG表題曲「Rain」に滲み出る覚悟


 首位を記録した『Rain』は亀梨和也の初ソロシングル。表題曲の作詞をKOMUとTATSUNEが、作編曲を原一博が担当している。


 ノイズ混じりのピアノからスッと亀梨のボーカルに焦点の合わさるイントロから始まり、悲壮感の漂うピアノや徐々に広がりを見せるストリングスのアレンジが光る1曲。音数少なめのAメロからは主人公の抱く孤独感を、淡々とした演奏からは降り続ける雨を、サビで〈Ah ただ護りたい 手の中〉と歌いながら裏で下降していくコードラインからは、言葉とは裏腹の絶望感を感じ取れる。


 また、Bメロで〈人は誰も自分を騙して 微笑み映し出すから〉〈人は誰も嘘を信じて 正義を映し出すから〉と歌っているので、男女の色恋の話ではなく、信じていた仲間の裏切りによって堕ちたような主人公像を想定できる。KAT-TUNで見せてきた力強さやたくましい一面ではなく、どこか無力感に苛まれている男の姿が浮かび上がる楽曲だ。


 グループのデビュー時に「Real Face」で強烈なインパクトを残したKAT-TUNの亀梨だが、今作はじわじわと染み渡るようなソロデビューである。だが、単に悲しい男像ではなく、陰がある分、セクシャルで艶がある。曲によってうまく彼の新たな魅力が引き出されているだろう。


 一方で、奇しくも同じようにピアノが大々的にフィーチャーされた菅田将暉の「まちがいさがし」(ドラマ『パーフェクトワールド』主題歌)が同日付の週間デジタルシングル(単曲)ランキングで1位を獲得。作詞作曲は米津玄師が務めている。


 〈まちがいさがしの間違いの方に 生まれてきたような気でいたけど まちがいさがしの正解の方じゃ きっと出会えなかったと思う〉という歌い出しの孤独感漂うフレーズを、菅田が独白するようにして歌う。サビでは力強く叫ぶように歌い上げるが、どことなく助けを求めているような悲痛さがあって、胸が締め付けられる。


 菅田と米津のコラボは2017年の「灰色と青」以来2度目。この2人と言えば、年初に吉田拓郎が自身のラジオ『吉田拓郎 ラジオでナイト』(ニッポン放送)で「涙が浮かんだ」「風景画のような印象」として絶賛していたが、この2人がタッグを組むと男の哀愁のような一面が漂う。どこか影があり、強い眼差しを持った、孤独な男性像だ。そういう意味では、前述した亀梨にも通じるところがある。


 亀梨のソロデビュー曲と、菅田と米津のコラボ曲。今週のチャート1位を記録した両者からはどちらも似た雰囲気があった。男性ボーカル表現の”現在形”が浮かび上がった週間チャートであった。(荻原梓)


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