今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
■かわいすぎる「暴排犬」の謎
「A組はもう終わった」
「B組はまだカネがある」
「C組は親分が追い出されるらしい」
現役のヤクザはもちろん、元ヤクザも刑事さんも毎日そんなお話ばかりです。今まで、これほど毎日「ヤクザ情報」が更新される時代はありませんでした。週刊誌の記者さんたちは大変ですね。
もちろん「終わった」といわれてからだいぶ経っても存続している組織も多く、シノギもまだある組織も目立ちますね。まあ全体的にシノギは厳しく、若手の確保には苦労しているようですが……。これは過剰な暴力団排除と併せて少子化のせいでしょう。
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でも、そろそろ「暴排」もネタ切れらしく、警察もメディアも苦労しているようです。以前なら報道されないような小さな事件も「暴力団は悪いアピール」らしく大きくニュースになっていますね。
最近の暴排の「ネタ切れ」感を象徴しているのは、やはり「暴排犬」ですね。
5月19日の福島民友ニュースによりますと、福島県警須賀川署と「須賀川南暴力団排除重点モデル地区暴排パトロール隊」が暴排犬の「羽琥(はく)」(雄、7歳)と須賀川市中心市街地をパトロールし、「暴力団の根絶」などを呼びかけたそうです。
「羽琥をはじめ隊員らは、各飲食店に広報用のチラシやティッシュを配布。暴力団のない安全・安心なまちづくりに向け、目を光らせていた」とあり、添えられた写真のわんこのかわいいことといったら! モフモフの白いわんこのつぶらな瞳に癒やされました。特にわんこ大好きでなくても、萌えますよ。
……いやちょっと待って。これって一体、何のためなんでしょう? こんなんで「暴力団」を排除できるなら、苦労しませんよ。そもそも、なぜわんこ? 普段はちゃんとお世話されてるんでしょうか? 警察から任命されているのであれば、税金ですよね? そこまでする必要があるのでしょうか?
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でも、「羽琥ちゃん」に人気が集まれば、二番煎じ、三番煎じが必ず出てきますね。次はにゃんこでしょうね。にゃんこは気まますぎで、わんこ以上に「暴排」には向いていないと思いますけど、かわいければいいということでしょうか?
「暴排犬」はかわいいし、平和だから、まあいいとして、警察の情報漏洩問題は相変わらずです。
1992年に暴対法が施行され、2011年までに全国の都道府県で暴排条例が施行されてきましたが、それまではヤクザと警察は「持ちつ持たれつ」の関係にあったのは、指摘されてきたことです。だってヤクザに接近しないと、警察だって捜査がしにくいんですよ。情報が取れてナンボの世界ですから。そこで癒着も生まれるわけです。
この5月には、警視庁組織犯罪対策4課の男性巡査長(42)が、捜査協力者に暴力団事件の関係者の個人情報を漏らしたとして書類送検されました。この件は「暴力団員に」情報を漏らしていたのではなく、「暴力団員の」情報を漏らしていたのですが、「漏らした相手」とはどのような方なのか、気になるところです。
報道によると、巡査長は「(漏えいによって)協力者から良い情報を取り、犯罪組織の実態が解明されることに充実感を得ていた」と供述しているそうですが(5月17日付け時事通信)、正直意味がわかりません。
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そもそも今どきは私たちのネットやコンビニでのお買いものの情報も警察に提出されている時代ですから、それらがきちんと管理されていない証明でもあります。しかも、この巡査長は、TBSの取材に対して「知らない。一切そういうことはしていない」と否定していたそうです。
この事件とごっちゃになるのが、4月の報道ですね。16年に発覚した「暴力団関係者」への情報漏洩問題について、警視庁麻布署の男性巡査部長(48)が4月25日に略式起訴され、懲戒処分を受けて辞職していました。
朝日新聞は、2月に「『暴力団関係者と親しくしている』との匿名の通報があり、巡査部長の携帯電話の通話履歴などを調べたところ、この暴力団関係者と連絡を取っていたことが判明したという。警視庁は『引き続き事実関係を確認し、調査の結果を踏まえて適切に対処する』としている」と報道していました。
ちなみに、アラフォーで「巡査長」って、どうなんでしょうね。巡査長とは「警察法62条に定められた正式な階級」ではないそうです。ほぼ交番勤務の「巡査」と同じで、ウィキペディアによると「勤務年数が高卒採用から10年を超えてなお巡査である者に対しては、懲戒歴などが無ければ特段の選考を経ずに昇任させる」そうですよ……。
もしかして、「警部」とかだと相手が緊張するから、あえて「巡査長」にとどまっておられるとか? それはないでしょうが、これらの事件は「ムリしないと捜査できない」という現状を反映しているのだと思います。つまり、みんな過剰な暴排が悪いのです。「暴排犬」も含めて、暴排が暴走している例だともいえます。