大相撲の「座布団投げ」は罪に問われるのか? トランプ大統領観戦で「注意書き」配布

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2019年05月28日 11:51  弁護士ドットコム

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来日中のトランプ米大統領が5月26日、東京・墨田区の両国国技館を訪れて、大相撲夏場所の千秋楽を観戦した。現職の米大統領が本場所を観戦するのは初めて。観客には異例の注意書きが配られたという。


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報道によると、警視庁はこの日、厳重な警備態勢を敷いて、警戒にあたったようだ。また、日本相撲協会は「座布団などの物を投げる行為を行った場合は退場の上、処罰される」という注意が書かれたチラシを配布したという。



横綱が格下の力士に負けたときなど、観客席から座布団が投げられることがあり、館内放送で「座布団や物は投げないで下さい」というアナウンスがされている。一種の伝統といえる気もするが、はたして法的にどうなのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。



●暴行罪などにあたる可能性がある

「まず、座布団を投げる行為自体は、暴行罪にあたります(刑法208条)。また、その座布団でケガをさせた場合、傷害罪にあたります(刑法204条)。したがって、昔から勝利した力士を賛美するために座布団投げがされていましたが、理屈上は、罪に問われるということになります。もちろん、今まで処罰されたとは聞いたことはありませんが」



民事上はどんな責任があるのだろうか。



「座布団があたって、ケガをさせたような場合、不法行為に基づく損害賠償を請求される可能性があります(民法709条)。



いずれにせよ、座布団投げは昔からよくやられてきたものであることは否定できませんが、さまざまな責任を問われる可能性があるということは、知っておいていただきたいです。野球場でメガホンを投げつけるみたいなもんですから。



とはいえ、力士に対する賛美の象徴でもあるので、日本相撲協会としても、何かほかの手段を用意してもいいのかなと思います。



初優勝した朝乃山関、本当に良かったですね。また、栃ノ心関の大関返り咲きも感動しました」



日本相撲協会によると、今回のような注意書きのチラシは、その都度の状況を確認して、必要に応じて配布している。過去に事件になったことは、「把握しているかぎりない」(広報担当者)ということだった。



(弁護士ドットコムニュース)




【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/


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  • もし鶴竜が負けるようなことがあれば、座布団投げもあり得るため、シークレットサービスが何するかわからないのを踏まえると心配だったが、特に何事もなくて安堵した。
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