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sumika、ヒゲダン、ミセスに続くポップバンドの新星 緑黄色社会 『幸せ -EP-』に感じる“独創性”

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2019年05月30日 11:31  リアルサウンド

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 最新アルバム『Chime』を携え、現在は日本武道館、大阪城ホール、横浜アリーナでの公演を含む全国ツアーを開催中のsumika。ニューシングル『Pretender』が大きな話題を集め、初の日本武道館公演(7月8日)も決定しているOfficial髭男dism。昨年リリースしたアルバム『ENSEMBLE』のヒット、エンターテインメント性に溢れたライブによって完全にブレイクを果たしたMrs. GREEN APPLE。優れたポップセンスを持ったバンドが音楽シーンを席巻している。これらのバンドに共通しているのは、ソウル、R&B、ロックなど幅広いジャンルを取り入れ、それを誰もが楽しめるJ-POPとして昇華していること。また、共感度の高い歌詞、ピアノ、キーボードを含めたカラフルなサウンドメイクもこれらのバンドの特徴だ。


(関連:sumikaが語る、『君の膵臓をたべたい』と築いた幸福な関係「僕らの進み方は間違っていなかった」


 現代のポップバンドとしての条件を備え、ネクストブレイク候補と目されているのが、緑黄色社会。長屋晴子(Vo/Gt)、小林壱誓(Gt/Cho)、peppe(Key/Cho)穴見真吾(Ba/Cho)による、名古屋出身の4ピースバンドだ。昨年11月に3rdミニアルバム『溢れた水の行方』でメジャーシーンに進んだ緑黄色社会は、ギターロック、エレクトロ、ブラックミュージックなどのテイストを反映させた色彩豊かな音楽性、リアリティとストーリー性を兼ね備えた歌詞、心地よいポップ感と凛とした強さを共存させた長屋のボーカルによって、音楽ファンからの支持を確実に高めている。メンバー全員が作曲に携わりし、楽曲のふり幅が大きいこともこのバンドの魅力だろう。


 5月29日にリリースされた新作『幸せ -EP-』のリードトラック「幸せ」は、不安や葛藤を抱えながらも、“ずっとあなたの姿を見ていたい”と願う“私”を主人公にしたバラード。“結婚”というワードを想起させるこの曲を軸にして、現代のシーンを賑わせているポップバンドのラブソングを紹介したい。


 まずはsumikaの「Lovers」。2016年のシングル『Lovers/「伝言歌」』に収録されたこの曲は、カントリーミュージックの雰囲気を感じさせるアップチューン。軽やかに飛び跳ねるようなピアノのフレーズ、オーガニックな手触りのサウンド、朗らかで明るいメロディからは、このバンドの親しみやすいポップネスを感じ取ってもらえるはずだ。ずっと一緒にいたいと願う女性に対し、〈たくさん比べて欲しい/そんで何百万の選択肢から選んで欲しい〉と語りかける歌詞は、聴けば聴くほど深みを増す。わかりやすさと奥深さを同時に体現した「Lovers」は今後も、sumikaのスタンダードとして評価され続けることになるだろう。


 続いてはOfficial髭男dismの「115万キロのフィルム」は、昨年4月に発表された1stフルアルバム『エスカパレード』の1曲目に収められた楽曲。〈これから歌う曲の内容は僕の頭の中のこと〉というフレーズで始まるこの曲の軸になっているのは、“僕”と“君”の“これまで”と“これから”を映画のフィルムに収めたいという思いを込めた歌詞。溢れんばかりのロマンチシズムとそのなかにある切なさを映し出すソングライティングは、藤原聡(Vo/Pf)のポップセンスの高さを証明している。ピアノ、ギター、ドラム、ベースのすべての楽器がしっかりと主張した、臨場感あふれるサウンドメイクも気持ちいい。


 Mrs. GREEN APPLEの6thシングルとしてリリースされた表題曲「Love me, Love you」(2018年2月)は、ホーンセクションを交えた華やかなサウンド、マーティング系のリズム、歌詞の内容とリンクしたアレンジやフレーズなどをふんだんに取り入れた、まるでミュージカルのような楽曲。“愛の答えはきっと目の前にあるはず”というメッセージを放つ歌詞、どこまでもドラマチックに展開するメロディラインなど、恋のキラキラ感、ドキドキ感を増幅してくれるようなナンバーだ。全体を覆う煌びやかなエンターテインメント性を含め、ミセスの良さが全面に押し出された楽曲と言えるだろう。


 そして緑黄色社会の「幸せ」。懐かしさを伴ったシンセのイントロから始まるこの曲は、緑黄色社会にとって初となる、バラードのリード曲。バンドのなかには2年ほど前から存在していて、満を持してのリリースとなった。まず印象に残るのは、憂いや不安、その先にあるはずの幸福をダイレクトに伝える旋律。メロディの起伏、ニュアンスだけで“そこに込められた感情”を伝える長屋のボーカルも魅力的だ。


 タイトル通り、「幸せ」をまっすぐに描いた歌詞も心に残る。これまではネガティブな雰囲気の歌詞を書くことが多かった長屋だが、この曲で彼女は、好きな人との人生を長いスパンで捉え、“イヤなところも含めて、すべてを好きだと言いたい”という心のあり方を描いているのだ。また、いわゆる“Aメロ、Bメロ、サビ”というセオリーをあえて崩した楽曲構成、グルーヴ感のあるベース、エッジの効いたギターなど、メンバー個々のプレイヤーとしてのセンスが活かされていることにも注目してほしい。特にボーカルラインを際立たせるピアノのカウンターメロディは絶品だ。


 『幸せ -EP-』にはその他、メンバー全員の個性がぶつかり合うアンサンブルと〈信じた私が馬鹿でした〉からはじまる怒りと葛藤に溢れた歌が響く「逆転」、ファンクとAORが溶け合うアレンジとともに、やるせない恋心を描いた「ひとりごと」、“何にもしたくない休日”をテーマにしたアップチューン「にちようび」を収録。温かい思いがあふれた名バラード「幸せ」、そして『幸せ -EP-』のリリースをきっかけにして、間口の広さと音楽的な独創性を持つ緑黄色社会のポップスは、さらに多くの音楽ファンに訴求することになりそうだ。(文=森朋之)


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