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ルーキー近本光司が阪神を変えた。武器は優れた野球脳と溢れる好奇心

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2019年06月06日 11:12  webスポルティーバ

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 5月30日に甲子園球場で行なわれた阪神と巨人の伝統の一戦。いきなり見せてくれたのが、阪神のルーキー・近本光司だった。

 1回裏、1番・近本が放った打球は大きくバウンドし、ショートへの内野安打となった。左打者お得意の”当て逃げ”ではなく、渾身のフルスイングだからこそ生まれた一打だった。

 そして塁に出ればいとも簡単に盗塁を決め、あっという間にチャンスを広げて見せた。まさに電光石火。

「トライすることが大事だと思うんですよ。アウト、セーフより、自分のイメージしている走りができればOKって考えています。アウト、セーフで盗塁を考えると、スタートをためらうようになり、トライするのが怖くなる。相手には、クイックのうまいピッチャーもいれば、強肩のキャッチャーもいる。盗塁はいつも成功するとは限らない……そう考えています」

 昨年の秋、まだ大阪ガスに所属していた近本に話を聞いたのだが、その時、こう語っていたのを思い出した。たしかドラフト直前で、本人もなにかと心揺れる時期だったはずだ。

「結婚もしましたし、現実問題としてプロを目指すようになって、この1年で劇的に状況が変わりました。プロは夢ですが、入ったとしても活躍しないと意味がない。都市対抗では橋戸賞という名誉をいただきましたが、僕にとっては、今の自分の実力、手応えはまだ6合目……いや、5合目っていうところなんです」

 大阪ガス野球部のある首脳陣が、こんなことを言っていた。

「野球部としても近本を失うのは大きいですけど、会社の方はもっと大きな損失なんじゃないですかね……」

 どこの企業、どんな業界にいても、近本は将来を嘱望される人材になったはずだ。近本と話をしてまず感じたことは、彼ならどこの会社の面接を受けても、おそらく”内定”をもらえるだろうということだ。こちらの目をほどよい強さで見返しながら、耳に心地いい音量の声が入ってくる。なにより話がわかりやすい。

 聡明さと朗らかさと、そして意志の強さ。野球選手としてだけでなく、パーソナリティーとしての抜群のバランス感覚を持った”逸材”だと思ったものだ。

「投手がホームに投げる時のムードってあるんですよ。反対に、けん制してくるムードというのもある。それを視野全体で見る。たとえば、セットに入ってから、よく目を凝らして見ると、徐々に軸足に体重がじわ〜っと移っていくのがわかる投手もいます。スタートの瞬間も、右足を二塁方向に一歩ずらしてからスタートするんです。そうすると、体重を体の真ん中に置いていられるので、(牽制で)逆を突かれても帰塁できるんです」

 オープン戦の途中から阪神のリードオフマンに抜擢された近本は、ペナントレース50試合以上を過ぎた今もなお、「1番・センター」に定着し、打率は3割を超え、盗塁はリーグトップの16個(成績はすべて6月4日現在)。誰もが認める阪神の”新しい顔”となった。

 近本のすばらしさは、用意周到な”段取り”のよさだと思う。打つにしても、守るにしても、走るにしても、「相手にこういう傾向があって、自分の持ち味や能力がこうだから、こう対処しよう」と、”筋書き”があらかじめ用意できている。だから、試合後にプレーの意図を問われても、よどみなく説明できるのだ。

 以前、ヤクルト戦でこんな場面があった。

 売り出し中のスラッガー・村上宗隆のライナー性の打球が、左中間後方を襲った。懸命に背走した近本がフェンス手前でスーパーキャッチを見せた。

 村上の左中間からレフト方向への打球というのは、いったん真っすぐに伸びて、外野にいってから徐々に左に切れていく。レフト方向にホームランが打てる打者の打球には、そういう性質があると聞いたことがある。

 その時の近本は、まさにそのことを熟知している動きだった。いったんうしろに背走して、そこから迷いなく左中間方向へと進路を変えた。だから、最短距離で落下点に行くことができたのだ。

 また30日の巨人戦では、4−2とリードして迎えた7回の第4打席。きれいに振り抜かれた打球が左中間を破ったと見ると、スタートの2歩目から一気にトップスピードに入れて、はじめから三塁打と決めつけたような爆走を披露。続く2番・糸原健斗がレフトに打ち上げ、あっという間にとどめの1点を追加した。

 試合終盤に時間をかけずに点を取られる”敗北感”。そこまで計算して、あの打席であえて長打を狙って振り抜いたとしたら……近本なら「狙っていました」と言われても、まったく驚かない。この一瞬になにが必要なのかを考え、実践できるのが近本という選手の最大の特長である。

 昨年のドラフト会議で、阪神は大阪桐蔭の藤原恭大(ロッテ)、立命館大の辰己涼介(楽天)と、立て続けにふたりの外野手を抽選で外し、最後に指名したのが小柄な社会人の外野手だった。

「阪神は大丈夫なのか……」
「ドラフト1位で獲らなきゃいけない選手なのか」
「年齢的にも大きな成長は期待できないんじゃないか」

 そんな論調は少なからずあった。

「大丈夫です。立派なドラフト1位ですよ」

 いくつものメディアに近本について聞かれた時、私はそう断言していた。その根拠は、近本の野球に対する”頭脳”と”好奇心”。そして外柔内剛の人間性だ。

 好調・阪神を支えている立役者は、間違いなくルーキーの近本である。

このニュースに関するつぶやき

  • ほらやっぱり活躍してるじゃないか…近本くんが入って来たときに笑ってたヤツの顔が見たいわ
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  • 3割を超える好調な打率に盗塁を、最後まで維持して頑張って活躍して欲しいです!
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