世界で起こる“ファーウェイ排除”の潮流、中国での反応は? 現地の声をレポート

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2019年06月09日 07:01  リアルサウンド

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 中国の通信機器大手である「HUAWEI(ファーウェイ/華為技術)」が世界で注目を集めている。アメリカのHUAWEIを排除する動きに高い関心がよせられているが、過熱していく海外報道とは別に、中国国内での反応はどうなのか、気になるところだ。政府見解はさておき、本稿では関連企業や消費者はこのHUAWEI問題をどう感じているのか、探っていきたい。


(参考:日本でも発売中止・延期に揺れるHUAWEI、あらためて新製品の実力をレビュー


 まず、その前に少し、中国のスマートフォン事情について紹介する。中国では、特に大都市を中心にキャッシュレス化や無人化がすすみ、何をするにも、買うにも、またサービスを受けるときもスマートフォンのアプリを利用する。現金を見る、触る機会がほとんどなく、スマートフォンは今や若者にしても“命の次に大事なスマホ”と冗談が出るくらい、生活になくてはならない、マストアイテムになっている。


 ここ数年でスマートフォンは急速に普及しているが、中国のいわゆる“スマホ社会”への発展過程で、当初、アップル人気が高く、「iPhone」ブームが巻き起こった。新製品が出ると聞けば、早くから行列ができ、海外まで行き競って入手するなど、異常とも思える若者たちの行動も当時、大きな話題となった。


 こうした話題性もふくめ、“アップル強し”と思われていた中国のスマートフォン市場でいつのころからか、台頭してきたのが、HUAWEI、OPPO(オッポ) 、Vivo(ビボ)やXiaomi(シャオミ)といった中国国内ブランドのスマートフォンだ。とくに、HUAWEIはすでに出荷ベースで世界第二位のスマートフォンメーカーにまで成長している。


 一部のアップルフリークや海外ブランド志向の強い富裕層をのぞき、若者の間で“アップルブランド”に以前のような執着をもたなくなり、現在では価格、性能や機能のメリットから購入を判断する傾向が強くなった。そこには、必ずしも海外ブランドの商品のほうが優れているとは言えないという概念が浸透しているように思えた。


 もちろん、こうした国産ブランドの急速な発展を支えているのは、商品自体の質的向上だとか、消費者ニーズを満足させる革新的な技術の開発など、さまざまな魅力的要素であることは否めない。それに、そこにも中国現地で消費者の好みをより理解している国産メーカーの強みもうかがえる。


 さらに言えば、スマートフォンに限ったことではないが、「メイド•イン•チャイナ」の商品を支持し、国産ブランドに期待して支援する中国政府の思惑が動いているとも言われる。


 こうした中、今回のHUAWEI問題を見てみると、海外で「HUAWEI=愛国」というような図式や話題が出ることも決して不思議なことではない。現に、アメリカ政府の採ったHUAWEIへの措置に対して、中国国内でも大きな反響があり、最初に報道されたときには、SNSなどにも「アップル不買運動」や「iPhoneからHUAWEIに乗り換える」などをはじめ、やや過激であついコメントが多かった。


 ただし、現地でみると、こうしたコメントやHUAWEIを購入することが、即、海外報道されているような「愛国行動につながる」かというと、それは少し疑問に感じる。もちろん、中には愛国主義の観点から行動する人もいるかとは思うが、実際には、HUAWEIの機能買いをするというHUAWEI自体の魅力から購入したにもかかわらず、「愛国行動」という後付けをされてしまうことだって大いにあると思うからだ。


 中国に限らず、どこの国でも自国の商品やブランドを非難されたり、排除されたりすることは、決して愉快なことではないだろう。むしろ、不快感や憤りを感じることのほうが多いはずだ。ただそうした気持ちもこの問題が長期化していくうちに、どんどんおさまってきているようだ。少なくとも表面上はそう見える。それに、消費者たちの関心は、早くも別のところに向いている。


 例えば、今、SNSなどで、HUAWEIと一緒にあがってくる一番多いキーワードは「5G」だ。第五世代移動通信システム(5G)に突入すると言われるなかで、消費者の関心は、どれだけ自分のスマホ生活が変わるのだろうか、ということだ。HUAWEIのスマートフォンが新しいライフスタイル(技術サービス)を提案しつづける限り、中国の消費者はHUAWEIを支持していくだろう。著しく自分に不利益とならない限り、消費者の関心は、最初と最後の結果のみに集中し、あとは次から次へとスピーディーに変化していくのではないだろうか。このHUAWEI問題もしかり。


 逆に、大きく被害を被り、無視できないのが、やはり関連企業である。HUAWEIの製品には、多くの日本企業の部品が使われている。この問題が原因で、下期の予算を下方修正する現地の日系企業も出てきていると聞く。先の見えない攻防戦で、関連業界の経済には大打撃を与えることになり、さらにこのまま米中間の商業戦争とも言われるこの問題が激化していけば、企業によってはまさに死活問題となりえないと懸念される。


参考:http://tech.qq.com/a/20181226/004719.htm


(フライメディア)


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