EXILE AKIRAが語る、三池崇史監督とのタッグと『CINEMA FIGHTERS PROJECT』の可能性

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2019年06月13日 12:01  リアルサウンド

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 国際短編映画祭『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)』のオープニングセレモニーが5月29日に開催され、同映画祭で公開される『CINEMA FIGHTERS PROJECT』第3弾に出演するEXILE AKIRAと佐藤大樹が登壇した。


 『CINEMA FIGHTERS PROJECT』は、EXILE HIRO、『SSFF & ASIA』代表の別所哲也、作詞家・小竹正人の3人によって打ち出された、詩と音楽、映像を一つに融合する短編映画プロジェクト。今回は、松永大司が監督を務め、今市隆二が主演と楽曲を担当する短編映画のほか、三池崇史監督とEXILE AKIRAのタッグによる『Beautiful』、井上博貴監督と佐藤大樹のタッグによる『魔女に焦がれて』などが公開される。


 リアルサウンド映画部では、同日初上映された『Beautiful』について、主演のEXILE AKIRAにインタビュー。三池崇史監督とのエピソードや、『CINEMA FIGHTERS PROJECT』の魅力について話を聞いた。


■「三池監督の言葉は芯に響きました」


ーー AKIRAさんが主演を務めた『Beautiful』は、これまでの三池監督作品のイメージとは異なる、静かで優しいラブストーリーでした。改めて本作の魅力を教えてください。


AKIRA:三池監督が短編映画を撮るというだけでも魅力的ですが、今回は震災で何もかもが失われた世界で、孤独な男女ふたりが小さな愛を育んでいく物語ということで、三池監督の新たな一面を垣間見ることができる作品になっていると思います。三池監督の作品は、ホラーやバイオレンス、アクションなどのイメージが強く、往年のVシネマや漫画原作映画も手がけられているので、本作でのファンタジックなアプローチは意外に感じるかもしれません。僕自身も、三池監督がこの静かな作品をどんな風に仕上げるのか、台本を読んでいる時から楽しみでした。


ーー三池監督と実際に会ってみて、どんな印象を抱きましたか?


AKIRA:三池監督はその作風から、厳しい人だとイメージされる方が少なくないと思いますが、現場ではすごく細やかな心遣いをする優しい方です。ちゃんと役者に寄り添ってくれる監督ですね。心の奥深くに温かいものを抱いている方だからこそ、今回の『Beautiful』のような作品も撮ることができるだと感じました。


ーー撮影の中で印象に残ったシーンは?


AKIRA:無音で始まるファーストシーンはすごく緊張感がありました。突然、地震が起きて一気に物語に引き込んでいく手法は、短編映画の作り方としても素晴らしいと思います。また、共演の蓮佛美沙子さんと星空を眺めながら語り合うシーンも印象的でした。僕と蓮佛さんの後ろ姿を捉えて、カットも割らずに会話だけで成立させているシーンなのですが、「こんな風にファンタジーを描くんだ!」という驚きと感動がありましたね。必要最低限の演出だけでふたりの感情の変化を描き出していて、三池監督の新たな表現を感じました。一方で、三池監督らしく痛みの描写も素晴らしかったです。大量に血が出たりする作品ではないのですが、肉体的な痛みと心の痛みの両方をリアルに感じられる作品になっていると思います。


ーー三池監督から演技に関するアドバイスなどはありましたか?


AKIRA:4日間の撮影で、かなりタイトなスケジュールで進行していたため、監督や共演の方とコミュニケーションを取る時間はあまりなかったのですが、その中でも非常に印象的な言葉をいただきました。撮影の後半に差し掛かったところで監督と二人きりになったときに、「AKIRAさんはどうやって演技の勉強をしたのですか?」と聞かれたんです。もしかしたら僕の演技にまずいところがあったのかなと思い、緊張しながら、「正直なところ、ちゃんと演技の勉強をしたことはありません。現場で与えられた課題をただ一生懸命にこなして、自分なりにやってきました」と答えたら、監督は「いろんな俳優や監督がいますけれど、AKIRAさんはそのままの姿勢でやり通してください」とお声がけ下さったんです。俳優さんの中には、自分の出演した作品を一切見ないという方もいますが、僕はすごく気にする方で、いつも作品を撮り終わった後になって「もっと違うアプローチがあったかな」「こうした方が良かったかな」と考え込んでしまうタイプなんです。そんな僕にとって、監督の言葉は芯に響きましたし、おかげで自信を持って演じきることができました。撮影後には、「次は長編映画を作りましょう」とも言っていただいて、本当に素敵な出会いに恵まれました。


ーー今回の作品の主人公はあまり快活なタイプではなく、これまでAKIRAさんが演じてきたキャラクターとはまた違った印象でした。演じてみて気づいたことは?


AKIRA:主人公は自分で会社を立ち上げるも失敗して、どうにもダメになってしまった冴えない男です。いつも思いつきで行動するタイプなのですが、とある一人の女性と出会い、運命が変わっていきます。彼を演じるに当たっては、僕自身が役作りをするというよりも、監督の演出と共演の蓮佛さんの演技によって、僕の新たな一面を引き出していただいたという印象です。蓮佛さんともあまり会話する時間がなかったのですが、待ち時間中も自然体で過ごす方で、おかげでカメラが回り始めた時に僕自身もすっと役に入ることができました。そういう意味では、自分は周囲の方のアプローチによって変わる俳優なんだなと、冷静に俯瞰することができた現場でもありました。


ーー本作は、Crystal Kayの新曲「Beautiful」がモチーフとなっています。楽曲についてはどんな感想を抱きましたか?


AKIRA:聴けば聴くほど、ピュアで心のこもった素敵な楽曲だなと思います。ラブソングなんですけれど、恋愛観というよりも、ささやかでありながら温かい人間愛を歌ったような楽曲で、人生が感じられます。だからこそ監督もフル尺で使ったのかなと。明日、どうなるのかさえわからないのが人生だけど、ちょっとした気の持ちようで良い方に変わっていく可能性もあるんだよ、と教えてくれるような作品だと思いました。本当に良い曲なので、撮影期間中はずっと聴いていましたね。


■「『CINEMA FIGHTERS PROJECT』は挑戦をする場に」


ーー今年の1月にはロサンゼルスのTCLチャイニーズシアターにて、『SSFF in ハリウッド』が開催され、AKIRAさんも登壇していました(参考)。本日もレッドカーペットを歩いていましたが、改めてその感想を教えてください。


AKIRA:『SSFF』は21年間続いている国際的な映画祭で、海外の名だたる監督やプロデューサーも参加しています。歴史と実績のある映画祭にこうして招いていただけるのは本当に光栄ですし、代表の別所哲也さんには感謝とリスペクトの思いでいっぱいです。『CINEMA FIGHTERS PROJECT』はまだ3回目ですが、『SSFF』とともに歴史を積み重ねて、いずれは一つのプロジェクトからブランドへと成長していって欲しいと、レッドカーペットを歩きながら思いました。


ーー『CINEMA FIGHTERS PROJECT』が浸透してきている実感はありますか?


AKIRA:LDHのファンの方々には、少しずつですが浸透しつつあるのではないかと思います。音楽作品やライブで僕らのことを知ってくれた方が、『CINEMA FIGHTERS PROJECT』を通じて短編映画の面白さに気づいたり、映画館の大スクリーンで映画を鑑賞することの喜びに目覚めてくれたら嬉しいです。


ーーLDHの所属アーティストの方々にとっては、『CINEMA FIGHTERS PROJECT』はどういうものですか?


AKIRA:僕たちLDHの所属アーティストにとって『CINEMA FIGHTERS PROJECT』は挑戦をする場になってきています。今回は三代目 J SOUL BROTHERSの今市隆二が俳優に初挑戦することになりましたし、FANTASTICSの佐藤大樹も初参加しています。大樹は「ずっと『CINEMA FIGHTERS PROJECT』に出たかったので、お声がけいただいて嬉しかったです」と言っていました。LDHでは近年、『HiGH&LOW』シリーズを始めとした総合エンターテインメントに力を注いでいるのですが、『CINEMA FIGHTERS PROJECT』もまたその一つとして実りのあるものになってきている印象です。


ーー井上博貴監督と佐藤大樹さんのタッグによる『魔女に焦がれて』は、ご覧になっていかがでしたか?


AKIRA:『CINEMA FIGHTERS PROJECT』だからこそ見ることができる大樹の表情が映し出された作品だと感じました。ピュアな学生の初恋模様を描いた王道の青春物語で、大樹は悩んでいる彼女の心を救うヒーローになります。その青春物語の中に井上監督ならではのマジックも感じられましたし、いじめなどの問題に対するメッセージも盛り込まれていました。大樹と同世代の方にはもちろんのこと、大人が見ても自分の初恋を思い出して共感することができる作品だと思います。井上監督にしても、三池監督にしても、『CINEMA FIGHTERS PROJECT』でしかできない表現に挑戦されているので、映画ファンにとっても見応えがある作品に仕上がっているはず。ぜひ映画館で『CINEMA FIGHTERS PROJECT』をご覧いただきたいです。(取材・文=松田広宣)


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