覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
■ピエール瀧の執行猶予は間違いない
6月18日、コカインの使用で逮捕されたピエール瀧さんの判決公判が開かれるそうですね。5日の初公判の傍聴券は倍率60倍だったそうで、さすが有名人はちゃいますね。ワイドショーは、逮捕の時ほどではない気もしますが、初公判の様子も相変わらずバンバンやってました。
報道の感じやと、瀧さんは初犯で、反省もしているようなので、まず執行猶予は間違いないです。マスコミもそこはわかってるようで、ワイドショーも判決そのものより、裁判の様子や、瀧さんの「今後」に興味がある感じでしたね。
瀧さんが今まで出演したテレビドラマや映画などへの損害は「億単位」ともいわれていますから、これはごっついと思いますが、むしろそれ以外は心配ない気もします。賠償のためにも、今までの作品をお蔵入りにしないで、少しでも瀧さんのお金になるようにしてあげてほしいです。ちゅうか、それがないと億単位の賠償はできないから、早めに解禁されるといいですね。
|
|
■パクられた時しか、やめるタイミングはない
瀧さんの報道で思ったことを書きますね。瀧さんは、20代の頃からコカインにハマり、50代の今までミュージシャンや俳優として活動されてきたそうですから、巷では「コカインやってて30年も活躍できるなんて、もしかしてコカインはカラダにええのと違うか?」という冗談も出てましたね。
でも、たとえばクスリ関係で逮捕された時の清原和博さんやASKAさんの顔は、ゾンビみたいな感じでしたか? 田代まさしさんは激ヤセの感じでしたが、あんまり見た目が変わるほどの依存症の人って、見たことないですよね。そんなアブない人なら、まず仕事をもらえないし、もっと早くにパクられていたはずです。
とはいえ、本人はやめたくて仕方なかったでしょうから、パクられてほっとされてると思います。やっぱりパクられた時しか、やめるタイミングはないですよ。
それでも、今後は瀧さんがコカインを目の前に置かれても使わずに済むようになるには、時間はかかるかもしれません。私もそうでした。覚醒剤でパクられてムショに行って、「ああもう今度こそシャブはアカン」と思うことの繰り返しでした。ようやく懲りて、今は目の前に注射器を置かれても、自信を持って断れます。
|
|
それはなぜかというと、「守るもの」があるから。家族からも支えられながら、私も家族を守らなくてはなりませんし、今はお店もやっているので、お店の女の子たちも守らなくてはなりません。
それに、NHKなどテレビにも何度も出していただいて、今は連載をさせていただき、本も出させていただきました。もし私がまたパクられたら、私を信じて取材してくれたり、連載をさせてくれているメディアの皆さんをも裏切ることになります。それだけは絶対にしたくないんです。まあそう思えるようになるまで、高い授業料を払ってきましたけどね(苦笑)。
瀧さんも、損害賠償は仕方ないでしょうが、それ以外は大丈夫かなと思います。奥様が逮捕後も離婚せずに支えてくださっているそうですから、「居場所」はありますよね。やっぱり居場所があれば、クスリはやめやすいです。
それに、お友達やご近所さんもやさしくしてくださっているそうですし、何よりも電気グルーヴのファンはみんな待ってますよ。もし今ライブに出られたら、超満員になるでしょう。「Shangri-La」くらいしか知らない私ですら、そう思います。
ご家族やお友達、ファンなど「守るもの」と居場所、そしてお仕事があれば、瀧さんは復帰も早いと思います。がんばってほしいですね。
|
|
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」
※この連載が本になりました!
『女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。