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ブームの退職代行サービスだけでは対応できないブラック企業の恫喝手口! 嫌がらせ損害賠償、残業代支払い拒否…

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2019年06月19日 07:10  リテラ

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リテラ

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 巷で退職代行業者がブームになっている。そこで、退職に関して私が担当した事件について紹介する。



 依頼人が勤務する会社は防音設備の取り付けなどを業とする零細企業であり、依頼人は当初、事務として採用された。しかし、従業員は、正社員である依頼人の他はパートが2名しかおらず、なし崩し的になぜか工事現場での取り付け工事をはじめ、あらゆる業務をさせられるようになってしまった。



 そして、会社は残業代の算定基礎時給を一方的に1000円と定め、その金額で計算した残業代しか払わなかった。きちんと計算すると、依頼人の残業代算定基礎時給は1400円〜1500円程度となり、合計すると優に100万円を超える残業代が未払となっていた。



 正社員が1人しかいないため、辞めると言っても社長は辞めさせてくれない。思い悩んだ依頼人は、労働ホットラインに電話をかけ、その日の担当だった私に依頼することになった。



 なお、労働ホットラインとは、日本労働弁護団が実施する無料の労働相談であり、各地の労働弁護団で毎週開催している。詳しくは労働弁護団のウェブサイトをご覧いただきたい(http://roudou-bengodan.org/hotline/)。私もホットライン経由で何件も事件を受けている。



 依頼人は、入社してから4年6カ月以上経過していたので、30日分の有給休暇を取得する権利を有していた(労働基準法39条1項2項)。有給休暇の時効は2年であるから、2年分の有給休暇を合算して取得することができる。勤続3年半で14日、4年半で16日取得できるので、合計で30日ということである。有給休暇の一覧表は下記厚労省資料を参照されたい(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf)



 依頼人と相談した結果、有給休暇を全て消化した上、残業代を請求することになった。私は会社に対し、内容証明郵便で、残業代の支払いを要求すると共に、有給休暇の取得を通知した。



 その後、すぐに社長から連絡があり、支払う方向で考えていることを告げられた。また、社長の家族等が依頼人の家に行ったりしていたのだが、それも今後しないとのことであった。



 しばらくして、会社側に弁護士がついたが、支払うという方針は変わらなかった。ただ、この弁護士、とても妙な主張をしたので非常に驚いた。「この会社は法定休日が無いんですよ!だから休日割増しはありません!」と言うのである。日本の法律が適用されないという主張なのだから、治外法権の抗弁とでも名付ければ適当であろうか。



「いやいや、労働基準法で決まっているんですから、適用されないなんてあり得ないんですよ」と言ったところ、理解していただいた。弁護士でもこのように誤った知識を持っている場合が往々にしてあるので、油断してはならない。特に会社側の代理人は、わざといい加減なことをいう者もいるので要注意である。



 交渉の結果、結局こちらの要求額に近い額で和解ができた。最初から弁護士を入れていたのでこれほどスムーズに事が進んだと言えるだろう。正社員が1人しかいないのだから、依頼人だけで交渉していた場合、これほど速やかな解決は不可能だったと思われる。



●「退職したら損害賠償請求する」と会社が脅してきたら…



 ところで、本件では主張されなかったが、退職時の有給休暇の取得に対し、会社側が時季変更権を主張して妨害する可能性がある。時季変更権とは、事業の正常な運営を妨げる場合において、使用者が従業員の有給取得の時季を変更できる権利である(労働基準法39条4項)。だが、退職する予定の者に対しては、この変更権は使えないとされている(昭和49年1月11日基収5554号の2)。なぜなら、退職する予定の者に対しては、時季を変更して他の日に休暇を与えることが不可能だからである。したがって、会社が時季変更権を主張しても無視してよい。



 また、退職したら損害賠償を請求すると脅すケースもよくある。わざと会社に損害を与えたような例外的な場合を除き、退職することで損害賠償責任が発生することは無いと考えてよい。労働者には職業選択の自由が憲法上保障されており(憲法22条1項)、無期契約の場合は原則として解約の申し入れから2週間を経過すれば雇用契約は終了する(民法627条1項)。このように労働者側に退職の自由を認める法制度になっている以上、経営者は労働者が辞めても事業が回るような人員を確保しておかなければならない。労働者が辞めて会社に損害が出るとすれば、それは経営者が悪いのであり、何ら労働者に法的責任は発生しない。



 なお、このほかにも、離職手続に協力しない、嫌がらせのために懲戒解雇にする、など、退職時に法的トラブルが発生することはよくある。



 昨今、弁護士でない者による退職代行が流行っているが、退職代行業者ではこのようなトラブルが発生しても対応できない。彼らはただ単に退職の意思を伝えることしかできないからである。



もし退職代行業者が、退職の意思を伝えることを超えて本人の代わりに会社と何か交渉してしまった場合、弁護士法72条違反となる。その罰則は2年以下の懲役又は300万円以下の罰金である(同法77条3号)。我々から見ると、かなりすれすれのビジネスをしているように見える。



 退職したいけど簡単にやめられそうにない場合、まずは弁護士に相談してみるのがベストである。紛争が発生しても対応できるし、残業代を取れる可能性もあるからである。前述の労働ホットラインの他、当ブラック企業被害対策弁護団でも下記のページで退職に関する相談を受け付けている。気軽に利用していただきたい。

http://black-taisaku-bengodan.jp/taisyoku/



【関係条文】

労働基準法37条(残業代)

労働基準法39条1項、2項、4項(有給休暇、時季変更権)

憲法22条1項(職業選択の自由)

民法627条1項(雇用契約の解約)

弁護士法72条(非弁行為)

弁護士法77条3号(非弁行為に対する罰則)



(弁護士 明石順平/弁護士法人鳳法律事務所 http://www.ootori-law.com)



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ブラック企業被害対策弁護団

http://black-taisaku-bengodan.jp



長時間労働、残業代不払い、パワハラなど違法行為で、労働者を苦しめるブラック企業。ブラック企業被害対策弁護団(通称ブラ弁)は、こうしたブラック企業による被害者を救済し、ブラック企業により働く者が遣い潰されることのない社会を目指し、ブラック企業の被害調査、対応策の研究、問題提起、被害者の法的権利実現に取り組んでいる。

この連載は、ブラック企業被害対策弁護団に所属する全国の弁護士が交代で執筆します。


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  • 韓国や支那系のブラックとかもあるからね�����ڹ�
    • イイネ!1
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