YouTuberと一緒にメイクアップ! YouTubeがインタラクティブなARコスメ広告発表

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2019年06月21日 07:41  リアルサウンド

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リアルサウンド

 世界最大手の動画サイトYouTubeは、Googleの広告収入を支える大きな柱のひとつとなっている。そのサイトに、最新技術を駆使したインタラクティブ広告が導入される。新しい広告は、あるジャンルの動画の視聴者にとっては非常に「使える」ものとなっている。


(参考:YouTubeによる未成年の単独ライブ配信禁止、海外では関連動画機能に疑問の声も


・YouTuberといっしょにメイクアップ
 Googleは18日、YouTubeにARインタラクティブ広告フォーマット「AR Beauty Try-On」を導入することを発表した。名称に「Beauty」という単語が使われていることから分かるように、この広告フォーマットはコスメブランドに利用されることを意識したものとなっている。


 コスメブランドが展開する広告活動の一環として、有名YouTuberとタイアップして自社の製品を使ってもらったメイクアップ動画を制作することは珍しくない。だがこうした動画を見ても、実際に視聴者自身がYouTuberと同じメイクをした状況を想像するのはなかなか難しいだろう。発表された新フォーマットは、こうした悩みをAR技術を活用して解決する。


 同フォーマットは上下に二分割された動画となっており、画面上部にYouTuber、下部には視聴者の顔がそれぞれ表示される。画面下部では、視聴者がバーチャルにメイクアップできるようになっている。具体的にはリップの色を選択すると、その色が画面に表示された視聴者の唇に重なって表示されるのだ。こうした機能のおかげで、視聴者はYouTuberのメイクアップを確認しながら、自分もバーチャルにメイクを試せるようになる。


 今年のはじめに同広告をテストユーザに提供したところ、iOS版YouTubeアプリの30%のユーザがARメイクアップを体験し、平均して80秒以上メイクを試した、とのこと。同広告は、正式リリースではないアルファ版ながらGoogleが運営するブランドコンテンツプラットフォーム「FameBit」から利用することができる。


・ディスプレイ広告もインタラクティブに
 またGoogleは19日、インタラクティブなディスプレイ広告を実装できる広告フォーマットSwirlを発表した。ディスプレイ広告とは、Googleで検索した時に画面上部に表示される広告欄のことである。企業はGoogleに広告料を支払うことで、このディスプレイ広告欄に広告を表示してもらっているのだが、この部分にインタラクティブ広告が表示されるようになる。


 Swirlを活用すると、スマホのディスプレイ広告欄にタップ可能な3Dオブジェクトが表示される。例えば広告に表示された香水瓶をスワイプすると回転して背面を見ることができたり、ズームイン/ズームアウトすることもできる。つまり、まるで目の前に製品があるかのような体験ができるのだ。


 前述のAR Beauty Try-OnとSwirlには、どちらもウェブ広告をインタラクティブ・コンテンツ化することによって、ユーザがより広告に没入できるようにする狙いがある。そして、ユーザをより広告に没入させれば、より大きな広告効果が期待できるというわけなのだ。


 なお、Swirlに対応した広告はGoogleが提供するウェブコンテンツエディターGoogle Web Designerから作成することができる。


・スマートディスプレイの消費を後押し?
 AR Beauty Try-Onに関しては、多数の海外メディアが好意的な記事を公開している。テック系メディア『The Verge』が19日に公開した記事では、AR広告自体はFacebookやSnapchatも昨年にテスト導入していることを指摘して、とくに珍しいものではないと述べている。しかしながら、YouTubeはすでに大多数のコスメ系動画の視聴者を抱えているので、広告効果という点で有利に立っていると指摘している。


 US版TechCrunchが公開した記事は、同フォーマットは(ウェブ広告の集客効果を測る指標のひとつである)コンバージョン率を向上させるツールのひとつというよりも、視聴者を巻き込む一種の広告キャンペーンとして機能する、と評している。


 テック系メディア『techrader』の記事は、同フォーマットとスマートディスプレイとの関連性を指摘している。スマートディスプレイとは、Google Nest Hubのようなスマートスピーカーにディスプレイが追加実装されたものなのだが、このカテゴリーの製品を使えば音声を使ってディスプレイを操作できる。スマートディスプレイを使えば、AR Beauty Try-OnをはじめとしたARインタラクティブ広告を気軽により大きな画面で体験できるようになる。その結果、同カテゴリーの製品の魅力を高め、ユーザの購買意欲を刺激するのではないか、と評している。


 ちなみに、広告はARの活用方法として大きな成長が見込まれているセグメントである。AR/VRメディア『AR Insider』が昨年9月に公開した記事によると、世界のAR広告の市場規模は2022年までに26億ドル(約2,800億円)に達すると予測されている。


 以上のようなAR Beauty Try-Onは、YouTubeのコスメ系動画のトレンドを大きく変える可能性がある。コスメ系動画の主流はもはや「見る」だけではなく、一緒に「試す」ものになっていくのかも知れない。


(吉本幸記)


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