ホーム > mixiニュース > スポーツ > サッカー > W杯で苦しむなでしこジャパン。カギを握るのは負傷離脱組の復帰

W杯で苦しむなでしこジャパン。カギを握るのは負傷離脱組の復帰

0

2019年06月21日 12:02  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真

 FIFA女子ワールドカップのグループDは、通過順位をめぐって第3戦までもつれた。日本とイングランドは互いに決勝トーナメント進出を決めていたが、通過順位にこだわったのはノックアウトステージ後の対戦相手によるところが大きい。1位で通過し、指定各グループ3位の上位1チームとの対戦になるか、2位となり強豪が集うグループEの1位と当たるか。手にしたい順位は明白だ。

「とにかくイングランドに勝ちたい」と話した鮫島彩(INAC神戸)は、ノックアウトステージを見据えたものではなく、純粋にこの一戦での勝利を欲していた。3月のシービリーブスカップ(She believesCup)のイングランド戦では、サイド攻撃からのクロスであっけなく3失点しており、「あまりにも何もできずにやられた。でも、ここから修正はできるので、この敗戦があってよかったと言えるようにしたい」と這い上がる決意をみなぎらせていた。

 しかし結果は0−2で、またしても完敗。鮫島は「自分たちの布陣が崩れた瞬間にやられている。最後どれだけ踏ん張れるのかは、修正できると思います」と、また新たな課題に向き合う姿勢を見せた。

 対するイングランドは、フィリップ・ネビル監督が「日本戦のために考えたローテーション」と言うように、グループリーグ3戦を完璧にコントロールしていた。日本が前半にペースを掴み切れなかったのは、イングランドのスタメンが想定と異なっていたため、対応に戸惑ったのだろう。

 日本のイングランド対策は、サイド攻撃のボールの出どころを抑えることだった。この日、左の遠藤純、右の小林里歌子(ともに日テレ・ベレーザ)の両サイドハーフと、岩渕真奈(INAC神戸)、横山久美(AC長野パルセイロレディース)の2トップには縦パスの起点封じの任務が与えられた。

 当然、前線から積極的にプレスをするため運動量は多くなる。そこへボランチも連動してサポートに入り、守備では一定の効果はあったと言える。攻め込まれる時間帯もあったが、サイドからの安易な崩され方は、前回対戦時から激減していた。

 しかし、攻撃へ転じた際のサポートが間に合わない。一手の遅れをダイレクトパスや、コンビネーションで埋めようと試みたが、これを阻んでいたのがイングランドの守備力、球際に強さだ。コンタクトプレーが攻守ともに芯を捉えていて、日本選手は簡単に体のバランスがブレてしまう。

 そして、イングランドは奪ったあとの狙いも実に明快だった。イングランドの得点シーンで、イングランドの選手たちは日本のプレスにかかって、体勢を崩しても最後はボールを的確に押し出し、日本のDF裏のスペースにパスを通していた。ゴールまでの道筋が共有されているからこそできるプレーだった。

 サイド攻撃封じに人数をかけた日本だったが、それは、当然中央からの攻撃にさらされるリスクが生じる。自陣中央の深い位置でのイージーなミスはトップクラスのチームとの対戦では命取りとなる。また、守備にパワーをかけすぎては攻撃に出られず、前がかりになれば裏を狙われる。誰がピッチに立とうと、その駆け引きが柔軟にできてバランスをとれるのが成熟したチームだろう。イングランドにはその柔軟性があり、残念ながら日本にはなかった。

 イングランドは、初戦から第2戦にかけて先発メンバーを4人変更していた。対戦相手が格下のアルゼンチンだったこともあるが、日本戦も初戦とは4人の異なる面々を先発で起用した。それだけメンバーが変わっても強固なチームワークを築くことができているのは、成熟したチームだからこそ。

 高倉麻子監督が目指すのも、まさにそのスタイルだ。高倉監督もイングランド戦で「チームに幅を持たせたかった」とボランチに中島依美(INAC神戸)を起用した。ここに、指揮官の苦悩が透けて見える。W杯前からケガ人が多く、中島をボランチに配置せざるを得ない状況だったとも言える。大会に入ってから復帰の兆しが見えているとはいえ、籾木結花(日テレ・ベレーザ)や宇津木瑠美(シアトルレインFC)といった新たなケガ人が出ていることも誤算だ。次の試合、カギを握るのは阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)のほか、負傷離脱している選手たちが快復して出場できるかどうかだろう。

 結局、中島は攻守にわたって健闘したとはいえ、後半にサイドハーフに戻ってからの方が持ち味を発揮できていたのも事実。イングランド戦でこの布陣を持ってくるのであれば、連動する周りの選手が距離感を把握するためにも、ある程度の実戦経験を積ませておく必要があった。実際、ワールドカップイヤーでチーム作りが佳境に入ってからも、中島がボランチに入ったのは3月のブラジル戦のみ。今後のオプションとしての可能性が見出せたとも言えるが、それは大会前に済ませておくべきことだった。そうすれば、この試合でさらに幅のあるプレーが表現できていたかもしれない。

 また、ノーゴールに終わった攻撃陣だが、何もできなかったわけではない。他のGKであれば入っていたであろう横山のFK、中島の中央からのシュートや岩渕のドリブル突破などチャンスはあった。後半には菅澤優衣香(浦和レッズレディース)、三浦成美(日テレ・ベレーザ)を投入し、イングランドを上回る15本のシュートを放っている。菅澤には2度の決定的場面もあったが、ゴールを決めきる選手がいなかった。

 このチームの本領はまだ発揮されていない。逆境に立ったときに強さが開花するのが、なでしこジャパンだ。昨年のアジアカップ、アジア大会でも崖っぷちから這い上がり、壁をぶち破りながら頂点に立った。

 決勝トーナメント一発目の相手は強豪のオランダになった。当然苦しい時間帯の方が多いだろう。それでも、2位通過をポジティブに捉えるなら、次戦まで中5日というメリットがある。今一度チームを奮い立たせるには十分な時間だ。なでしこたちが身に着けた修正力をフル稼働すれば、高倉監督が目指す戦いが必ずできるはずだ。

    あなたにおすすめ

    ニュース設定