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体長50センチ超の「超大物」と鴨川で格闘! 子どもたちの心を揺さぶる大発見

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2019年06月21日 16:00  AERA dot.

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写真「あの茂みが怪しいぞ」。子どもたちと生き物のいそうな場所を探します(写真/筆者提供)
「あの茂みが怪しいぞ」。子どもたちと生き物のいそうな場所を探します(写真/筆者提供)
「『川の生き物』という言葉を聞いたら、どんなことを頭に思い浮かべるかな?」

 新プロジェクトを心待ちにしていた「ぷれりか」(幼児クラス)の生徒に問いかけます。

「小さい魚かなあ。例えばメダカとか」

「あと、小さいエビもね」

 最初の問いかけに考え込む様子を見せましたが、一人の発言をきっかけに少しずつ意見が出てくるようになってきました。

【写真】川で子どもたちが捕まえた大物の正体は…!?

「小さい」というのが重要なポイントなのかとさらに突っ込んだ質問をすると、子どもたちはうんうんとうなずきます。川にはあまり大きな生き物がいないという認識があるようです。

「では、お父さん、お母さんはどうですか?」

 授業に一緒に参加する保護者の方にも聞いてみます。すると、具体的な生き物だけにとどまらず、「ヌルヌルした藻」や「石の下に(何かが)隠れている」といった感覚的なイメージを表す言葉が出てきました。子どもたちは大人の回答に興味津々の様子です。

 やがて、ぷれりかキッズもようやくエンジンがかかってきたのか、実体験を交えながら自分なりの発見を語り始めました。

「先週の遊びの日に鴨川に出かけたやろ。あの時、アメンボがたくさんいる場所あったで」

「アヒルが家の近くの川を泳いでいて、ご飯を食べてたよ」

「私、オタマジャクシを見たことある! オタマジャクシはカエルになるときに尻尾がなくなっちゃうんだよね」

「鴨って、頭を水の中に入れても沈まへんのが不思議やねんなあ」

 みんなの意見で模造紙が埋め尽くされていき、彼女たちの既有知識が明らかになっていきます。

 そんな中、つい先日、探究堂に通う小学1年生の男の子が鴨川の河原でオオサンショウウオと偶然遭遇したエピソードを紹介しました。

 彼に見せてもらった写真には、川辺の草むらからのっそりはい出たオオサンショウウオが写っていたのです。

「えーーーっ、どこに住んでるんやろ。私も見てみたい!」

 教室のボルテージが一気に上がり、子どもたちの好奇心に火がついたことを実感します。

 授業の前日は雨でした。そのため、川の水量が少し気がかりでしたが、今回の作業場所となる鴨川デルタに到着するとその心配は杞憂に終わりました。出町橋の下にレジャーシートを敷いて荷物置き場をつくり、早速準備に取り掛かります。

「ひゃっ、冷たっ!」

 網を片手におそるおそる足を川の淀みに入れていきます。ひんやりとした水の感覚に包まれ、子どもたちは何ともくすぐったいような表情を浮かべます。

 水中では小さな魚が気持ちよさそうに泳いでいました。水面にはたくさんのアメンボが見られます。ぷれりかキッズは一生懸命網を振り回しますが、そう簡単に捕まってくれるはずもありません。

 しばらくの間、それぞれ思い思いの場所で水生生物を探していると、ある保護者の方が大きな声で私を呼びました。

「文さん、アメンボを捕まえました!」

 アメンボは網の中でも元気よく跳びはねていました。せっかく捕まえたものを逃さないように、手で網を押さえながらそっとバケツに入れます。

「私にも見せて!見せて!」

 バケツの中を興味深そうにのぞき込む子どもたち。

 絶対に自分も捕まえたいという気持ちに拍車がかかったようです。彼女らは水中で網を振り回していても埒が明かないと判断し、大人のやり方を真似て川岸の茂みを重点的に探し始めます。

「あっ、網になんか入ってる!!」

 茂みに網を突っ込みガサガサしていたある女の子がふと何かに気づきました。網の中には一匹の真っ黒なヌマエビがいたのです。バケツに放したヌマエビは所狭しと勢いよく泳ぎ回ります。嬉しい気持ちをじんわり噛み締めるようにその姿を眺める女の子の表情がとても印象的でした。

 結局のところ初回の調査では、スジエビ、ヌマエビ、名前のわからない小魚、アメンボ、ハグロトンボの幼虫、シマビルを捕まえることができました。

 我らが水生生物調査隊はまずまずの滑り出しを切ったと言えるでしょう。

 プロジェクト2日目となる翌週の授業では私たちが予想もしなかった展開が待ち受けていました。

 前日の天気予報では「終日雨」となっており、当初は室内でのアクティビティーを予定していました。しかし、いざ当日を迎えると、空一面雲で覆われていましたが、天気はぎりぎり持ちこたえていたのです。

 そこでこの日は生き物探しよりもむしろ新しい採集スポットの開拓を主目的にして、鴨川へ出かけることにしました。

 作業場所を選ぶ観点としては、子どもたちが安全に作業できることや、虫や魚がすみ着きやすい場所であることが欠かせません。私たちは川辺を歩いて探索したものの、いつもの採集スポットに比べると流れが速すぎたり水深が深すぎたり(逆に浅すぎたり)して、なかなか良い場所を見つけることができませんでした。

 そんな中、私たちの集団から少し離れて未知の採集スポットを探しに出かけていたお父さんが、戻ってくるなり「あの橋の下辺りにたくさん魚がいましたよ」と報告してくださいました。

 大雨による増水後に水位が下がり、本流から切り離されてできた浅い沼地。期待を胸に近づいてみると、何やら見慣れぬ生き物のシルエットが目に飛び込んできました。

「あれ、ナマズちゃいます?」

 よく目を凝らして見ると、全長50センチはあるナマズが沼の底に潜んでいたのです。予想外の大発見に調査隊全体がにわかに色めき立ちます。

 めったにない機会をみすみす見逃すわけにはいきません。まずは大人2人で協力してナマズを逃げ場のない狭いところに追い込む作戦を採ることにしました。子どもたちはその様子を固唾をのんで見守ります。

 作戦は順調に進み、私の網にすんなり頭から入り込んだと思いきや、突然ナマズが暴れ出します。人間に捕まるまいと向こうも必死です。

 網が大きくしなり、ついには網の外へ飛び出してしまいました。足元をぬるりとしたものが通り過ぎていった感触は今でも忘れられません。

 2度目の挑戦では、大きな石の下に隠れようとするナマズを挟み撃ちにし、より慎重を期して網ですくい上げます。

 探究堂で『川の生き物』プロジェクトを開始して以来の大物を捕まえることに成功したのです。

「やったーーーーー!!」

 その瞬間、ぷれりかキッズから思わず歓声があがりました。何とか私たちが持参していたバケツにナマズを押し込み、しばし観察タイムです。

 しげしげと顔を見ると、半開きの口が何とも愛らしい感じです。子どもたちもバケツにかぶりつき、この不思議な生き物をじっくり眺めていました。

 最終的にナマズはまた川に戻してあげることにしました。

 川にはあまり大きな生き物がいないという認識が大きく揺さぶられる経験をした子どもたち。川の生き物探究はまだまだ続きます。

(文/山田洋文)

※AERAオンライン限定記事

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  • 河童に尻子玉を抜かれないように、注意しましょうね。
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