Nintendo Switch Miniのケースが中国で注文可能? 台湾ではチップを増産中

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2019年06月22日 08:51  リアルサウンド

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リアルサウンド

nintendo life「Is This Our First Real Look At Nintendo Switch Mini? Update: Company Responds」より引用

 廉価版Nintendo Switchが6月末までにリリースされるのではないかという報道に関して、新たな動きがあった。その動きは、テック系製品の生産拠点があるため機密情報がリークしやすい中国で起こった。


(参考:任天堂はE3で『スマブラSP』追加ファイター以外に何を発表する? 舞台裏でリーク阻止の熾烈な攻防も


・新モデルはやはり小さい?
 海外の任天堂専門ニュースメディア『nintendo life』は20日、中国で「Nintendo Switch Mini」対応のケースの販売が開始されたことを報じた。ケースの販売を始めたのは、中国のゲームアクセサリーメーカーのHonsonである。同社の公式サイトには、すでに「Nintendo Switch Mini」という製品カテゴリーが設けられており、多数のアイテムが出品されている。そうしたアイテムのなかに、Nintendo Switch Mini対応を称するケースもあるのだ。そのケースは、Nintendo Switchのコントローラー対応のそれよりサイズが小さいようだ。


 アクセサリーメーカーが新製品のサイズを予想して新製品のリリース前に対応アイテムを製造することは、珍しいことではない。注目すべきなのは、どんな情報源にもとづいて新製品に対応したアイテムを製造しているか、ということである。同メディアがHonsonに問い合わせたところ、同社は「秘密」の情報にもとづいてケースをはじめとしたNintendo Switch Mini対応アイテムを製造した、とのこと。また、任天堂からの正式な情報提供を待っている状態でもあり、正式な情報がわかり次第ケースが完璧にフィットするように微調整する、ともコメントした。


 ちなみに、Nintendo Switch Miniカテゴリーにはケースのほかにコントローラーを収納するバッグやディスプレイの保護フィルムが出品されている。


・任天堂から大口受注
 任天堂がNintendo Switch新モデルを近日中にリリースする予兆は、サプライチェーン市場でも見られる。世界のテック系企業の部品工場が集中する台湾の英字メディア『TAIPEI TIMES』は19日、台湾の大手チップメーカーが任天堂から大口受注していたことを報じた。報じられたチップメーカーMacronixの社長Miin Wu氏の話によると、同社は2ヶ月前に任天堂から「予想を超える」メモリチップの注文を受注した。この受注のおかげで、同社の売上高は4月と比べて30%増加したと言う。大口注文を受注した4月というタイミングは、6月末に新モデルがリリースされるという噂の信憑性をさらに高めていると言える。


 任天堂から大口受注を獲得した一方で、同社の先行きを不安にする要因も存在する。その要因とは、中国メーカーのファーウェイとの取引動向である。周知の通り、ファーウェイはアメリカに端を発する市場締め出し策によって携帯電話の販売数を激減させている。幸いなことにMacronixはファーウェイの携帯電話用部品をあまり製造していなかったので、一連の締め出し策の影響は限定的であった。しかし、Macronixはファーウェイに5G基地局で使用されるメモリチップを製造しているため、今後は締め出し策の影響を受ける可能性がある。


 Macronix社長のWu氏は米中貿易戦争はすぐには解決しそうにないと見ており、世界経済の先行きを予測するのは難しい、とも述べている。


・米中貿易戦争の影響は任天堂にも
 実のところ、米中貿易戦争の影響は任天堂にも出ている。テック系メディア『The Verge』は今月12日、同社が生産拠点を中国から東南アジアに移転する方針であることを報じた。生産拠点を移転した理由は、もちろん米中貿易戦争による悪影響を回避するためだ。現在、米中両国は関税引き上げの報復合戦を繰り広げている。こうした関税引き上げにより中国に生産拠点を保有しているテック系企業は、同国で製造した製品をアメリカに輸入する時に関税コストを支払うことを余儀なくされる。しかし、中国から他国に生産拠点を移転すれば関税によるコスト高を回避できる、というわけである。


 以上の報道に対して任天堂アメリカ法人のスポークスパーソンは、Nintendo Switchの現在の生産拠点は依然として中国にあるが、中国以外で生産する選択肢をつねに探している、とコメントしている。


 中国から生産拠点を移転しているのは、任天堂だけではない。『ブルームバーグ』が12日に公開した記事によると、Google傘下でスマートハウス製品を製造するブランドNestが生産拠点の一部を中国から台湾とマレーシアに移転させたと報じた。また、前出のThe Vergeの記事では、iPhoneの製造を請け負っているFoxconnはすでにアメリカに輸出する製品に関しては中国以外の拠点で製造することが十分に可能である、と報じている。


 以上のように終わりの見えない米中貿易戦争のあおりを受けて、テック系企業はサプライチェーンの再編を余儀なくされている。この戦争が長期化すれば、予想もしていなかった悪影響がさらに生じるかも知れない。


(吉本幸記)


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