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ついにトヨタも本腰! 電気自動車は本当に普及するのか

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2019年06月24日 08:02  マイナビニュース

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●日産は10年で40万台、トヨタは6年で100万台?
トヨタ自動車が電気自動車(EV)の普及に本腰を入れ始めた。今後6年で100万台近くを販売するという意欲的な数値目標を掲げ、どの市場にどんなクルマを投入するのかについても、その方向性を明らかにしたのだ。トヨタが表明したEV普及策をつぶさにみていくと、EVを取り巻く世の中の状況やクリアすべき課題についても明確になってくる。

○数値目標達成には相当な努力が必要

トヨタは2019年6月7日、『〜トヨタのチャレンジ〜EVの普及を目指して』と題した報道向けの説明会を行った。「なぜ、この時期にこうした記者会見を開いたのか」と記者から質問を受けた寺師茂樹副社長は、「トヨタはこれまで、『ハイブリッドカーで築いてきた電動化技術を持っているので、電気自動車(EV)は作れるといってきたが、まだ1台もクルマがないではないか』といわれ続けているので、具体的な説明会を開いた」と答えた。

具体的な説明会の内容は、日本とその他の地域(中国、米国、欧州)に分けたEV導入計画であり、また、そのために世界上位3位までのリチウムイオンバッテリーメーカーと提携することも改めて明らかにした。その上で、EVのみならず燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車(HV)の販売台数計画を、当初の2030年目標から5年、前倒しにすると発表した。

電動車両の普及に向けたロードマップでは、2025年にEVとFCVで100万台以上、HVとPHVで450万台以上という販売目標を示した。ここでは、「EVとFCVで100万台以上」という数値に的を絞って規模を考察してみたい。

まず、水素ステーションの整備が進んでいない現状を考えると、水素を充填して走るFCVの販売台数が数年で飛躍的に伸びるとは考えづらい。では、EVはどうかというと、トヨタに先行し、2010年に初代「リーフ」を発売した日産自動車は、約10年をかけて世界累計40万台を販売している。トヨタは今後6年で、リーフの累計販売台数の2.5倍にあたる100万台規模のEVを販売するというのだから、この数値目標は、かなり頑張らなければ達成の難しいものだということが見えてくる。
○EVづくりにも重要な「仲間づくり」

この目標を達成するため、トヨタでは「仲間づくり」に余念がない。大手リチウムイオンバッテリーメーカー数社のほか、部品メーカー、商社、自治体、そして、提携関係にあるダイハツ工業、スバル、スズキなどの自動車メーカーと協力し、大量にEVを作り、販売する組織づくりを行っているのだ。大量生産を実現することにより、EVの原価を下げ、収益を確実に見込みながら拡販に努める。フォルクスワーゲンら世界最大規模の自動車メーカーを相手に競争を繰り広げるトヨタらしい壮大な戦略だ。

EVづくりでトヨタは、他社と共通の部品を利用する「モジュール設計」の部分と、商品ごとに各社が特徴づけを行う部分とを明確に分け、仕向け市場やターゲットとする顧客層に合わせた開発を行う手法を構築している。プラットフォームに限らず、モーターやリチウムイオンバッテリーなどもモジュールによる開発を行う。これをトヨタは「e-TNGA」と名付ける。「TNGA」とは、近年のトヨタのクルマづくりを特徴づける「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」のこと。そのEV版がe-TNGAだ。

トヨタが市場投入を予定するEVについての具体像も分かってきた。次ページ以降で仕向け地ごとに見ていきたい。

●日本には超小型EV、「MaaS」も視野
○本気を出すのは2030年?

日本では、2020年をめどに超小型EVを導入する。これは、人口が密集する都市部と過疎が進む地方では、生活様式や公共交通機関の整備状況に大きな隔たりがある日本の特殊事情に合わせるためだろう。

また、高齢者による交通死亡事故などが多発する中で、運転免許証返納の気運が高まっていることから、公共交通機関が十分に整っていなかったり、廃止されたりする地域へ向けた支援策として、超小型EVを普及させたいという思いもあるはずだ。一方、都市部では、商用EVとして「MaaS」(モビリティ・アズ・ア・サービス)への道筋を検証する考えもあるだろう。実際、EVの開発責任者は、「地元の日本であれば、そうした検証もやりやすい」と語っている。

超小型EVの販売に関して寺師副社長は、「必ずしも既存の販売店を通じてということではなく、何か新しい取り組みが適しているかもしれない」と語っていた。すなわち、これまでのようにクルマを「所有するもの」と考えるのではなく、クルマを「利用するもの」と捉え、原価がなお高いとされるリチウムイオンバッテリーの負担を軽減したいと考えているのではないだろうか。

実際、現時点で市販されているEVの価格は300万円以上だ。超小型EVが200〜300万円したのでは、誰も手を出さないだろう。すでに中古EVも市場に出回っている。近距離で使用するため、低価格でEVを手に入れたいと考えるなら、中古で十分だ。

いずれにしても、日本市場へ向けては、超小型EV導入以外の具体策は示されなかった。寺師副社長は「2030年までには、右ハンドルの日本市場に合ったEVを販売したい」と述べるにとどめた。2030年といえば、先ごろ公表された新たな燃費基準の施行が予定される年である。乗用車平均でリッターあたり25.4キロの燃費性能を求められる新たな基準では、エンジン車はおろか、HVでも車種によっては対応が難しくなる。その時期にはトヨタも、日本で本格的な(?)EVを売り出すということなのだろう。

●反則金を回避? グローバルEVに込められた意味
○グローバル展開は流行のSUVで

一方、中国、米国、欧州などの市場では、「グローバルEV」と呼ぶ車両を販売する予定だ。先般の上海モーターショーでトヨタは、中国に投入するEVとして「C-HR」/「IZOA」をすでに発表済み。ほかに、クレイモデルではあるが、複数の車種を説明会場に展示していた。そのほとんどが、いま流行のSUVやクロスオーバー車の造形を有していた。

日本の燃費規制と違い、中国のNEV(New Energy Vehicle、新エネルギー車)規制や米国のZEV(Zero Emission Vehicle、排出ガスを出さないクルマ)規制、欧州のCO2排出量規制などは、それを達成できない自動車メーカーに対し、クレジットなどの反則金を課す規制だ。中国と米国では、すでにEV導入を強制する規制が施行されており、欧州のCO2規制は2年後の2021年から始まる。トヨタのグローバルEV販売は、規制による反則金の支払いを回避するため、これらの市場から始まるものと解釈できる。

日本には、EVに対する優遇税制などの奨励策はあっても反則金はない。また、無理にEVを導入しようとしても、集合住宅では充電設備導入に関する管理組合の合意形成が必要なので、戸建て住宅以外では設置が遅々として進まない現状もある。ただ、充電設備については、この先10年の間に設置が進む可能性がある。トヨタとしては、静観して状況の好転を待つ構えのようだ。
○EVは売った後が大事

100万台の台数目標を達成できたとしても、EVは販売したら終わりというような商品ではない。たくさん売れば売るほど、EVの中古車や事故車なども増えるので、その対応が必要になる。ことにリチウムイオンバッテリーは、EVで使い終わった後も70%ほどの容量を残している。それをそのまま廃棄したり、分解してリサイクルしたりするのはもったいないし、資源の無駄になる。そのあたりを考慮して、トヨタでも当然、中古リチウムイオンバッテリーの査定、中古EVの販売、そして、中古リチウムイオンバッテリーの再利用を計画の中に入れている。

しかし、中古リチウムイオンバッテリーの再利用に関しては、市場でのEVの使われ方により質の程度がさまざまであるため、それを見極め、分類するための高度な技術が必要だ。

日産は初代リーフの発売前に、EVで使用した後のリチウムイオンバッテリーを再利用するための会社「フォーアールエナジー」を設立し、事業化を進めてきた。そして、リーフ発売から約10年後の昨年にようやく、短時間で中古リチウムイオンバッテリーの優劣を判別する技術を完成させた。EVのバッテリーパックを分解して分類し、再利用のために商品化する道を歩み始めたのである。

以上のように、EVを総合的に事業化する仕組みは一朝一夕で構築できるものではない。したがって、EVを作れるかどうか以上に、EVをいかにして売り、いかにして再利用するかといったような部分には、EVを作るよりも多くの労力を要することになる。これまでもトヨタは「EVを作れる」といってきたが、「作れる」ことと「売れる」ことの違いを、世間は指摘してきたのである。

EVを売るため、これまで日産や三菱自動車工業が歩んできた10年に及ぶ道のりを考えると、EVを普及させようとするトヨタのチャレンジが、一筋縄ではいかないことが分かる。

今回の説明会に登壇した寺師副社長をはじめとする面々は、熱意にあふれながらも時折、非常に厳しい表情を見せていた。ことが簡単には運ばないということを、当事者であればあるほど身に染みて実感しているからだろう。

●説明会はトヨタ社内へのメッセージ?
○移動意外にも多様な使い方が可能なEV

EVにはFCV、PHV、HVなど、ほかの電動車両とは使い勝手がかなり違うという側面もある。

トヨタは1997年に初代「プリウス」を発売して以来、長きにわたってHVを取り扱っている。販売に際しては、エンジン車と使い勝手が変わらないところをHVの利点として訴求してきた。すなわち、エンジン車と同じようにガソリンスタンドで燃料を補給すれば、車種によっては、通常のガソリンエンジン車の2倍もの燃費性能が得られるのがHVである。

FCVもPHVも、燃料の水素やガソリンをエンジン車と同じようにスタンドで補給すれば、走らせることができる。しかしEVは、自宅や訪問先での普通充電(200V)が基本だ。ほかのクルマがスタンドに寄るように、移動経路の途中で短時間に電気を補充する急速充電は、あくまで臨時の対処法でしかない。

この違いがあるからこそ、「V2H」(ヴィークル・トゥ・ホーム、EVを家庭用の蓄電池のように使うこと)のように、駐車中にも役立つクルマとしてのEVの価値も生まれるのである。その価値を拡大すれば、地域の電力需給をバランスさせたり、建物や地域全体での電力消費を適正化させたり、また、災害時の電力供給源として活用したりといったような、これまでのエンジン車やHVでは不可能だった社会貢献が可能になる。

もちろん、FCVやPHVでも電力供給自体は可能だ。しかし、FCVは燃料の水素が空になれば終わりであり、PHVはそもそも、搭載しているリチウムイオンバッテリーの容量が少ないため、電力供給量に限界がある。

HVおよびPHVは、ガソリンさえ残っていれば、エンジンを始動して電気を生み出すことができる。ただ、万一の災害時に、ガソリンを運ぶタンクローリーが問題なく稼動するかどうかは疑問だ。その点、電力は水道、ガスなどと比べても、災害時の普及が早い。また、太陽光パネルなどで生み出された再生可能エネルギーとの協調も可能である。

大容量リチウムイオンバッテリーを搭載するEVの応用可能範囲は広い。しかし、トヨタとその仲間たちには、こういったEVの活用法についての経験が不足している。

記者会見を開催し、寺師副社長が自らEV普及についてのメッセージを発信した背景には、こうした現実をトヨタ社内にも広く認識してもらいたいという上層部の思いがあったのではないかと考えるのは、想像が過ぎるだろうか。EVについて、「トヨタは出遅れている」との評価があるのは寺師副社長も認識しているという。トヨタといえども、EV普及計画を全社的な合意のもとに推進できなければ、ますます電動化していく自動車業界において、その地位に揺らぎが生じかねないと思うのである。(御堀直嗣)

このニュースに関するつぶやき

  • 火力発電でEVを充電してる限りエコにはならないよね。エアコン使えば走行距離は減るし10年すれば高額な電池は交換は必要だし・・・本当にエコ考えるならバイオ燃料を考えた方が良いんだけど、開発や普及のコストををケチってるんでしょうね
    • イイネ!0
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  • 夏場のエアコンや冬場の暖房については、電気自動車は絶望的。もし、雪国で大雪の日、バッテリーが切れたら死活問題。
    • イイネ!30
    • コメント 8件

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