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野党の対案に安倍総理はどう答えた? 6・19党首討論、年金問題への総理答弁を信号無視話法分析

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2019年06月26日 08:50  HARBOR BUSINESS Online

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HARBOR BUSINESS Online

写真筆者YouTubeチャンネルより
筆者YouTubeチャンネルより
◆具体的な「対案」が出た6・19党首討論に安倍首相は……

「野党は反対ばかり」「反対するなら対案を出せ」−−。

 政権支持者からこうした声がよく聞かれるが、約1年ぶりに行われた党首討論の場で、国民の関心が集まる年金問題について野党党首からは具体的な提案が幾つかなされた。

 例えば野党側の3人目として党首討論に臨んだ共産党・志位和夫委員長は、持ち時間が約5分半と短い中、「高額所得者優遇の保険料を正す」という具体的な提案を行った。

 本記事では、志位委員長と安倍総理の党首討論における約5分半のやり取りをノーカットで信号無視話法分析していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。

 以上のルールに基づいて、安倍晋三総理の回答を集計した結果、このようになった。

<色別集計・結果>

安倍晋三総理:赤信号71% 青信号15% 黄信号0% 地の色15%

 大半が赤信号でほとんど質問に答えていない。

 いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。

◆志位委員長による「具体的な対案」

志位委員長:冒頭、昨夜の地震で被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げると共に、二次災害と被害の拡大防止に万全を尽くすことを政府に求めます。

 金融庁が夫婦の老後資金として公的年金以外に30年で2000万円が必要との報告書を公表したことが年金への不安を広げております。年金への不安はこれに留まるものでありません。マクロ経済スライドによる給付水準の引き下げという大問題があります。

 直近の公的年金の財政見通しによれば、マクロ経済スライドは現在41歳の人が65歳で年金を受け取れるようになるまで続き、これによって受け取れる年金の水準は、平均的な高齢夫婦世帯で月額43,000円。30年間で約1600万円も減らされます。

 今の年金保険料は、月収62万円、ボーナスを含め年収で約1000万円を超えますと保険料負担が増えない仕組みになっています。年収が約1000万円の上限額を超えますと2000万円の人も1億円の人もみんな保険料が同じ。年間95万5000円です。

 そこで提案でありますが、約1000万円のこの上限額を健康保険と同じ約2000万円まで引き上げる。そのことによって約1.6兆円の保険料収入が増えます。その際、アメリカでやってるように高額所得者の年金給付の伸びを抑制する仕組みを入れる。そうすれば、それによる給付増分を差し引いても毎年約1兆円の保険料収入を増やすことができました。

 この1兆円を、マクロ経済スライドを止め、減らない年金にする財源に充てる。これが私たちの提案であります。総理に端的に伺います。年収1000万円を超えますと保険料が増えなくなる。高額所得者優遇の保険料のあり方、これ、正すべきじゃないんですか。端的にお答えください。正すかどうか。

−−−−−−−−−−−−

 数値根拠を挙げながら、「高額所得者優遇の保険料のあり方を正す」と提案した志位委員長。

 以下、これに対する安倍総理の答弁。

安倍総理:あのー、まあ、この議論で大変残念なのは、あー、先ほどの党首の議論でですね、年金の、いわば、積立金が枯渇すると言う時、拍手が起こったことであります。えー、私は、そういう議論はですね、そういう議論はすべきではないですし、テレビを見ている方々がおられますからですね、大切なことも述べなければいけないわけでありまして。

 えー、年金の、基礎年金のですね、運用については44兆円プラスになっているということはハッキリと申し上げておきたいと思いますし。

 マクロ経済スライドについてのご質問でございますが、マクロ経済スライドについてもですね、え、先程来お話をさせて頂いて、え、おりますように、これは、あー、平均寿命は伸びていきますから給付が増えていく。そして、生産年齢人口が増えていきますから、えー、当然、これは、あー、被保険者は減っていく。その分を、ま、調整、調整していく。えー、そうした格差を調整していく数字によってですね、将来の受給者の所得代替率を5割を確保していくというもの、確保していくというもの、でありまして。それが今、発動されて、しかも、それが0.9から0.2になったということはまさに改善したということを申し上げているわけでありまして。先ほど、散々毀損されましたが、そのことをハッキリと申し上げておきたい。えー、思います。(赤信号)

 1段落目は、3番手である志位委員長より前の野党党首の議論で出た話題を蒸し返しており、全くもって質問と無関係なため、(赤信号) とした。ちなみに、”積立金が枯渇すると言う時、拍手が起こったことであります”と言った安倍首相だが、実際にはそのような拍手は起きていない。

 2段落目と3段落目はそれぞれ論点をすり替えており、これらも(赤信号) 。

2段落目

質問:高額所得者優遇の保険料を正すべきでは

↓すり替え

回答:年金の運用状況

3段落目

質問:高額所得者優遇の保険料を正すべきでは

↓すり替え

回答:マクロ経済スライドの説明

 また、3段落目の「生産年齢人口が増える」は、実際は逆で「減る」の言い間違いと思われる。(*生産年齢人口は、15歳以上65歳未満の人口層を指す。少子高齢化が進む日本では減少傾向にある)

◆「対案」に対峙せず論点をすり替え続ける安倍総理

安倍総理:その上において、共産党の主張はマクロ経済スライドを廃止して、えー、将来の受給者の、えー、これは、給付、その上でなおかつ、将来の受給者の給付が減らないようにする上においては、これは7兆円の財源が必要で、えー、ございます。皆さんはこの財源がある。こうおっしゃってますが、7兆円というのは巨大な財源であります。この巨大な財源があるというのは、これは、まあ、かつて聞いたことがあるような話でございますが、それは、そう簡単には出てこない、えー、わけでございます。(赤信号)

 いずれに致しましても、私たちはですね、このマクロ経済スライドという形におい、おいてですね、おいて、今の、あのー、今の形でですね、マクロ経済スライドの形において、それを発動させていくことによって、今の、今の、受給者と将来の受給者のバランスを図っていく。あるいは、将来の、給付と需給のバラ・・、えー、給付と負担のバランスを図っていきたいとこう考えていますが、(赤信号)

 今、志位、志位委員がおっしゃったご提案についてはですね、これは、まずはちゃんとですね検証しなければ、その数字は明らかではないわけでありますし、1兆数千億円で賄えるものではなくて、7兆円と全く額が違うわけでありますから、えー、いずれに致しましても、マクロ経済スライドをですね、止めてしまうという考え方は、これはもう一度申し上げますが、これは、馬鹿げた案だと思います。(青信号)

  1段落目と2段落目はそれぞれ論点をすり替えており、これらも(赤信号)。

1段落目

質問:高額所得者優遇の保険料を正すべきでは

↓すり替え

回答:財源の有無

2段落目

質問:高額所得者優遇の保険料を正すべきでは

↓すり替え

回答:マクロ経済スライドの説明

 3段落目は、「高額所得者優遇の保険料を正すべきでは」という質問に正面から答えたわけではないが、マクロ経済スライドを止めるべきという意見に対しては「馬鹿げた案」と一応は反応しているため、青信号とした。

 野党は具体的な対案を提案したが、結局、安倍総理は論点をずらし続け、最後の最後で「馬鹿げた案」と一蹴するだけの結果に終わっている。

 以下、この直後の志位委員長のコメント。

志位委員長:私はねー、減らない年金にするための具体的提案をやった。それに対するお答えは一切ありません。あの、7兆円と言うのはね、私たちの暮らしを応援する政策のパッケージでやる財源の問題なんです。で、この問題ねー、あのー、マクロ経済スライドをやるってことはね、今の年金の水準を6割から5割に現役世代との、あのー、所得代替率を減らすわけでしょう。これ、減ってくんですよ。私はねー、今政治に求められているのは、貧しい年金の現状を直視して、安心な年金に変えるための責任を果たすことだと。報告書を隠蔽することじゃないということを申し上げて終わります。

◆4人目の質問者、維新・片山虎之助共同代表の奇妙な発言

 年金問題について具体的な対案を述べた共産党・志位委員長。この直後、野党側のラストバッター(4人目)として臨んだ日本維新の会・片山虎之助 共同代表が討論の最後に述べた奇妙な言葉をあわせて紹介しておきたい。

「野党は批判するだけじゃダメなんですよ。具体的な提案をしないと」

 これまでの議論を全く聞いていなかったか、意図的に他の野党を貶めようとしたか、いずれかとしか考えられない。形式上、維新は野党ということになっているが、実態は限りなく与党の立場に近いということを改めて浮き彫りにしたと言える。

 片山氏のトンチンカンな発言に怒号と言って差し支えないほどのどよめきが起きる中、約1年ぶりの党首討論は終了した。(下記動画の6分10秒〜参照)

<文・図版・動画作成/犬飼淳 TwitterID/@jun21101016>

いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。

 犬飼淳氏の(note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル(日本語版/英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している

このニュースに関するつぶやき

  • 「(納めた額に対しての)年金支給額が減るのは、安倍政権のせいじゃない。野党や安倍批判をする人が悪いんだ。」という素晴らしいご意見ww
    • イイネ!1
    • コメント 0件
  • だから選挙ではっきりわかるでしょうよ。国民の民意が示されるのですから。
    • イイネ!32
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