BTS、m-flo、踊Foot Works……世界のポップシーンにつながる新作をピックアップ

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2019年07月02日 07:01  リアルサウンド

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BTS『Lights / Boy With Luv』(通常盤)

 名実ともに世界的スーパーグループになったBTSの10作目のシングルや、2017年の活動再開後に海外での活動を加速させているm-floの新作EPなど、世界のポップシーンにつながる新作をピックアップ。邦楽/洋楽という区分けが完全に無効化した現在における、もっとも魅力的なポップミュージックがここにある。


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 『2019 Billboard Music Awards』で<トップ・デュオ/グループ賞>と<トップ・ソーシャル・アーティスト賞>の2部門を獲得。最新アルバム『MAP OF THE SOUL:PERSONA』が86の国と地域のiTunesアルバムチャートで1位を獲得するなど名実ともに世界のスターとなったBTS。彼らの日本10thシングル『Lights/Boy With Luv』が到着した。表題曲「Lights」は日本オリジナル曲で、現在のUSのR&B、ヒップホップの潮流を汲みながら、日本のマーケットに適応させたハイブリッドな仕上がりだ。メンバー個々のボーカル、ラップの魅力を際立たせながら、“僕らはいつでも音で繋がることができる”というメッセージを込めた歌をシンプルに届けるプロダクションも見事。さらにヒット曲「Boy With Luv」「IDOL」のJapanese ver.を収録。グローバルポップの現在地を明確に示す意義深いシングルだと思う。


 2017年末にオリジナルメンバーのLISAが復帰し、LISA、VERBAL、☆Taku Takahashiの3名で15年ぶりに再始動。昨年7月に全米最大のジャパン・ポップ・カルチャーの祭典『Anime Expo』に出演するなど海外での活動もめざましいm-floが、リユニオン後2作目となる新作『mortal portal e.p.』をリリース。前作『the tripod e.p.2』では“ノスタルジックと新しいトライの融合”をテーマに据えていたが、本作ではm-flo本来の独創的なプロダクションが炸裂。スピリチュアルな雰囲気のトラックと切ない恋愛ソングがひとつになった「EKTO」や、トラップの派生ジャンルである“釣りトラップ”を取り入れた「STRSTRK」など斬新にしてアップデートな楽曲によって、この先の3人のスタンスを提示している。“異次元”、“パラレルユニバーサル”を想起させる作品全体のイメージは、m-floの新たな世界観につながっているようだ。


 ポストパンク、ガレージロックなどのテイストを交えた無国籍な音楽性によって注目を集め、独自のポジションを手に入れているDYGL。2018年の渡英後、初となるニューアルバム『Songs of Innocence & Experience』は、インディー系ギターロック、オルタナR&B、さらに90年代のブリットポップや70年代のサイケデリックロック、80年代のAORまで幅広いテイストを取り込みながら、刺激的な独創性と快楽的なポップネスを共存させた作品となった。18世紀末から19世紀にかけて活躍した詩人、ウィリアム・ブレイクの作品にインスパイアされたという、幻想と現実を行き来するような歌詞の世界もきわめて魅力的。様々な芸術作品、クリエイターに刺激を受けながら、ひとつの場所に居着かず、ボヘミアン的な佇まいが感じられるところもこのバンドの個性だろう。


 韓国で生まれ、アメリカで青春時代を過ごし、現在は日本を中心に活動しているポップクリエイター、THE CHARM PARK。ソングライティング、演奏、歌をほぼ一人で構築するスタイルをさらに追求した本作『Standing Tall』は、華やかなメロディ、心地よく高揚するトラック、スキルフルなギタープレイが印象的な「Ordinary」、オーガニックなアコギの弾き語りと豊かなハーモニーを軸にした「Still in Love」、クラシカルなピアノとともに神聖な響きをたたえた旋律が広がる「Stars Colliding」など、個性と大衆性をバランスよく共存させた楽曲が収められている。伝統的なポップスのメソッドとADM(Acoustic Dance Music)やエレクトロニカにも近いサウンドメイクがひとつになった彼の音楽世界はまちがいなく、ワールドワイドなシーンに通じていると思う。


 銀色の光をギラっと放つギター、濃密なファンクネスを含んだベース、厚みのあるキック、そして、〈東京は25時カラクリToLOVEるless〉というパンチラインを同時に体感できる「JELLY FISH」を聴いた瞬間、一発でノックアウト。配信先行シングル「GIRAGIRA NEON」、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)をゲストボーカルに迎えた「GOKOH feat.オカモトレイジ」、AAAMYYYを迎えた「髪と紺 feat. AAAMYYY」を含む2ndアルバム『GOKOH』で踊Foot Worksは、ヒップホップを中心に据えたドープなポップミュージックというスタイルを完全に確立させた。R&B、ジャズ、ソウルミュージックの伝統を自然に織り込むセンス、不安と欺瞞が充満する現在の社会を照らし出すインテリジェンスもこのバンドの武器。これが売れたら世界が変わる。(森朋之)


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