「ディオール」新作オートクチュールは黒の芸術、改装前のパリ・モンテーニュ本社内でショー開催

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2019年07月02日 13:02  Fashionsnap.com

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ディオール 2019-20年秋冬オートクチュールコレクション Image by: Photo : Camillle Vivier pour Dior
「ディオール(DIOR)」が、パリのモンテーニュ本店を構える本社で、2019-20年秋冬オートクチュールコレクションを発表した。建物は改装が予定されているため、現在の本社内で開催される最後のランウェイショーとなりそうだ。

Photo : FASHIONSNAP.COM
 招待状に記されていた住所は、パリ・アヴェニュー モンテーニュ30番地。1946年にメゾンを創設したクリスチャン・ディオールゆかりの地で、本社内のグランサロンがショー会場となった。エントランスホールを抜けると太い根を張った大木の装飾がゲストを迎え、その先に広がるのはシュルレアリスムの異空間。火や水、空気の錬金術と女性がモチーフとなったアートワークは芸術家のペニー・スリンガー(Penny Slinger)が手掛け、部屋ごとに異なるテーマで床から天井まで全面に描かれた。また元々庭だった屋外部分には、ダークな内装とは対照的なローズガーデンが設営された。

 ファーストルックの純白のシルク地に施されていた刺繍は、建築家バーナード・ルドフスキー(Bernard Rudofsky)がキュレーションした1944年の展覧会のタイトル「are clothes modern?(衣服はモダンか?)」のメッセージ。アーティスティック ディレクターのマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)がパリ市内の建造物などでもよく見られるカリアティード(女像柱)に着想を得たシルエットで、布を巻きつけて身体に沿ってドレープする古代的な構造。ペプロス(長衣)をイメージさせるドレープドレスは、ショーの中盤にも登場した。

 コレクションのメインとなるのは、メゾンの伝統を受け継ぐクラシカルなシルエットをベースとしたスーツやコート、カクテルドレスやイブニングドレスだが、今回の最大の特徴としてほとんどがブラック一色で、わずかな色味がアクセント。ペニー・スリンガーの黒と白の作品に宿る力とフェミニニティからもインスピレーションを得たという。ブラックメッシュがデコルテや顔など肌を覆ってミステリアスな印象を強め、ネット状のストッキングと一体化したヌーディーなシューズも視線を集めた。

 65体目のラストルックは、ディオール本社の建築を象った彫刻のようなゴールドのドールハウス。布を組み立てて制作する衣服も建築同様に構造物だが、その概念や身体との関係について異なる角度から問いかけるような、実験的でアーティスティックなオートクチュールコレクションとなった。
Photo : DIOR
 ショーは2回行われ、各回300人ほどのゲストが来場。ニック・ジョナス(Nick Jonas)とプリヤンカー・チョープラー(Priyanka Chopra)の夫妻、ガル・ガドット(Gal Gadot)、シェイリーン・ウッドリー(Shailene Woodley)、ジャンヌ・ダマス(Jeanne Damas)といった多くのセレブリティや各国の特別な顧客が集ったほか、日本からは女優の新木優子がオートクチュールドレスを着用して来場した。

 なおショーの終了後には同会場で、マリア・グラツィア・キウリの仏レジオンドヌール勲章の受章セレモニーが開かれた。

ディオール 2019-20年秋冬オートクチュールコレクション
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