luz、まふまふ、赤飯……ハードな楽曲歌いこなす“歌ってみた”出身アーティスト

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2019年07月04日 13:21  リアルサウンド

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luz『Reflexion』

 6月24日、“歌う18禁”とも言われる歌い手・luzの新曲「FANATIC」のMVが公開された。黒と赤、蝋燭と祭壇といったゴシックでダークな世界観の中、教祖として君臨するluzのもとに信者達が集う儀式さながらの映像だが、その基盤となる楽曲は極めてラウドだ。チューニングをドロップした激しいギターリフと、思わず頭を振りたくなるようなビート。映像の中でも激しいヘッドバンギングが巻き起こる、ライブ感のあるハイクオリティなロックサウンドであり、筆者自身が抱いていた“歌い手”というアーティストへのイメージを完全に打ち砕いた。


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 歌い手界隈では顔出しをせず、その声質と歌唱力のみで人気を博する者も多い中、luzはその端正な顔立ちにメイクをしてラウドかつダークな楽曲も披露することから、ヴィジュアル系ファンからも支持されている。“歌い手”としての彼の異端性がうかがえるだろう。


 そしてさらにヴィジュアル系界隈での彼の注目度を高める要因の一つが、豪華なサポートメンバーの存在だ。今回のMVではMEJIBRAYのMiA、ex.ViViDのRENOが、過去の作品ではsleepyheadの武瑠が参加しているほか、ワンマンツアーのバックバンドはFar East DizainのLeda、A9のヒロト、VersaillesのMASASHI、SIAM SHADEの淳士が務めるなど、錚々たる顔ぶれだ。もはや“最強”とも言える面子を味方につけた彼は、今後も激しい楽曲を多く披露してくれるのではないかと期待が高まる。


 歌い手界隈で激しい楽曲を歌うのはluzだけではない。人気歌い手としても知られるまふまふも激しい楽曲を披露している。『少年ジャンプ』と『少年マガジン』の夢のコラボレーション『少年ジャンマガ学園』の公式テーマソングに抜擢された「拝啓、桜舞い散るこの日に」。エッジの効いたギターサウンドと軽快なピアノ、ハイトーンで儚げな彼の声が織り成す、青春が匂い立つような切なくも爽やかなロックナンバーだ。


 また、まふまふが人気歌い手のそらると結成したユニット・After the Rainで発表した2曲、アニメ『アトム ザ・ビギニング』のオープニング曲「解読不能」、アニメ『クロックワーク・プラネット』のエンディング曲「アンチクロックワイズ」。どちらの楽曲もヒリヒリとした緊迫感と、思わず瞳孔が開いてしまうような熱量に満ちたアッパーなサウンドに仕上がっている。硬質なギターサウンドの上で、耳馴染が良く深みあるそらるの声と、刺々しくも透き通るようなまふまふの声が複雑に絡み合い、ドラマティックに展開していく。


 そして先ほど名前をあげたラウドロックバンド・オメでたい頭でなにより。ボーカルを務めている赤飯は、“歌ってみた”動画出身者の中でも、特に激しい音楽に特化した存在である。『ニコニコ超会議』に登場した際には単身ステージに上がり、マキシマム ザ ホルモンの男声、女声、キャーキャーうるさい方の3種の声を使い分け、全て1人で歌うという離れ業を披露。歌い手、ロックどちらのリスナーからも高い評価を受けてきた。そんな彼は先日マキシマム ザ ホルモン2号店のオーディションを見事勝ち抜き、女声とキャーキャーうるさい方のパートに抜擢されたのだ。『VIVA LA ROCK 2019』での初ライブでは客席とステージの垣根を易々と超えるエンターテイナーぶりと力強い煽り、様々な声を使い分ける圧倒的オリジナリティが炸裂。マキシマム ザ ホルモン2号店のフロントマンとして、全く新しいスタイルを確立し、かつてない地平を切り開いて見せた。


 今回紹介した3人だけでも、ロック色の強いシンガーが台頭してきていることがわかる。いつ、どこから異才が飛び出すかわからない“歌ってみた”シーン。次の時代を席巻するロックサウンドが生まれるのは、この歌い手界隈なのかもしれない。(タンタンメン)


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