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10分で測定可能。新たな検査キットで潰瘍性大腸炎治療の何が変わるのか

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2019年07月04日 17:10  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

炎症の有無や程度を評価するための、安全で簡便な非侵襲性バイオマーカー

杏林大学医学部 第三内科学教室 消化器内科教授
久松理一先生
 アルフレッサ ホールディングスの子会社であるアルフレッサファーマ株式会社は6月26日、「カルプロテクチン測定の新たな検査キットへの期待 潰瘍性大腸炎の治療継続における課題とは 〜患者さんの負担軽減に向けて〜」と題したプレスセミナーを都内で開催しました。同社は6月5日付で、潰瘍性大腸炎(UC)の病態把握の補助に使用される、カルプロテクチンキット「ネスコートCp オート」の体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得。同製品は、同社が販売するディスクリート方式臨床化学自動分析装置「ヘモテクト NS-Prime」または「全自動便尿分析装置AA01」を用いて、UCと診断された患者の便に含まれるカルプロテクチン濃度を約10分で測定できます。さらに、便潜血と同じ採便容器を用いるため、便中ヘモグロビンの同時測定が可能です。  UCは、大腸の粘膜に炎症や潰瘍を生じる原因不明の難病で、国内の患者数は約22万人と推定されています。いまだ根治療法はなく、速やかに炎症を抑え、寛解導入・維持が治療目標とされています。病態把握のために、定期的な大腸内視鏡検査が行われていますが、侵襲性が高く、患者さんの身体的負担が問題視されています。  同セミナーではまず、司会の北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター長・日比紀文先生が、便中カルプロテクチン測定の意義について言及。「炎症の有無や程度を評価するための安全で簡便な非侵襲性のバイオマーカーとしてはもちろんのこと、赤血球と白血球の両方が把握でき、経済的負担軽減が期待できる点からも、便中カルプロテクチン測定は非常に有意義である」とし、演者である杏林大学医学部 第三内科学教室 消化器内科教授の久松理一先生につなぎました。

「シェアード・ディシジョン・メイキング」への寄与にも期待

 久松先生は、「潰瘍性大腸炎診療 〜便中カルプロテクチン測定の展望と課題〜」と題し、UCの詳しい病態と、現状、そして便中カルプロテクチン測定のメカニズムと有用性についてわかりやすく解説しました。  その中で、IBDはコントロールが悪くなると、大腸全摘出術や大腸がんになるリスクが上がるため、医師は10〜20年先を考えて診療にあたるべきと主張。「特に大腸がんは10年を過ぎると発症リスクが上がるため、若年発症のIBD患者さんでは、30代で発症する可能性がある。だからこそ、日々の診療でこれらのことを意識しながら、具体的な目標を設定して評価する Treat to Target(T2T)という考えのもと、治療にあたっていくべきで、それが患者さんの手術やがん化を防ぐことにつながる」と、述べました。  T2Tでは通常、目標を達成した場合は「治療を弱める・減薬」を検討し、達成できていない場合には「治療を強化」します。その評価をする際に最も重要となるのがモニタリング方法です。かつては臨床的な活動性のスコアを目標としていましたが、それだけでは病気の進行は完全には止められないことが判明し、最近では粘膜治癒、つまり「内視鏡的寛解」までが目標とされるようになりました。実際に、潰瘍でむくんでしまった粘膜も、適切な治療を行っていくことで、むくみが取れ、血管が透けたきれいな状態に戻ります。さらに、「内視鏡的寛解にまで至った患者は予後が良い」ということは複数の論文で検証されており、使用していた薬剤に関わらず、長期の再燃率も高いことが明らかにされています。  しかし、大腸の内視鏡検査を日々の診療のモニタリングツールとして使うことには問題が残されています。まず、患者さんの身体的負担の大きさに加え、昨今の患者数の増加で検査件数が急増し、施設や検査を行う医師の負担も大きくなっています。さらに、頻回に内視鏡検査を行うとなれば、患者の医療費負担も軽視できません。そのため、安全・簡単で、内視鏡の代わり、あるいは補完するようなバイオマーカーが求められていました。便中のバイオマーカーで、最も注目されているのが「カルプロテクチン」です。カルプロテクチンは、主に好中球という免疫細胞が産生する抗菌タンパク質で、S100A8とS100A9の2つのタンパク質の複合体です。大腸に炎症が起こると、腸壁から浸潤した白血球が便とともに排泄され、便中のカルプロテクチン濃度が上がります。この濃度の測定に用いられるのが「便中カルプロテクチン測定キット」です。  便中カルプロテクチン濃度と内視鏡的活動性は高い相関性を示すことがわかっており、日本ではUC、欧米ではUC・クローン病(CD)の診断・活動性評価に使用されています。また、便中カルプロテクチンは臨床症状が出る少し前から上昇するため、「軽症の患者さんの病態把握として活用し、急に濃度が上がったときなどに再燃の可能性を考えて内視鏡検査を行うというような使い方ができるのではないか」と、久松先生は今後の活用法についての見解を述べました。  続けて久松先生は、ネスコートCp オート独自の大きな特徴として、「約10分で測定可能なため、外来の待ち時間中に結果が出る」「便潜血と同じ機器・採便容器で測定可能」という2つを挙げました。また、侵襲性がなく、小児UC患者に使用することのメリットについても解説。最後に、「昨今主流になりつつあるシェアード・ディシジョン・メイキング(患者と医師が治療方針をともに決めていく)という考えに基づいた治療を行う上でも、患者さんと一緒に検査結果を見られる同商品は、非常に期待できる」と述べ、講演を締めくくりました。(QLife編集部)
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