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女性には知られたくなかった男だけの絶頂天国!! 新感覚のBL映画『最短距離は回りくどくて、』

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2019年07月06日 00:02  日刊サイゾー

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日刊サイゾー

写真ピンク映画界の鬼才・山内大輔監督が初挑戦した、新感覚のボーイズラブ映画『最短距離は回りくどくて、』。
ピンク映画界の鬼才・山内大輔監督が初挑戦した、新感覚のボーイズラブ映画『最短距離は回りくどくて、』。

 ピンク映画でおなじみ、OP PICTURES(オーピーピクチャーズ)が手掛ける初めてのボーイズラブ映画『最短距離は回りくどくて、』が、一般館である池袋シネマ・ロサにて2週間限定で公開される。これまでもゲイ映画を毎年2本ペースで製作してきたオーピーピクチャーズだが、今回は女子向けに企画された新趣向のものであり、映画界に新しい波を起こしうる可能性を秘めた作品となっている。

 主演俳優は女性向けアダルト作品で人気を集めている向理来(むかい・りく)。ソフトな顔立ちの向が、ミュージカルや舞台で活躍する塩口量平ら2.5次元系のイケメン男優たちと濃厚なラブシーンを演じている。男同士の絡みには興味がないという人もいると思うが、ちょっと待ってほしい。本作を撮ったのは山内大輔監督。川瀬陽太主演の映画『犯(や)る男』(15)や『よみがえりの島』(16)などで、振り切った演出を見せたピンク映画界の鬼才監督なのだ。腐女子だけが楽しむには、もったいないクオリティーに仕上がっている。

 山内監督が脚本も書いた『最短距離—』のストーリーはこんな感じ。序盤はまず学園ドラマとして始まる。高校生の悠斗(向)には友達がおらず、昼休みはいつも校舎の屋上で過ごしていた。ある日、新任の教師・青山(塩口量平)が屋上に現われ、「先生と交換日記しないか」と持ち掛ける。男同士、しかも教師と交換日記をするという意外性に、思わずOKする悠斗だった。

 交換日記の効果もあって、孤独感から解放される悠斗。だが、平穏な日々はそう長くは続かなかった。悠斗が熱を出して寝込んだことから、青山が日記を持って見舞いに訪れる。ベッドで横になっている悠斗に優しくリンゴを食べさせる青山だったが、無防備に寝ている悠斗の唇に、つい自分の唇を重ねてしまう。気づいた悠斗は驚きのあまり、青山を部屋から追い出し、学校にセクハラ教師として訴えることに。その結果、青山は学校を去り、悠斗は誰にも心を開くことはなくなった。

 物語は中盤から一気にハード化する。高校卒業後、悠斗はホストとして、夜の世界で働いていた。ところが、金銭トラブルから借金地獄へと陥り、悠斗は男娼として体を売ることを余儀なくされる。男を相手にうぶなリアクションを見せる悠斗に、男性客はみんな大喜び。「テクニックだけではない、何か特別なものを持っている」と噂になり、売れっ子男娼となっていく。裏社会で隠れた才能を発揮する悠斗。一方、教師をクビになった青山はホームレスとなっていた。まったく異なる世界で生きる悠斗と青山は、運命に導かれるように意外な形で再会を果たすことになる。

 ハードボイルドものを得意とする山内監督だけに、本作も裏社会を舞台にしたノワール調の作品となっている。表社会では生きていけない男たちの孤独感や愛憎が交差し、物語をスリリングに盛り上げていく。女性層を意識して撮影されていることもあり、男同士のベッドシーンも美しく撮られているのが本作の特徴だろう。どこを責められると気持ちいいのか、男同士はお互いによく分かっており、攻守を交代しながら、どこまでも深くグイグイと責め込んでいく。アブノーマルな世界だが、同時に同性愛の奥深さも感じさせる。

 本作の面白さはそれだけではない。上映時間70分の中、ラストの15分は〈noir〉と〈blanc〉の2種類が用意されており、上映回によってエンディングが異なるという仕掛けになっている。BLファンに2度楽しんでもらおうという狙いだ。上映回によって違うバージョンを上映するという手法は、2.5次元系の舞台ではすでに浸透しているもの。どのバージョンも観たいというファンの心理をくすぐるこの手法、配信ドラマや一般映画でも将来的には流行するのでないだろうか。新しいアイデアを積極的に取り入れるところも、ピンク映画界でサバイバルを続けるオーピーピクチャーズならではのアグレッシブさを感じさせる。

 試写会場に来ていた山内監督に話を聞く機会があったので、コメントを紹介したい。

山内大輔「普段、ピンク映画というジャンルの中で撮っていると、どうしてもルーティンに陥りがちなので、新しいジャンルに挑戦できて面白かったですよ。僕はBLものはおろか、ゲイ映画も撮ったことはなかったので、BLに詳しいAV女優のかさいあみさんに監修として入ってもらいました。BLの世界はいろんな分野に細分化されており、また男女のように受け手と攻め手が固定化されておらず、入れ替わることもあるなど、いろいろ教わりました。ラストが2つあるのも、かさいさんからの発案で、『面白い、やろう』ということになり、当初用意していた〈noir〉に急遽〈blanc〉を加えたんです。キャストに対しては、腰の引けたものにはしたくないという気持ちで演出しました。向くんは経験豊富でしたが、他は男を相手にするのは初絡みという男優ばかりだったので『本当に男が好きだという想いでやってくれ』とハッパを掛けながらの撮影でした。いつもは女優ばかりの現場ですが、男ばかりの現場というのも体育会系っぽくて楽しかったですよ(笑)」

 腐女子のメッカと呼ばれる池袋での2週間限定上映。いつか、新しい時代の発火点となった作品として、記憶されることになるかもしれない。いつだって、新しい時代を生み出していくのは、マイノリティー側なのだから。

(文=長野辰次)

『最短距離は回りくどくて、』

監督・脚本/山内大輔 監修/かさいあみ

出演/向理来、塩口量平、服部武雄、初瀬川博人、おみのじんや、結城駿、竹本泰志、山本宗介、可児正光、森羅万象、長谷川千紗、里見瑤子

配給/OP PICTURES R15+ 7月5日(金)より池袋シネマ・ロサにて2週間限定上映

(c)OP PICTURES

 

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