『監察医 朝顔』の見どころは? 上野樹里、時任三郎、風間俊介の不思議な関係にも注目

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2019年07月08日 09:52  リアルサウンド

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『監察医 朝顔』(c)フジテレビ

 上野樹里が『のだめカンタービレ』以来13年ぶりに“月9”で主演を務めるドラマ『監察医 朝顔』(共にフジテレビ系)が、7月8日からスタートする。上野演じる新米法医学者・万木朝顔(上野)と、その父であり、ベテラン刑事・万木平(時任三郎)のかけがえない日々を描く本作。先日行われた試写にて、第一話を鑑賞した筆者がその見どころを紹介したい。


【写真】上野樹里の恋人演じる風間俊介


 原作は『週刊漫画サンデー』(実業之日本社)に連載されていた医療漫画。朝顔と平が死因の謎を解き明かすと共に、遺体から見つけ出された“生きた証”が生きている人たちの心を救うヒューマンサスペンス。ドラマは、原作の“朝顔は阪神大震災により母を亡くした”という設定を “東日本大震災により母が行方不明になっている”という設定にアレンジして描かれる。


■父娘・恋人・上司部下という不思議な三角関係


 印象的なのは、上野と時任が織りなす見事な親子関係。会話の間や雰囲気など、そこに映るのは文句の多い父をあしらう娘と、娘を気に懸ける父のほっこりとした生活そのものである。そんな2人が、監察医と刑事という別の角度から死因の解明に向けて動き出すのだが、2人と複雑な関係にあるのが、風間俊介演じる桑原真也。桑原は“朝顔の恋人”であり “平の部下”という、考えただけでもかなり厳しいポジションなのだ。


 素朴で一生懸命なイメージのある風間と役柄の相性も抜群で、桑原が平に媚びへつらう姿は、とにかく愛おしい。一方で、サバサバした朝顔と小心者の桑原カップルのやりとりには、ついつい顔がほころんでしまう可笑しさがある。物語が進むに連れて3人の関係性も変化していくようで、そのあたりも物語の大きな見どころとなりそうだ。


■解剖シーンにも説得力を生む、日常の描き方


 解剖シーンは緊迫しつつも淡々と描かれており、臓器の計量や、肋骨をはずす音などリアリティがある。といっても、当然筆者は実際の解剖現場を見たことはない。にもかかわらず、このシーンをリアルだと感じるのは、きっと前後に流れる空気があまりに自然だから。解剖シーンも、朝顔の日常をただ切り取るように描かれているため、“こういう物なのだ”と納得させられてしまうのだろう。


 そんな朝顔の日常を彩るのは、主任教授の茶子(山口智子)、検査技師の高橋(中尾明慶)、法司学者・藤堂雅史(板尾創路)、雅史の妻であり法歯学者・絵美(平岩紙)など、個性的な法医室のメンバーたち。ムードメーカーの高橋を中心に、「すべてアドリブなのでは?」と思うような和気藹々とした雰囲気が心地よい。


 一方、山倉(戸次重幸)や森本(森本慎太郎/SixTONES)ら野毛山署強行犯係の日常で惹かれるのは、一瞬にして切り替わるオンとオフのギャップ。その変化は思わずドキッとさせられるほどで、平と桑原が真摯に、時に泥臭く進めていく捜査にも引き込まれる。


■東日本大震災・被災者の心情をどう映すのか


 解剖を始める際、朝顔は遺体に寄り添い「教えてください。お願いします」と目を閉じるのだが、それは遺体の“生きた証”が消えないうちに、真実を突き止めたいという誠意の表れ。結果として、その“生きた証”が遺族の心を癒やし、悲しみだけではない“温かさ”を胸に残すというのが、このドラマの特徴である。


 先述の通り、朝顔の母は東日本大震災によって行方不明のままになっている。朝顔には、母を失い、遺体すら見つからないというやりきれない経験があるからこそ、監察医として理由のわからない“不詳の死”となることだけは避けたいとの想いがあるのだ。


 物語は、朝顔と平が“遺体の謎”を解明していくと共に、母への思いを胸に、2人が未来に向かって歩みを進める日々を映す。クランクイン前に被災地である岩手県・陸前高田市を訪れ、地元住民に話を聞いて役作りをしたという上野。東日本大震災という大きなテーマが、魅力的なキャストたちを通して、どのように描かれていくのかにも注目したい。


(nakamura omame)


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