『モンスターハンター フロンティアZ』サービス終了へーーその原因と今後への影響を考える

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2019年07月12日 07:11  リアルサウンド

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COG「モンスターハンター フロンティアZ」公式メンバーサイトより

 超大型拡張コンテンツ『アイスボーン』の発売を控え、ますます盛り上がっている『モンスターハンター:ワールド』(以下、『MHW』)。そんな中、『モンスターハンター フロンティアZ』(以下、『MHF-Z』)の運営が、2019年12月18日をもって、同サービスを終了することを発表した。本稿では、長きに渡ってファンに愛され続けてきた『MHF-Z』の特徴を振り返りながら、サービス終了の原因と今後の影響を考えたい。


(参考:【モンハンワールド】アイスボーンの新情報まとめ ティガレックス参戦確定、各武器に新アクションも実装!


・本格派オンラインの『モンハン』
 『MHF-Z』は、2007年にリリースされた、PC向けタイトル。『モンスターハンター』(以下、『モンハン』)シリーズとしては、“初のオンライン前提タイトル”となる。それまでにもオンライン対応したタイトルはあったが、どれもオフラインでのソロプレイがメインで、おまけとしてオンラインプレイを提供している形がほとんどだったように思う。


 そもそも『MHF-Z』がリリースされた2007年ごろは、オンラインゲーム自体が現在ほど一般的ではなく、最近の作品のようにオンライン前提のタイトルはかなり少なかった印象だ。それでも、PCでゲームをプレイしているコアなゲーマーたちにとってはオンラインゲームが当たり前になりつつあったため、『モンハン』シリーズをPCでもプレイできる『MHF-Z』は、彼らを中心に親しまれ、大ヒットを記録した。


・オンラインならではの大人数でのクエスト
 『MHF-Z』は、プレイヤー同士がチャットなどで連携を取りつつプレイする“オンラインゲームとしての『モンハン』”を確立したタイトルと言えるだろう。『モンハン』シリーズとしては最大となる32人での同時プレイが可能なのも特徴としてあげられる。これは、“集会所に集まれる人数”ではなく、“同時にクエストをプレイできる人数”だ。


 『モンハン』シリーズ恒例の“巨大なモンスターを協力して討伐する”タイプのクエスト限定ではあるが、32人のハンターたちが同時に戦うのは実に熱い展開。『MHW』ではそういったクエストはNPCが登場して共に戦うが、『MHF-Z』では全キャラクターを生身の人間がそれぞれ操作している。こういった協力し合う一体感や、プレイヤー同士の距離感など、オンラインゲーム特有の面白さを存分に味わえるのだ。


・アップデートで新モンスターを追加する
 ナンバリングタイトルには出てこないようなオリジナルモンスターを多く追加しているのも、『MHF-Z』の特徴の一つ。『モンハン』シリーズでお馴染みのリオレウスなどのメジャーなモンスターはもちろん、『MHF-Z』でないと戦えないモンスターも数多い。中には強化個体も存在し、後にナンバリングタイトルにも狂竜化や歴戦個体という形で取り込まれている。またその後リリースのタイトルで追加された、新モンスターをアップデートで取り込んでいくのも、『MHF-Z』の特徴だ。『モンスターハンター ポータブル 2nd』で初登場したティガレックスやアカムトルムなどは、『MHF-Z』にアップデートで加わっている。


・多くのハードに対応しているオンラインゲーム
 Xbox 360、Wii U、PS3、PS4、PS Vita……これらは『MHF-Z』を遊ぶことができるゲームハードだ。サーバーやその他制限はあるものの、これだけのプラットフォームをまたいでプレイできるのは魅力の一つだろう。当初はコアなPCゲーマーのみに広まった『MHF-Z』だったが、対応ハードが増えたことで、家庭用ゲーム機しか持っていないゲーマーにも広まった。現在はXbox 360とWii Uのサポートは終了し、PC/PS3/PS4/PS Vitaでのみプレイ可能だが、それでも多くのハードに対応しているオンラインゲームと言えるはずだ。


・『MH2』ベースに限界か
 他の『モンハン』シリーズにはない特徴を持った『MHF-Z』だが、残念ながら今年12月にサービスを停止することが発表された。これは、様々な理由から総合的に判断した結果だろうだが、その一つに“ベースシステムの古さ”という問題があるように思う。


 『MHF-Z』は『モンスターハンター2(ドス)』(以下、『MH2』)をベースに開発されたタイトルである。『MH2』は、2006年にPS2で発売されたナンバリングタイトルの2作目だ。『モンハン』シリーズはもとより、PS2タイトルの中でもかなり珍しく、インターネットを通じたオンラインプレイにも対応した作品だった。もちろん『MH2』も、オンラインプレイ対応で、多くのプレイヤーが「ドンドルマ」(『MH2』オンラインの舞台)でハンターライフを楽しんだことだろう。そんな『MH2』は、以後の『モンハン』シリーズのベースとなった作品と言える。基礎システムの多くは『MH2』で確立され、その後の『モンハン』シリーズに受け継がれているのだ。


 『MH2』のオンラインを発展させたタイトル『MHF-Z』以降も、『モンハン』シリーズは多くのタイトルを重ねて、最新作『MHW』へと進化を遂げてきた。その間、『MHF-Z』がアップデートしてこなかったわけではないが、システムが一新された『MHW』に比べると、古臭さを感じざるを得ないのは事実だ。かといって『MH2』以降のシステムを吸収してゲームを作り変えるとなると、膨大な労力がかかる上に、既存の『MHF-Z』ユーザーの理解を得るのは難しいという問題があるのだろう。


・『MHW』がPCでも発売された
 『MHW』がSteamで配信され、PCでプレイ可能となったのも、『MHF-Z』サービス停止の大きな要因の一つと言えるはずだ。オンラインゲームとしての色が濃い『MHF-Z』には本作だけの良さがあるが、『MHW』はよりラフにオンラインプレイできるため、若いゲーマー層に刺さっている。『MHW』PC版の売上は上々で、発売されてから数カ月間はSteamの売り上げランキング常連となっていたほど。ピーク時には33万人近くがプレイしていたというデータもある。さらに今秋には大型ダウンロードコンテンツ『アイスボーン』のリリースを控えており、より一層盛り上がるだろう。『MHF-Z』と『MHW』ではゲーム性の違いがあり、一概に“PCでプレイ可能な『モンハン』”として括るのは難しいが、影響は少なくなかったように感じる。


・『MHF-Z』難民が『MHW』に流れるか?
 こういった大人気オンラインゲームがサービス終了になると気になるのは、現在『MHF-Z』をプレイしている人たちの行き着く先だ。『MHF-Z』は『MHW』とはシステムが全く異なるため、古参ハンターたちが『MHW』へと流れるのは、一見考えにくい。だが、PCでプレイ可能な『モンハン』というと『MHW』に限られてしまうため、流れていく可能性は充分にあると言える。『MHF-Z』のユーザーが『MHW』に流れて賑わえば、『MHF-Z』ファンにとっても、『MHW』ファンにとっても、良い結果になるのではないだろうか。


(tomokin)


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  • MHF-Zがサービス終了してもMHWはやらない。何らかの形でレスタ(レジェンドラスタ)が出てくるならやるかもしれないけど、まあ出ないだろうなあ。
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