ジャニー喜多川の“Show must go on”の精神 『音楽の日』滝沢秀明×ジャニーズJr.企画への期待

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2019年07月12日 07:11  リアルサウンド

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ジャニーズJr.

 「Show must go on」何があろうと、ショーの幕は開けなければならない――。


 少年隊の『PLAYZONE』シリーズ、KinKi Kids堂本光一の『SHOCK』シリーズ、Hey! Say! JUMPやSexy Zone、A.B.C-Z、King & Princeと受け継がれてきた『JOHNNYS’ World』シリーズ……。数々のジャニーズ舞台で受け継がれてきた「Show must go on」というセリフ。今より、この言葉が重く響くときはない。


(参考:NEWS 増田&加藤、嵐 松本&大野、関ジャニ∞ 錦戸&安田……クリエイティブなジャニーズコンビ


 7月9日、ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川さんが、この世を去った。かつて日本では、ほとんど見られなかった“歌って踊れる“男性アイドル像を築き、エンターテインメントの可能性を広げ続けてきたジャニー喜多川さん。アイドルたちとの距離感は、芸能事務所の社長とタレントではなく、まさに育ての親と子ども=ジャニーズJr.だった。


 自らメディアに出ることを嫌い、カメラの前に立つことはほとんどなかったにも関わらず、タレントたちが親しみを込めて呼ぶ「ジャニーさん」という愛称は、ファンの間でもすっかりおなじみに。いきなり電話がかかってきて「You、○○出ちゃいなよ」と、雑誌や舞台、テレビへと出演することになったシンデレラボーイは数知れず。エンターテイナーたるもの、どんな急な要望にも応えていかなければならない。そんな「Show must go on」を地でいくマネジメントで、多くのスターを輩出してきた。


 また、KinKi Kids堂本剛が明かした、ジャニー喜多川さんから電話がかかってきたにも関わらず「You、誰?」と言われたというエピソードなど、人間味溢れるキャラクターも多くの人に愛されてきた理由のひとつだろう。いつも素朴な出で立ちで、「オーディションのときに、清掃員のおじいちゃんだと思った」と振り返るタレントも少なくない。タレントとの会話はタメ語でするようにと言い、「You」と呼ぶのは大所帯になったJr.たちの名前を間違えたくないからという配慮だとも伝えられている。


 だが、ショーとなれば妥協を一切許さない厳しい面も。本番直前のゲネプロで演出がガラリと変わることも日常茶飯事だった。そして未来のスターを見抜く目、そして独特のネーミングセンスには何度も驚かされた。タレントたちの成長していく姿そのものをエンターテインメントとして昇華させたジャニー喜多川さんは、「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」、「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」、「最も多くのチャート1位を獲得した歌手をプロデュースした人物」と、ギネス・ワールド・レコーズに認定され、その名前はさらに世界へと広がっていくはずだった。


 そんなジャニーズファミリーの父が旅立ったのは、あまりにも寂しい。だが、今こそジャニーズタレントにとって「Show must go on」を実行するときなのだろう。7月13日に音楽特番『音楽の日2019』(TBS系)が放送される。大きな見どころになっているのは、ジャニー喜多川さんの想いを受け継ぐべく昨年プロデューサーへと転身した滝沢秀明による、ジャニーズJr.たちの「汗」をテーマにした企画だ。


 いまやジャニーズ舞台に欠かすことのできないSnow ManやHiHi Jetsらが、ローラースケートで赤坂を滑走しながら、歴代ジャニーズの名曲を歌う。さらに長年、滝沢が主演を務めていた『滝沢歌舞伎』の名物“腹筋太鼓“も披露されるという。吹き出る汗、浮き出る筋肉、やり遂げるという強い意志を持った眼差し……多数のジャニーズJr.たちが、円形に並んで寝そべり、腹筋で上半身を起き上がらせながら太鼓を打つ姿は圧巻だ。


 さらに、滝沢が座長として舞台に出演していたときには、滝沢自らその輪の中心に逆さまの状態で登場。その演出も、滝沢がジャニー喜多川さんと話す中で生まれたものだと明かされている。今回は、3人乗りで高速回転しながら太鼓を打ち鳴らす、“メカ太鼓“という特製装置も登場するという。進化したショー演出を、新時代を担うJr.たちの晴れ舞台を、ジャニー喜多川さんもきっと楽しみにしていたはずだ。


 「子供は大人になれるけど、大人は決して子供に帰れない。だからこの想いを、時計を止めて……」とは、今春公開されたジャニーズ舞台の集大成とも言える『映画 少年たち』でスクリーンに映し出されたジャニー喜多川さんの言葉だ。きっともっと多くの少年たちの成長を見届けたかったに違いない。〈さよならとお別れのあいさつを言うかわり/君にこの歌を僕はおくりたい〉と歌う劇中歌「君にこの歌を」のフレーズを思い出し、また胸がいっぱいになる。


 きっと、これからもジャニーズタレントたちは、ジャニー喜多川さんの教え「Show must go on」を胸に私たちを魅了し続けてくれることだろう。偉大な父を見送った悲しみを胸に秘めステージに立つ、ジャニーズイズムの継承者たち。今はただ、その勇姿をしっかり見届け、応援することでジャニー喜多川さんへの感謝を伝えたい。(佐藤結衣)


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