ホーム > mixiニュース > コラム > 大切なペットと避難するために

「大切なペットと避難するためにまずやるべきこと」 防災士で獣医師の提言

73

2019年07月12日 08:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真災害時のペットとの避難について話す杉村さん
災害時のペットとの避難について話す杉村さん
 2011年の東日本大震災で、多くのペットが、放浪したり、行方不明になったりしたことで、環境省のガイドラインなどでは、飼い主は災害時に自宅などから避難する場合、ペットと同行避難するよう呼びかけている。

【写真】西日本豪雨の際に岡山県倉敷市が開設したペット同伴避難所の様子

 しかし、ペットと同行避難したとしても、今度はどこで過ごすのか、という問題が出てくる。16年の熊本地震では、多くの被災者がペットと同行避難したが、避難所でペットと生活することができず、エコノミークラス症候群になる可能性がある車中泊をしたり、倒壊の恐れがある自宅へ戻ったりするケースが見られた。そうなると、ペットはもちろん、飼い主の命も危険にさらされることになる。

 地震や台風などの災害時に、大切なペットとスムーズに避難するためにはどうすればよいのか。兵庫・淡路島で動物の耳に特化した「どうぶつ耳科専門クリニック主(しゅ)の枝」(兵庫県洲本市)を営み、防災士の資格も持つ獣医師、杉村肇さん(60)は「ペットと飼い主の命を守るために、普段から取り組んでほしいことがある」と話す。

 杉村さんは、1995年の阪神・淡路大震災で、神戸市の実家が半壊。動物病院を開業していた淡路島からフェリーで西宮市にわたり、実家にいた母親をバイクに乗せて、明石市まで避難した。その後は震源地の淡路島北部で、徳島の建築士らと土木調査を行うなど、災害支援にかかわった。

 さらに98年、研修先のアメリカで動物介在療法(アニマルセラピー)の現場を視察して以来、災害時も含めて、ペットと人が良い関係を築くにはどうすればよいかについて考えるようになった。そして、2015〜16年に兵庫県が行う「ひょうご防災リーダー講座」を受講し、防災士の資格を取得。16年11月には、兵庫県南あわじ市で行われたペットとの同行避難訓練に参加した。

 杉村さんによると、阪神・淡路大震災の時は、ビニールハウスの中にケージを積み、犬や猫を保護していたという。「当時は現場も混乱していてあまり問題になりませんでしたが、衛生面などで不安があります。現在は、ペットに対する考え方もかなり変わってきています。このような避難所を敬遠し、車中泊や危険な状態の自宅に戻ることを選ぶ飼い主も出てくるでしょう」

 さらに、前述した東日本大震災や熊本地震などでの状況を踏まえて、同伴避難所の重要性を訴える。「最初から同伴避難が可能であれば、車中泊や、倒壊危険家屋に残る方も少なくなる。放浪動物も少なくなり、救護や(保護した動物を収容する)シェルターの運営にかかる維持費や人手もかからなくなります。何より、飼い主さんと一緒にいれば、ペットのストレスも少ないです」


 兵庫県獣医師会小動物臨床部会の災害・感染症対策委員長も務める杉村さんは、18年9月、県獣医師会として、西日本豪雨(7月に発生)の際に岡山県総社市や倉敷市が開設したペットとの同伴避難所を視察した。倉敷市が、大きな被害が出た真備町から南、山間部にある小学校の体育館に開設した同伴避難所には、犬や猫を連れた約10世帯が避難していた。

 エアコンが作動している避難所のスペースはカーテンで仕切られ、ペットはケージに入れるか、リードにつなぐかして生活していた。ペットフードやペットシーツは市から提供。Wi−Fiが利用でき、市からのお知らせなどが掲示されているため、避難者らは「車中泊の時は、情報がなかなか得られなかったが、多くの情報が手に入り、ありがたい」などと話していたという。

 杉村さんは、避難所が非常に静かなことに驚いた。「吠えたりして、周りの方に迷惑をかけているワンちゃんがいてもおかしくないと思っていました。避難されている方々は、(隣接する)総社市の体育施設から、市役所の西庁舎に開設された同伴避難所、そして倉敷市の避難所へ移ってこられていました。普段から、ペットとの関係ができていた方々だったのですね」

 そこで、杉村さんが飼い主に求めるのが、ペットの「社会化」だ。災害に備えて、普段から薬や迷子札の準備、ペットへのマイクロチップの埋め込み、ワクチン接種などをすることも重要だが、「大事に飼っているペットが、突然、他の飼い主やペットがいる場所に入った時に落ち着いて行動ができるよう、社会化、人や他の動物に慣れさせておくことが大切です」

 さらに杉村さんは言う。「ペットの社会化が、行政の取り組みより先行してほしいぐらいです。行政まかせではなく、ペットも一緒に避難できるように、普段から防災を意識した暮らしをしておかないと、突然の災害に対応できない。普段の生活の延長として、同伴避難ができるような飼い方をしてほしい。それは、飼い主さんにとっても、きちんとした飼い方を考えるきっかけになると思います」

 また、避難所での生活が長引きそうな場合は、親せきや友人などに預かってもらった方が、飼い主とペット、双方にとってよいケースがほとんどだという。このため、「いざという時にペットを預かってもらったり、情報交換したりなどの助け合いができるように、普段から飼い主仲間や親せき、友人などと良好な関係を築くことも大切」と指摘する。

 これは、何もペットを飼っている人に限らないだろう。災害にどう備えるかを、普段から意識して生活することの必要性を改めて感じた。(ライター・南文枝)









このニュースに関するつぶやき

  • 日本で一緒の避難がうまくいかないのは、仕組み以前に他人の命より自分のペット優先の動物の下僕が多いからでしょう。
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • カナダ等では避難する時には必ずペット同伴が常識になってますが、日本みたいに安易に店頭で生体販売され金銭で安易に買える国ではないから出来る事。日本は、まず安易な飼育禁止から!
    • イイネ!25
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(35件)

あなたにおすすめ

ニュース設定