甲子園出場監督に「中学時代にやっておくべきこと」を聞いてみた

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2019年07月12日 17:12  ベースボールキング

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昨春、京都の公立校として6年ぶり、チームとしては初のセンバツ出場を果たし、初戦ではおかやま山陽に7−2で勝って初勝利を挙げた乙訓(おとくに)。この春で就任5年目となる市川靖久監督は、自身も鳥羽高校の主将として00年の甲子園に春夏連続出場した経験を持ち、その熱血な指導は今や府内でも広く知られている。



■1本の棒でパフォーマンスが変わる?
市川監督が中学生を視察するにあたり、大きくポイントを置いている点がある。
「どうしても注目してしまうのは足の速い子です。足が速い=肩が強いという傾向を僕は感じます。足が速いのに肩が弱い、もしくはその逆というケースはあまり見ないですね。もちろん小学校、中学校の成長過程で足が速くなることはありますが、基本的にはこの要素は比例していると思います」。

良い投手と対戦し、なかなかヒットが出なくても少ないチャンスをものにした時、足を使って相手を揺さぶれられれば相手にプレッシャーをかけられる。足の速い選手が揃った方が攻撃のバリエーションが増える、というのが市川監督の見解だ。

その上で、市川監督は体格に関しては特にこだわりはない。「上背がなくても、横に大きくしたり芯を強くすることはトレーニングでできますから」。
だが、身体能力を伸ばすのはなかなか難しいものだ。能力の高い選手は、幼い時から細かい動きをしている子がほとんどで、特にジャンプ系の動きがとても機敏だという。瞬発系の動きこそが、足の速さに繋がる部分が大きい。
「鍛える部分で言うと、太ももの裏側、ハムストリングと言うのですが、ここを鍛えることで色んな動きに繋がってきます。足が速くなるだけでなく、ピッチャーだと投げ終わった後、足が戻ってくる時の反動の動きが、ハムストリングに繋がります。
高校に入る前に準備しておくべきことは、まずは股関節を鍛えること。肩関節を柔らかくすること。身近なもので言えば、1本の長い棒を横にして回すことで肩回りが柔らかくなります。これだけでかなりパフォーマンスが変わってきますね」。
■体作り=トレーニング、もしくは走り込みではない
中学生から、中学野球が終わればまず何をすればいいのかと尋ねられることがある。中学生の野球は、早ければ3年生の夏に終わるとすると高校入学までに半年以上時間がある。素振りをした方がいいのか、どれだけ走っておいたらいいのかなどと具体的に尋ねる子もいるが、自己流のまま素振りを続け、正しくないフォームを身につけて高校に入学しては何の意味もない。そのため市川監督は高校でちゃんと動けるための体作りを勧める。

「体作り=トレーニング、もしくは走り込みという考えの方もいますが、自分の言う体作りは体の柔軟性を高めることです。それと食べることも大事です。高校ではプロテインを練習後に飲みますが、中学生までは必要ないと思っています。家でのご飯をしっかり食べることの方がむしろ大事です。
プロテインを飲むと筋肉がつくのではと思われている人も多いかもしれませんが、トレーニングして失った栄養を補給するためにプロテインを摂るのであって、きちんとしたトレーニングもしていないのにプロテインを飲むと、ただ単にたんぱく質などの栄養を摂っているだけになってしまいます。
今は色んな情報がインターネット、動画などですぐに入ってきますし、色んなことをやってみたいと思うでしょうね。でも小中学生はまだ発達段階ですし、その時々の状況を見ながら何をすべきかを考えることが大切だと思いますね」。(取材・写真:沢井史)

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