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サザンオールスターズの40周年ツアーは“これから”を見せていた 東京ドーム公演を振り返って

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2019年07月12日 19:01  リアルサウンド

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写真サザンオールスターズ(写真=西槇太一)
サザンオールスターズ(写真=西槇太一)

 サザンオールスターズが40周年を記念し、バンドとして初となる全国6大ドームを含む全11箇所22公演を行なった、全国ツアー『“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!』。本稿では東京ドームのファイナル公演を振り返りたい。


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 本ツアーは、40周年のお祭り騒ぎでも、これまでの活動や昭和〜平成という時代を総括するものでもなかったように思う。冒頭から「東京VICTORY」、「壮年JUMP」と、過ぎ去った時代を愛おしみながら、いまを力強く謳歌するようにスタートを切ったライブ。もちろん、本編の終盤を飾った「イエローマン〜星の王子様〜」〜「マンピーのG★SPOT」、アンコールで披露された「勝手にシンドバッド」など、爆発的に盛り上がるパートも多かったが、それ以上に「わすれじのレイド・バック」、「慕情」、「Moon Light Lover」などに象徴される、胸にじわりと染みる叙情的な楽曲が多く、ファンそれぞれが“聴きたかったあの曲“にじっくりと耳を傾ける、贅沢な時間が記憶に残る。「DJ・コービーの伝説」(1983)や「ゆけ!!力道山」(1993)など、時代を感じるレア曲も披露しつつ、しかし思い出に浸るというより、あくまでファンと正面から向き合い、2020年からその先のサザンをイメージさせるものだった。


 そんな思いを深めた理由が、ふたつある。ひとつはライブの中盤、「これでツアーが終わっちゃうと思うと、さみいしなという気持ちが込み上げてきます。ただ今回、実は新曲があるんですよ」と桑田が切り出し、披露した未発表の最新曲「愛はスローにちょっとずつ」(仮)だ。鍵盤が美しく響く、優しいバラード。愛おしい人との別れが叙情的に描かれ、戻らない過去を慈しみながら、かなしみとともにゆったりと前に進む、というイメージが伝わってくる。昨年リリースされた「闘う戦士(もの)たちに愛を込めて」のように社会的なメッセージを込めることも、「壮年JUMP」のように弾けるようなポップスを届けることも、「北鎌倉の思い出」のように神秘的で柔らかな世界観を描き出すことも、何でもできるバンドが、最新曲として提示したのが、胸が締め付けられるような瑞々しさをたたえた一曲だったこと。それがライブの余韻を長く美しいものにしていたし、早くも次のリリースに対する期待を高めていた。


 もうひとつは、アンコール最終曲ーー「旅姿六人衆」を今ツアー用にアレンジした「旅姿四十周年」のパフォーマンスだ。例えば「みんなのうた」のような、大団円感のあるヒットシングルで締めくくるのではなく、バンドを支えるスタッフとファンに感謝を捧げたこの曲の歌詞を、さらに〈東京ドームで また逢おうね みんな元気で さようならを 東京ドームで また逢おうね みんな元気で ありがとうね〉と置き換えて、再会を期したのだ。サザンオールスターズ、そして、サポートメンバーによる卓越したアンサンブル、そのなかで遊ぶような、自由なステージングに“満足”させられながら、“満腹”にはならず、すぐにでもまたライブが観たい、サザンに会いに来たい、と思ったファンも多かったことだろう。


 桑田佳祐がこの1年、もっとも多く発した言葉は「ありがとう」ではないだろうか。ライブでも、テレビの特番でも、自らMCを務めるラジオ番組でも、桑田は40周年という節目に際して、その活動を支えてきたスタッフやミュージシャン、メンバー、そしてファンに対して、繰り返し感謝の言葉を送ってきた。今回のツアーを経て思うのは、それは「これまでありがとう」ではなく、「これからもよろしくね」が詰まったものであるということ。全36曲/3時間半に及ぶライブ、しかも2daysという過酷なステージで、40周年というキャリアを持つ国民的バンドのサービス精神はまったく薄れず、全国のドームで「読売ジャイアンツの大ファンだ」と語り、巨人のホームである東京ドーム以外ではブーイングも浴びてきたという松田弘(Dr.)、愛のある“イジリ”でメンバー紹介を飛ばされても、変わらぬ笑顔の野沢秀行(Per.)、急に「ダンサーになりたかった」と夢を語り、チャーミングなダンスを披露する関口和之(Ba.)、「還暦過ぎてもバンド女子」の名フレーズで観客をわかせる原由子(Key.)ーーと、気負いなく、ゆったりと新たな一歩を刻むメンバーの姿が見られた。


 遠からずリリースされるだろう新作とともに、早くも次のライブが楽しみになる、理想的なツアーファイナル。サザンの時代は、まだまだこれからも続きそうだ。(編集部)


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