ハードル下がった起業 手軽さゆえの落とし穴とは?

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2019年07月12日 20:02  新刊JP

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『相談件数No.1のプロが教える 失敗しない起業 55の法則』(日本能率協会マネジメントセンター刊)
多くの人が一度は夢見てあこがれる起業だが、成功する人はごく一握り。やはり、簡単なものではないという現実がある。

ビジネスのプラン、戦略、人脈が揃っていても、かならずしも起業は成功しないもの。どんなに自信があっても油断はできない。

これから起業する人が少しでも成功の確率を高め、すでに起業しているものの軌道に乗っていない人がビジネスをいい循環に乗せるために、どんなことが必要なのだろうか。

■「資本金1円」手軽になった起業、落とし穴も…

起業コンサルタントの中野裕哲さんは、著書『相談件数No.1のプロが教える 失敗しない起業 55の法則』(日本能率協会マネジメントセンター刊)で、起業でつまずかないために知っておくべきこと、やるべきことをまとめている。

その内容は、商品やサービスの設計から資金調達、営業、マーケティング、会計、税務まで多岐にわたるが、ここでは「はじめの一歩」ともいえる会社設立について、知っておくべきことを紹介する。

昔とは違い、今は法的には「資本金1円」で起業ができる。起業へのハードルは確かに下がっているが、だからこその落とし穴もある。

資本金1円で法人を作ることは可能だが、この場合資金調達が難しい。金融機関が融資判断をする際、資本金の額は目安の一つになるからだ。当然1円しかない会社に融資をしようとは思わない。また、理屈上資本金1円で起業した会社は、ペンを一本買うだけでも社長から借り入れをしなければいけないことになる。事実上「1円」では事業はできないのだ。

手軽さという意味で「1円起業」と同様落とし穴になりがちなのが、バーチャルオフィス。働き方が多様化し、起業するといってもかならずしもオフィスを必要としなくなっている一方で、会社設立には住所が必要である。

こうしたニーズに応えて、登記上の住所として使えるのがバーチャルオフィスだが、バーチャルオフィスを本店所在地として登記していると、銀行口座を開設できないケースや、自治体の創業融資を受けにくくなるケース、官公庁の許認可が下りにくくなるケースなどがあり、注意が必要になる。詳しく知らないまま自分だけで会社を立ち上げることのリスクは知っておくべきだろう。

■「これを売りたい」だけでは起業はうまくいかない

また、中野さんは起業家に多い失敗として「プロダクトアウト」で起業してしまうことをあげている。プロダクトアウトとは、売り手側が売りたい商品・サービスを市場に提供していくという方向性のこと。

「これを売りたい」という熱意は大事である一方で、その熱意だけで突っ走るとニーズのない商品で勝負することになりかねない。起業失敗の確率を下げるには

・社会が求めているか(ニーズがあるか)
・自分ができることか(実現できること、得意なことか)
・自分がしたいことか(好きなこと、人生で実現したいことか)

の3要素を兼ね備えた領域で起業することが大切で、それを数字的に検証することも重要だという。



「こんなビジネスをやりたい」という情熱は大切だが、情熱だけでうまくいくものでもない。起業で成功するためには、心に描いているビジネスやすでに始めているビジネスを、持続可能かつ収益性の高いものにアレンジしていく必要がある。

ここで紹介した内容は、ごくごく基本的なこと。本書は起業する際の落とし穴ややるべきこと、考えるべきことについて網羅的に解説されている。

起業は人生の大勝負。取り返しのつかない失敗をする前に、一読してみてはいかがだろう。

(新刊JP編集部)

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