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困難を前に、ポキッと心が折れてしまう子と、「よし!」と立ち上がり、力強く歩き続けていく子。
その違いは、その子が持つ「レジリエンス」にあります。
レジリエンスとは、精神・心理学の用語では「回復力、復元力」を示す言葉として使われています。(※1)子ども時代から、“困難を乗り越える力”として培っていくことが大切です。
そう話す長岡さん。
この記事では、20年間、様々な文化背景を持つ乳幼児から大人までの育ちをサポートされた長岡真意子さんに、幼児期からできる「レジリエンス」を育む子どもとの関り方についてお話しいただきます。
「笑顔に溢れた幸せな人生を送ってほしい」、わが子に、そう願わない親はいないでしょう。
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でも、人生では、時に、悲しいことや辛いことにも出合うものです。順調満帆な時ばかりではなく、物事がうまくいかない逆境に陥ることもあるでしょう。
そんな時、たとえ一時は落ち込んだとしても、やがて立ちあがり、困難さえも糧にして、再び笑顔になれる回復力があるならば、その子は、きっと幸せな人生を送ることができる、そう思いませんか?
劇的に変化し、先行き不透明といわれるこれからの時代こそ、こうした「レジリエンス」を、子どもたちに培ってあげたいですね。
レジリエンスについて長年研究を続ける心理学者マーティン・セリグマン氏によると、次の「3つのP」という考え方が、困難から回復するのを妨げるとされています。
1.自責化(Personalization: 自分が悪いのだと思うこと)
2.普遍化(Pervasiveness:ある出来事が人生の全ての側面に影響すると思うこと)
3.永続化(Permanence:ある出来事の余波ががいつまでも続くと思うこと)
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(※2)
つまり、困難を前にした時、過度に自分を責め、「これがうまくいかないなら、他のこともうまくいかないだろう」と思い、「今うまくいかないなら、これからもうまくいかないだろう」と悩むことで、回復力が損なわれるというのです。そして、こうした「3つのP」という考え方にとらわれない(自責化、普遍化、永続化しない)人ほど、レジリエンスが高いと分かっています。(※2)
ですから、親としてできることのひとつは、こうした「3つのP」といった考え方を助長しない関り方を心掛けることが大切に思います。
●責めるより、「自分で解決できる」という自信を培う
例えば、子どもがミルクをこぼしたら、「何してるの!」と責めるより、「どうしたらいいかな?」と聞いてみましょう。
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自分で布巾を取りに行ってきれいにするのがまだできないようならば、その子ができる範囲で、一緒にこぼれたミルクを片付けてあげるとよいでしょう。
問題が起こるたびに、その子を責めるよりも、解決策を共に考え、実践することで、「自分には問題を解決する力がある」というその子の自己効力感を培ってあげましょう。
●「できている時」を小まめに認める
ママも忙しいですから、ついつい子どもが何か「できない時」にのみ、口や手を出す、となりがちです。それでも、なるべく普段、その子が「できている時」をこまめに認め、伝えてあげましょう。
例えば、お友達と喧嘩した時にのみ、「仲良く遊びなさい!」と介入するのではなく、普段、できている時に、「仲良く遊べて楽しいね!」「玩具貸してあげられて優しいね!」と喜んであげるようにします。
子どもは、普段から、たっぷりと「できる自分」を認められることで、たとえ、物事が思うようにうまくいかない時でも、「自分にはできることもたくさんある!」と思い出せるようになります。
●必ずまた笑顔になれるという安心感を培う
ママも人間ですから、子どもの前で、怒ったり、悲しんだり、落ち込んだりすることもあるもの。そして、それは、とても自然なことです。
それでも、そうしたネガティブな感情も、ずっと続くのではなく、再び笑顔で元気になれるという姿をみせてあげましょう。
それには、その日どんなことがあっても、寝る前や翌日の起床時には、笑顔で子どもを抱きしめ、「大好きよ」と伝えることを習慣にしてしまうのも方法です。
すると、子どもは、「何があっても、またこの温もりに戻ってこられる」という安心感を培うことができると思います。
子どものレジリエンスを高める関り方を心がけ、これからの世界を幸せに生き抜く子ども達を育んであげたいですね。
【参考・画像】
※1 発達障害児の育児適応に重要な三要素が世界で初めて明らかに〜「養育レジリエンス」に着目〜NCNP
※2 シェリル・サンドバーグ&アダム・グラント 櫻井裕子 訳『OPTION B:逆境、レジリエンス、そして喜び』(2017) – 日本経済新聞出版社
※ Yuganov Konstantin、Africa Studio / Shutterstock
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