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望んだ「職場初」育休、でも駆られる不安 「必要とされなくなるのでは……」見えぬキャリアに惑う男性

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2019年07月14日 07:10  ウィズニュース

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写真初めての育児に備え、夫婦で両親教室に参加する男性=男性提供
初めての育児に備え、夫婦で両親教室に参加する男性=男性提供

「育休後にいまの給与、地位を維持しながら働けるのか、今後邪険に扱われないのかが心配です」

これから育児休業に入るという、30代男性から届いたメールには、そんな不安が率直に書かれてありました。男性で育休を取得するのは、職場では初めてのケースとのこと。「ロールモデル」がいないことも、不安に拍車をかけます。揺れ動く気持ちを聞きました。(朝日新聞記者・武田耕太)

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まわりに「前例」なし
男性は妻の出産にあわせ、3カ月の育休を取得する予定です。仕事は小売業。中間管理職でしたが、育休の相談を会社とするなかで、会社は補充の人材をあてがうことになり、現在は引き継ぎをしながら育休までの日々を過ごしています。話を聞いたのは、そんなタイミングでした。

男性で育休を取得するのは、職場としても初めて。「探り探りでミーティングをしながら、話を進めてきました」と男性は振り返ります。男性の後任となる人材は、春にやってきました。「もうこの会社で必要とされなくなるのでは……」。男性はそんな不安に駆られたといいます。

復帰後はどうなるのだろう? まわりを見渡しても、職場で参考になるような「前例」はみあたりません。男性自身はそれまで仕事に熱心に励んでいました。将来はさらに職場で上のポジションになることも視野に、そのための勉強に自分の時間を費やすなどしていたタイミングで、妻の妊娠がわかりました。

今後のキャリアを考えると、大事な時期ということはわかっていました。では、なぜ育休を?

男性と妻は、ずっと子どもがほしいと思っていたそうです。そして、あるとき妻の妊娠が判明しました。別の職場でフルタイムで働く妻とは、相談し、助け合いながらここまでやってきました。男性は主に料理をメインに家事を担当しています。妻は産後、やはりフルタイムでの職場復帰を希望しているそうです。

「家族は助け合いながらやっていくもの。そんな気持ちは前からあり、自然と育休をとりたいという気持ちになりました」。妊娠中に妻がひどいつわりで1カ月入院になり、その姿を近くでみていたことも、その気持ちをさらに高めました。

復帰後の処遇、はっきり聞かされず
自ら望んで取得する育休。でも、なぜこんなに不安に駆られるのか。男性の不安に対し、職場からは「復帰後に給与が激減するようなことはない」と説明されています。ただ、人事上の処遇など、はっきりしたことは聞かされていないといいます。

キャリアが中断される影響は? 復帰後の職場での処遇は? 子どもができた後、共働きで夫婦の働き方はどうなるのか? いずれも多くの母親が直面してきた問題のはずです。でも、男性で身近にそれを体験をもとに語ってくれる人はいません。

男性はメールの最後にこう書いて、送ってくれました。「復帰後のキャリアや、家族との関係がどうなるのかが心配で、色々な人の意見を聞きたいと思いました」

30代で育休、自分だったら……
男性の話を聞き、「自分はどうだっただろう?」と考えました。記者(44)は41歳のとき、長女の誕生にあわせ6カ月の育休をとりました。

男性で6カ月の育休をとるのは珍しいことではありましたが、前例がなかったわけではなく、私は育休に入る前、同僚の女性社員の紹介で、育休をとった経験をもつ男性社員の話を聞くことができました。いま思えば、恵まれたことだったと思います。

そして、実はもう一つ、ふと頭をよぎったことがあります。「もし、自分が男性と同じぐらいの年齢だったら育休をとれただろうか?」ということです。

入社から10年ぐらいが過ぎた30代は、責任のある仕事も任されるようになり、まさにこれからいろんな仕事ができる、あれもやりたい、これもやりたい……。私自身はそんな時期でした。

そんな毎日を無我夢中で過ごし、40代に入るころ、「仕事ばかりの生き方を変えたい」という気持ちになりました。妻の妊娠が判明したのは、そんなタイミングとも重なりました。育休という選択肢がすっと自分のなかに入ってきました。

ふり返ってみると、30代で仕事ばかりの日々を過ごすことができたからこそ、そう思えたような気がします。もし10年前だったら、キャリアの中断を避けたくて、育休をとる決断はできなかったように思います。

だからこそ、男性が職場で初めてとなる育休を、キャリアの中断に不安も抱えながら取得することを、心から応援したい気持ちになりました。

まだまだ少ない育休、だからこそ経験の共有
2018年度の雇用均等基本調査(速報版)によると、男性の育休取得者の割合は6.16%で、年々上昇していますが、まだ少数派です。そして15年度の同調査によると、その期間は「5日未満」が56.9%と最も高く、1カ月未満が8割以上を占め、長期の育休取得者はぐっと少なくなります。

メールを寄せてくれた男性が「ロールモデル」を探してみても、世の中全体でみてもなかなか見つからないのが現状です。

育休をとるのは不安ではありませんでしたか? キャリアへの影響をどう考えていましたか? 復帰後、思い描いた生活ができていますか? 「色々な人の意見が聞きたい」。私も、この男性と同じ気持ちです。

帰省にまつわるモヤモヤ 募集します
仕事と家庭とのバランスに葛藤を抱え、子育ての主体と見られず疎外感を覚える――。共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、このようにモヤモヤすることがあります。

一方、「ワンオペ育児」に「上から目線」と、家事や育児の大部分を担い、パートナーとのやりとりに不快感を覚えるのは、多くの場合「母親」です。父親のモヤモヤにぴんとこず、いら立つ人もいるでしょう。「父親がモヤモヤ?」と。

父親のモヤモヤは、多くの母親がこれまで直面した困難の追体験かもしれません。あるいは、父親に特有の事情があるかもしれません。いずれにしても、モヤモヤの裏には、往々にして、性別役割や働き方などの問題がひそんでいます。

それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながるはずです。語ることに躊躇しながらでも、#父親のモヤモヤ について考えていきたいと思います。

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記事の感想のほか、帰省した夫の実家でのモヤモヤや、父子での帰省にまつわる体験を募ります。連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)、ファクス(03・5540・7354)、または郵便(〒104・8011=住所不要)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。

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