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田代まさしさん「NHK出演」の意味とは? 元女囚が考える、覚醒剤中毒者の社会復帰

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2019年07月14日 19:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

写真『バリバラ』(NHK Eテレ)公式サイトより
『バリバラ』(NHK Eテレ)公式サイトより

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■ピエール淳之介さん(苦笑)

 マーシーこと田代まさしさんがNHKのEテレで「ぶっちゃけ授業」をされたのが話題ですね。覚醒剤中毒だった自分について話すという番組でした。ふだんはテレビをあまり見ない私も、しっかり見ましたよ。

 マーシーは最初から「ピエール淳之介です」とかすべり気味で、司会の方に「ろれつがあんまり回ってないけど、今もクスリをヤッてんですか?」と聞かれてました。でも、ここは真顔で「いや、クスリを使ってる時のほうがろれつが回るし、手の震えも止まるんです」とキッパリと返していて、私も「あー、それはホンマやね」と、独りテレビに向かってうなずいてしまいました。

 マーシーはかなり正直に、獄中(なか)では売人と知り合って密売について語り合ったことや、ひたすら「クスリやりてぇ」と思っていたことなどをダジャレも交えながら話していました。要するに、「今のムショでは更生はムリ」ちゅうことですね。ここ大事です。ムショに入ってもポン中は治りません。

 あれっと思ったのは、独房のはずのマーシーが売人と話せていることですが、そういえばマーシーは1回目は独房で、2回目は雑居やった……と聞いたことがありましたね。芸能人も、本人の希望とかで雑居に行けることもあるのです。前にも書きましたけど、獄死した松山ホステス殺害事件の福田和子も雑居でした。

「『自分は依存症ではないから、いつでもやめられる』と思っていたのが間違いだった。だから、再逮捕されても全然やめられなかった」

 番組でのマーシーの言葉です。これも「ポン中あるある」ですね。なんか「自分だけは違う」って思ってしまうんです。クスリに限らず、お酒や万引とかも同じでしょう。司会やゲストの人も、マーシーの話を聞いて、「今までは、クスリをやめられない人はダメ人間と思ってたけど、依存症は病気だから、批判するだけではダメなんですね」と、わかってくれたようでした。

 ちなみに番組を見ていた編集者さんから、「テレビカメラの前で自分のことをすべて話すのは、相当しんどいでしょうね」と言われました。いやいや、むしろそのほうが気が楽になるんでしょう。ホンマのことですからね。私も自分から覚醒剤について話すことで、過去に向き合ってきました。

 マーシーや清原和博さんがどんどんテレビに出て、本音でしゃべってくれたら、ポン中への理解も深まるし、社会復帰もしやすいのにと思います。レディー・ガガとか海外のロックスターたちも、過去のクスリ体験をオープンにしてますしね。日本も、そうなっていけばいいですね。

■居場所としてのダルク

 番組ではマーシーが「ダルク」のスタッフとして働いているところも紹介されました。ダルク(DARC、Drug Addiction Rehabilitation Center)とは、自分も覚醒剤の使用歴のある近藤恒夫さんが1985年に作られた薬物依存者回復施設です。今は全国に組織があって、それぞれがピラミッド型ではなくヨコでつながっているそうです。

 ダルクにも、「ミーティングの時にみんなでなんでも話す」というリハビリがあって、「私ならここまで言わんけど」的なことまで、なんでも話すのだそうです。そしたら、気持ちがすっきりするんですね。マーシーがダルクの仲間たちと、毎日「今日もクスリをやめられた」と話しながら真面目に生活している姿を見てもらうことは、家庭や仕事があるのと同じくらい大事やなと改めて気づきました。

 世間の皆さんが温かい目で見てくれたら、更生も早いです。私もテレビや雑誌の取材を受けて、「こんな私を信じて話を聞いてくれる記者さんたちを裏切ったらアカンな」と思いましたからね。バッシングで、いいことは何もないです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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