下半身麻痺の27歳男性、結婚し養子5人を迎え「チャレンジすることで世界を変えることができる」(米)<動画あり>

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2019年07月15日 21:32  Techinsight Japan

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5人の女の子を養子に迎えた夫妻(画像は『Inside Edition 2019年7月11日付Twitter「Chris Norton, the paralyzed groom who went viral after miraculously walked down the aisle at his wedding, has now adopted five girls with his wife and is writing a memoir, “The Seven Longest Yards.”」』のスクリーンショット)
今から約9年前、フットボールの試合中に脊髄を損傷したアメリカの男性(27)は、リハビリの最中に“生涯の伴侶”と巡り合い、事故から約7年を経て結婚した。「首から下の感覚が戻る確率は3%」との医師からの言葉に屈することなく、人生のどん底から這い上がってきた男性はその後、5人の子供たちを養子として迎え入れた。彼の力強い生き様は多くのメディアに取り上げられ、人々に感動や希望を届けている。

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2010年10月16日、18歳だったクリス・ノートンさん(Chris Norton、27)は、カレッジフットボールの試合中に脊髄に損傷を負った。医師からは「首から下の感覚が戻り再び歩けるようになる可能性は3%」と告げられたが、事故から9か月でアイオワ州ルーサー・カレッジに車椅子で復学した。辛いリハビリに励んでいた2013年、クリスさんはその後の人生を変えるエミリー・サマーズさん(Emily Summers、26)と出会い、恋に落ちた。一目惚れだった。

「大学の卒業式にはなんとかステージを歩きたい。自分は回復が見込めない97%にはなりたくない。3%にかけてみたい。やらなければいけないことを、いつもより少しだけ努力して頑張ってみよう。小さなステップもやがては大きな成果となって現れるはずだ。」

強い意志を持ち「卒業式で歩いてみせる」というゴールを設定したクリスさんは、家族や友人、そして愛するエミリーさんに支えられて、必死にリハビリに励んだ。そして2015年5月、クリスさんは大学の卒業式のステージで一歩一歩ゆっくりと確かめるように歩を進め、念願の卒業証書を手にした。彼のそばには式の前日にプロポーズした“婚約者”のエミリーさんが寄り添い、クリスさんをしっかりと支えた。最初の目標を見事達成したクリスさんの誇らしげな姿に、式に出席したクリスさんの母は涙を流し、会場は拍手喝采で包まれた。

そんなクリスさんが次に設定した目標は、「結婚式で7ヤード(約6.4メートル)のヴァージンロードを歩くこと」だった。式は卒業から3年後の2018年4月21日にフロリダ州で行われたが、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。クリスさんの卒業を見届けたエミリーさんはその後、うつ状態に陥り、怒りをコントロールすることができなくなってしまったのだ。クリスさんは「7ヤードを歩くことよりも、結婚式までの日々が一番辛かった。自分をギリギリまで追い詰めたリハビリも、エミリーとの関係においても、くじけそうになったことが何度もある。でも教会に通い、たくさんの人々からサポートを受け、なんとか立ち直ることができたんだ」と明かしており、紆余曲折を乗り越えて結婚した2人の表情は実に晴れやかで美しかった。クリスさんはこの時もエミリーさんに支えられ、今までで一番長い7ヤードを歩き切った。ちなみにこの時の2人の姿は、夫妻の共著で今年7月9日に出版された『The Seven Longest Yards』の表紙になっている。

普段の移動には車椅子を使用しているクリスさんだが、普通の人と同じように歩けるようになるまでにはまだまだリハビリが欠かせない。それにもかかわらず、夫妻はこれまでに17人の子供たちを里子として迎え入れてきた。「支えられてばかりではなく、自分たちも人に何かを与えられる存在になりたい」―そんな気持ちがあってのことだった。しかし里子に迎えた子供たちが家を離れるたび、寂しさと罪悪感に襲われた。そして昨年12月、2人はある決意をした。最初に里子として受け入れたウィットリーさん(20)を家族の一員として迎えたのだ。2か月後、さらに夫妻は10歳、8歳、6歳、3歳の血の繋がった4姉妹を養子として迎え入れた。

エミリーさんは「彼女たちは永遠に私たちの娘になりました。良い時も悪い時も子供たちがそばにいてくれることは、私にとってこの上ない喜びです。私たちが子供たちに恩恵を与えているのではなく、子供たちが私たちに恩恵を与えてくれるのです」と語り、大家族になったことを心から喜んでいる。一方でクリスさんは「父親になったら一緒にキャッチボールをするとか、プールで遊びたいとか、そんなことを漠然と考えていましたが、今の自分にはそれができません。身体は麻痺しても心が麻痺することがないように、『父親として今の自分に何ができるのか』を常に模索しています」と述べている。

事故からもうすぐ9年が経つが、クリスさんは「エミリーがいたから自分も変わることができたのです。エミリーこそ私の最愛の人、生涯の伴侶だと思っています」とエミリーさんへのまっすぐな愛を口にする。人を愛し、人に愛されているからこそクリスさんは強いのであろう。これまでに自分の事故やリハビリの様子を綴った本を2冊出版し、映画の制作も手掛けている。現在はアメリカ国内を飛び回り講演を行っているほか、「クリス・ノートン基金(CHRIS NORTON FOUNDATION)」を立ち上げ、脊髄損傷の人々をサポートする活動を行っている。

“たった3%”にかけたクリスさんの熱意は、一歩が二歩になり、二歩が三歩となり、97%の不可能を可能にしてみせた。「歩くことだけがゴールではない。必要なのは自分を信じて、立ち上がることだ。チャレンジすることで、世界を変えることができるんだ」―クリスさんの言葉が胸に刺さる。



画像は『Inside Edition 2019年7月11日付Twitter「Chris Norton, the paralyzed groom who went viral after miraculously walked down the aisle at his wedding, has now adopted five girls with his wife and is writing a memoir, “The Seven Longest Yards.”」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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