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男の子はパイロットで女の子はケーキ屋さんって古いんじゃ? 小さい子どもにこそジェンダーフリー教育を

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2019年07月16日 07:00  AERA dot.

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写真アメリカの絵本の1ページ。将来の職業をテーマにした本で、教師・医師・シェフは男の子が、パイロット・大工・科学者は女の子がなるよう描写されています(写真/本人提供)
アメリカの絵本の1ページ。将来の職業をテーマにした本で、教師・医師・シェフは男の子が、パイロット・大工・科学者は女の子がなるよう描写されています(写真/本人提供)
 先日、日本の教育番組を鑑賞していたところ、んんん?!と思わず二度見してしまう描写がありました。

 おにいさん2人、おねえさん2人が将来の夢について語る歌で、おにいさんたちはパイロットとサッカー選手、おねえさんたちはケーキ屋さんと画家に憧れるという設定だったのです。
 
 それのどこが変なの?と首をかしげる方もいるかもしれません。でも、アメリカの教育番組だったらこういう描写はしないだろうな、と思うのです。少なくともおにいさんのどちらかがケーキ屋さんか画家、おねえさんのどちらかがパイロットかサッカー選手、という演出がされるはずです。

 アメリカのメディアは、ジェンダーフリー教育に熱心です。ジェンダーフリーとは、男らしさ・女らしさというステレオタイプにとらわれず、一人一人が自分の望む選択をできるようにしようという考え方。アメリカの子ども向けテレビ番組や映画、絵本には、切れ者の女性科学者やおだやかな専業主夫、パンクロック好きな女の子や泣き虫男の子といった役柄がたくさん出てきて、従来の男らしさ・女らしさとは真逆を行く描写が意図的にされています。

 先日、FIFA女子ワールドカップでアメリカが2連覇を果たしましたね。アメリカの女子サッカーチームが世界でもダントツに強い理由は、1972年に制定された性差別を禁止する連邦法、タイトル・ナイン(Title IX)が一因にあるという分析があります。それまではアメリカにも「女がスポーツなんてやるもんじゃない」という偏見があったのですが、タイトル・ナイン制定によって女性へスポーツの門戸が開かれ、学校や地域で女子向けのサッカー教室が開かれるようになりました。男女間の賃金格差問題があり、まだ男女平等とはいえない状況ですが、それでも女子サッカー人口が増えて現状の強さにつながったというのです。

 またわたしのアメリカ人義母は学生時代に医師を志していたのですが、「女が医者になんかなるもんじゃない」と医師の父親に反対され、結局4年制大学の看護科へ行って看護師になりました。つい30年前の話です。それから状況は変わり、現在アメリカにおける女性医師の比率は36.1%(2017年、OECD調べ)。他のOECD加盟国と比べると決して高くはありませんが徐々に増えており、この20年間で女性医師の数は約2倍に増えています。

 このように、つい半世紀ほど前はアメリカにも女性への偏見・差別がはびこっていたのです。でも、そんな時代への反省からか、強迫観念的ともいえるほどジェンダーフリー教育が徹底され、今こうして目に見える成果が出ています。
 
 さて、日本はどうでしょうか。日本の女性医師比率は21.0%(2016年)で、OECD加盟国としては最低ランクです。他にも、研究者に占める女性割合は調査国のなかで最下位(文部科学省調べ)、女性国会議員比率もG20諸国で最下位(nippon.comより)と、実に不名誉な結果が出ています。

 就業の前に、学業の機会に男女差があるのでしょうか。

 アメリカでは、準学士(短大卒)、学士、修士、博士課程の資格保持者の数はすべて女性が上回っています。かつてはすべて男性のほうが多かったのですが、準学士は1977−78年、学士は1981−82年、修士も1980−81年、博士は2006−07年に、男女の数が逆転しています(National Center for Education Statistics調べ)。

 一方日本は、2012年の時点でも大学の学部進学者の数は男性のほうが上回っており(文部科学省調べ)、「女の子が大学なんか行ったらお嫁にいけないよ」といわれていた時代が、まだ続いているかのようです。

 ジェンダーフリーには、反対意見もたくさんあります。男の子はパイロット、女の子はケーキ屋さんに憧れるのが自然だからわざわざその反対を描く必要はないだろうとか、ジェンダーフリーによってパイロットになりたい大多数の男の子を無視することになってしまうのではないかとか、新たなステレオタイプを招いてしまうのでは、といった意見です。アメリカでは、タイトル・ナイン制定以来、並行してバックラッシュがあります。

 いち母親として、確かに男の子は飛行機や車、スポーツに興味を示し、女の子は花や食べ物、おままごとに興味を示す傾向があるとは思います。我が家の3歳の娘もなるべくジェンダーフリーに育てているつもりですが、いつの間にかピンク色とプリンセスごっこ好きに育ちましたし、友人や親せきの子どもたちを見ていてもつくづくそう感じます。

 実際、第一生命保険株式会社が発表している「大人になったらなりたいもの」ランキングでは、男の子の第1位はスポーツ選手か学者、女の子の第1位は食べ物屋さんで、その傾向はここ20年間変わっていないそうです。じゃあアメリカではどうなんだろう……と調べたところ、検索結果に、日米の違いがはっきり現れました。アメリカでは人材会社が複数「子どもの夢の職業」を発表しているんですが、その結果が、そもそも男女で分かれていないんです。

 なんというか、やっぱり日本はもうちょっとジェンダーフリーを意識してもいいんじゃないか、と実感した瞬間でした。

※AERAオンライン限定記事

◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi






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このニュースに関するつぶやき

  • 我が���å���聖地アメリカは…焼き豚聖地なのに����憧れ球技は���å���たまげたニャーǭ
    • イイネ!2
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  • そうやってドンドン子供達の希望や夢を潰すのがジェンダーフリーと言うならくそ食らえだ。世界中を中性人間だけにしてからほざけ
    • イイネ!6
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