『Nintendo Switch Lite』が売れるのは「3DS後継機」だから? 海外メディアが考察

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2019年07月16日 07:11  リアルサウンド

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任天堂公式サイトおよびNINTENDO 3DS公式サイトより

 機能を絞り込んで廉価を実現した『Nintendo Switch Lite』に関しては、ほとんどの海外メディアが好意的に報道した。海外メディアの次なる関心ははたしてLiteは売れるのか、ということだ。この点に答えるにあたり、海外メディアは『Nintendo Switch』ではないほかの任天堂ゲーム機に注目している。


(参考:『Nintendo Switch Lite』海外の反応は概ね好意的、しかし一部“失望”の声も……


・『Nintendo Switch Lite』の本当の魅力
 US版『WIRED』は14日、『Nintendo Switch Lite』と『Nintendo Switch』のどちらを買うべきか考察した記事を公開した。『Nintendo Switch Lite』が登場したことによって任天堂ファンは異なる価格帯からSwitchを購入できるようになったのだが、購入に際しては両者の差を理解したうえで選択するのが賢明だろう。


 同メディアは、『Nintendo Switch Lite』にJoy-Conが実装されていないことに注目している。というのも、『Nintendo Switch Lite』は多くのSwitchゲームがプレイできると言われているが、Joy-Conが実装されていないためにゲーム体験が制限されてしまうからである。別売りのJoy-Conを購入すれば『Nintendo Switch Lite』でも利用できるものも、周辺機器を追加購入してしまうと『Nintendo Switch Lite』の最大の魅力である廉価の意味が薄れてしまう。それゆえ、『Nintendo Switch Lite』はJoy-Conによるモーションコントロールに対応していないカジュアルなゲームをプレイしたいユーザにおすすめ、と評している。


 『Nintendo Switch Lite』を『Nintendo Switch』と比較した場合には制約つきでしか推奨できないのだが、『Nintendo Switch Lite』を『Nintendo 3DS』と比較した場合、評価が異なってくる。「制限つきSwitch」から「Switchのゲームがプレイできる最新携帯ゲーム機」に評価が積極的なものに転じるのだ。そして、『Nintendo Switch Lite』と『Nintendo Switch』のあいだにある緩い互換性によって可能となる据え置きゲーム機と携帯ゲーム機のクロスオーバーこそが今後注目すべきことである、とも評している。


・成功が約束された年末商戦
 『Business Insider』も12日、『Nintendo Switch Lite』を『Nintendo 3DS』の後継機として位置づけた考察記事を公開している。同メディアは、『Nintendo Switch Lite』発表のタイミングが『Nintendo 3DS』による売上高の下降が決定的になった時期と一致しているのは偶然ではない、と指摘している。この「見かけ上の偶然の一致」は決して偶然ではなく、『Nintendo Switch Lite』を投入することによって任天堂の携帯ゲーム機による売上を再び上昇させることを意図している、と解釈できるのだ。


 金融グループJefferiesが発表したメモも「Switchの累積販売台数は3,500万台に達するが、価格に敏感な3DS所有者をターゲットにはしていない」と述べたうえで、『Nintendo Switch Lite』は『Nintendo 3DS』所有者に新たな選択肢を与えることは疑い得ない、と評している。多くの市場関係者は『Nintendo Switch Lite』をJefferiesと同じように位置づけており、その結果、『Nintendo Switch Lite』発表直後に任天堂の株価は上昇した。


 『Business Insider』の記事は、『Nintendo Switch Lite』の発売とほぼ同時期にポケモンシリーズの最新作『ポケットモンスター ソード&シールド』も発売されることにも注目している。ポケモンシリーズは、伝統的に任天堂の携帯ゲーム機における大きな売上が期待できるキラーコンテンツだ。同記事では、今年の年末商戦はポケモン最新作と『Nintendo Switch Lite』がセットで大量に購入されるだろう、と予想している。


・『Switch Lite』は『Switch』販売台数も増やす?
 ところで、『Nintendo Switch Lite』の登場は『Nintendo Switch』の売上に何らかの影響を与えるのだろうか。ゲームメディア『Gamingbolt』は13日、こうした疑問に答える記事を公開した。同メディアは、『Nintendo Switch Lite』の登場は『Nintendo Switch』の販売数も増加させると見ている。前述したように、『Nintendo Switch Lite』のゲーム体験は『Nintendo Switch』に比べて制限されたものである。これまで『Nintendo Switch』を買い控えていたユーザーは『Nintendo Switch Lite』のゲーム体験が制限されたものとわかったので、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のような高品質のゲームをプレイしたい場合はやはり『Nintendo Switch』を購入するしかない、と思うだろう。それゆえ、『Nintendo Switch Lite』の登場は『Nintendo Switch』の売上も増やすというわけなのだ。


 いいこと尽くめにも見えるLiteの投入に関しては、若干の懸念事項もある。イギリスのタブロイド紙『Daily Star』電子版は14日、『Nintendo Switch Lite』をすぐに購入すべきではないと主張した記事を公開した。そのように主張するのは、『Nintendo Switch Lite』から『Nintendo Switch』にセーブデータを簡単に引き継ぐ方法がまだ不明だからである。『Nintendo Switch Lite』の公式サイトには「Nintendo Switch Liteを2台目の本体としてご検討の方へ」という項目で、『Nintendo Switch』から『Nintendo Switch Lite』にセーブデータを引っ越す方法が解説されている。しかし、解説されている方法は引っ越すたびに設定画面を立ち上げるものとなっており、『Nintendo Switch』と『Nintendo Switch Lite』のシームレスなプレイというものは想定されていない。もっとも、任天堂アメリカ法人社長のDoug Bowser氏が『CNET』に対してセーブデータ引き継ぎ方法を開発中とコメントしているので、近い将来にシームレスなセーブデータ引き継ぎが実現することだろう。


 以上のように『Nintendo Switch Lite』は実質的な『Nintendo 3DS』後継機と見なされているものも、US版『WIRED』が指摘するように『Nintendo Switch』とのクロスプラットフォーム展開が今後の注目の的となるだろう。このクロスプラットフォーム展開こそ、今年後半から台頭するゲーム機に依存しないゲームストリーミングサービスに対する任天堂の対応策のひとつと言えるのではないだろうか。


(吉本幸記)


このニュースに関するつぶやき

  • 3DSやVita(笑)の受け皿にもなってないのに携帯型になれば後継とかヤバいな。 Switchのソフトは遊べても物足りないってなるだけだろうと思うけど。
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