三浦春馬、初の父親役で新境地を開くか 『TWO WEEKS』への期待

1

2019年07月16日 08:01  リアルサウンド

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

『TWO WEEKS』(c)カンテレ

 7月16日21時からスタートするドラマ『TWO WEEKS』(カンテレ・フジテレビ系)では三浦春馬が未婚の父親役を演じる。


 殺人の濡れ衣を着せられた主人公の結城大地(三浦春馬)は、2週間後に迫った娘の手術のために逃亡する。日々を刹那的に生きていた結城は、かつて恋人だった青柳すみれ(比嘉愛未)から8歳の娘・はな(稲垣来泉)の存在を告げられる。白血病にかかったはなの骨髄移植のため、ドナーになることを結城は決意するのだが……。


 突如として人生の目的を見出した結城だが、遺体発見現場に居合わせたことから、殺人事件の重要参考人として警察に追われる身となる。現在の刑事司法では逮捕されると最大20日の勾留が予定されており、そうなると手術には間に合わない。何より冤罪を背負うことにもなってしまう。父親として、いま捕まるわけにはいかない結城の逃亡劇がはじまった。


 韓国ドラマのリメイク作『TWO WEEKS』は、2週間という時間的制約と、娘の病という物語上の制約に立ち向かう未婚の父・結城の姿が見どころとなる。これまでも多くのドラマ、映画で主演をつとめてきた三浦春馬だが、父親役は今回が初めて。子役としてデビューした三浦も現在29歳となり、一般的には父親になってもおかしくない年齢だが、若手俳優のイメージもあって父親役と聞いた当初は唐突な印象を受けた。


 実際のところ、20代から30代前半の若手俳優が連続ドラマで父親役を演じた事例は少ない。イケメンを売りにした俳優ならなおさらだ。『びったれ!!!』(テレビ神奈川)、『民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜』(フジテレビ系)の田中圭や『コウノドリ』(TBS系)の小栗旬は放送当時すでに私生活で父親だった。登場人物の一生を描く朝ドラや大河ドラマをのぞけば、『犬を飼うということ〜スカイと我が家の180日〜』(テレビ朝日系)の錦戸亮、『マイガール』(テレビ朝日系)の相葉雅紀といった例外はあるものの、独身俳優が父親役を演じる機会は多くないのが現状だ。


 また、これまでの傾向から考えると、「母になる/母を生きる」ことに比べて、「父になる/父を生きる」ことはドラマの題材となることが少なかった。是枝裕和監督の映画『そして父になる』は、新生児の取り違えという設定のもと登場人物の心理を丁寧に描くことで成立していたが、プライム帯ドラマのメインターゲットである女性視聴者にとって、父親主体のストーリーが共感しづらいテーマであることは間違いない。


 しかし、それこそが狙いかもしれない。『TWO WEEKS』の秀逸な点は、突然父親になるという設定と三浦春馬の若手俳優としてのイメージのギャップを結びつけることで、ドラマにリアリティを持たせる点にある。血のつながりを雄弁に示すドナー適合という事実から出発し、父親としてのアイデンティティを獲得する過程が2週間という時間なのだ。


 制作発表会見で、三浦は撮影を振り返って「毎日が自分が演じたことのない感情との出会いの日々」と語っている。誰かを守ろうとすることで生まれる想いの深さは多くのドラマを生んできた。一日の間に感情はめまぐるしく変化する。父親であったはずの8年間を凝縮した2週間は、結城にとって感情が揺さぶられる日々になるだろう。


 手に汗握る展開が予想される『TWO WEEKS』。若手俳優から父親役を演じる実力派へ。三浦春馬は役者として新境地を開くことができるのか? 注目して見守りたい。


■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。


    ニュース設定