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勢いを加速させるUQ mobile、分離プランの影響は? 菅隆志新社長に聞く

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2019年07月17日 06:12  ITmedia Mobile

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写真UQコミュニケーションズの菅隆志社長
UQコミュニケーションズの菅隆志社長

 MVNO市場全体の停滞感が顕著になる一方で、auのサブブランドに位置付けられたUQ mobileが、急成長を遂げている。調査会社・MM総研が発表した2019年3月末の市場調査の結果によると、1年前の9.3%から12.9%へとシェアは躍進。回線数も169.8万に拡大した(※シェアと回線数はMM総研調査による推定値)。1位の楽天モバイルは、10月からMNOとして新規参入するため、純粋なMVNOとしては1位になる可能性も高まっている。MVNOとしては後発だったUQ mobileだが、その勢いを拡大し、Y!mobileを猛追している様子がうかがえる。



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 そのUQ mobileを運営するUQコミュニケーションズの社長に6月13日に就任したのが、副社長だった菅隆志氏だ。同氏はKDDIでコンシューマー事業企画本部長やコミュニケーション本部長などを歴任した後、UQコミュニケーションズに異動。前社長の野坂章雄氏を引き継ぐ形で、UQコミュニケーションズを指揮している。では、菅氏は野坂体制のもとで大きく拡大約したUQ mobileをどのようにかじ取りしていくのか。今後の展開を菅氏に聞いた。



●「ウルトラギガMAX」は他社の使い放題プランにも対抗できる



―― 先日発表されたMM総研のシェアを見ると、UQ mobileが大きく伸びていました。大躍進ともいえる伸びだと思いますが、なぜここまで急成長したのでしょうか。



菅氏 あのデータは2019年3月のものですが、下期でいきなりジャンプアップしたわけではなく、昨年(2018)度は年間を通じて伸びていました。CMなどもあり、おかげさまで認知度も90%以上を保てるようになってきています。アンケートを見ると、やはり料金や通信品質をご評価いただけていて、満足度も高い。J.D.パワーの話(総合満足度調査で1位をダブル受賞した)もありましたが、お客さまにご支持いただけたのだと思います。



 2019年からは、「おうち丸ごとUQ」を打ち出しています。われわれにはアセットとして、WiMAX(2+)があります。モバイルルーターは落ち着いていますが、一方でホームルーターはまだまだ右肩上がりで、新商品を投入したことでセットで買っていただけることも増えています。さらに、3月にはセット割引も導入しました。これは前からやらなければいけないと思っていましたが、念願のセット割引で、市場からもご評価いただけました。



―― MVNOとしては後発でしたが、今の形でプロモーションをかけるようになってから、一気に勢いをつけてきた印象があります。



菅氏 先行投資で一気に浸透したのはあると思っています。また、お客さまが気にされているのは、価格と通信品質です。MVNOになると、(MNOと同じように)使えないんじゃないのという声は非常に多い。そのため、通信品質の維持には力を入れています。



―― セット割引ですが、野坂前社長からは、金額よりあることが大事といった趣旨のお話をうかがいました。もう少し金額が大きい方がインパクトはあった気もしますが、現時点での効果はいかがですか。



菅氏 今のセット割も、ご評価いただいていると感じています。割引額が大きい方が、より喜ばれるのは確かですが、現時点でもそれなりに満足いただいているというのが実感です。マーケットとして、ご家庭のブロードバンドをワイヤレスでというニーズは、やはり根強くあります。セット割の「ウルトラギガMAX」だと、6060円(税別)で基本的にWiMAX側は使い放題(ただし3日で10GB以上の利用で、混雑回避のための制限がかかる)になるため、他社の50GBプランと比較しても、十分対抗できる商材です。



―― 親会社のauからも、使い放題の「auデータMAXプラン」が登場します。こちらとは、競合しないのでしょうか。



菅氏 こちらはセットで、あちらは単体という違いがあります。出してみてからどうなるかというのはありますが、別会社ではあるので、それぞれの商材を磨いていければと考えています。



●au IDオープン化の影響は?



―― auの絡みでいうと、au IDがオープン化されました。野坂社長時代には、あまり上位レイヤーでの連携はありませんしたが、今後、UQ mobileでもauのサービスを使えるようになっていくのでしょうか。



菅氏 au IDはキャリアフリーになったので、順次われわれとしても取り込んでいるところです。サービスをバンドルして、利便性を上げられるような取り組みはしていきたいですね。その第1弾として、先日「with HOME」をリリースし、提供を開始しました。基本的にはこれが第1弾になり、今後に関してはまさに今、詰めているところです。



―― いわゆるスマートホームのサービスですが、これを第1弾にしたのは、何か理由があるのでしょうか。



菅氏 ホームルーターで「おうち丸ごとUQ」と訴求しているのと、相性がいいからです。with HOMEはそことの親和性が高く、見守りサービスなどをセットで販売しやすいと考えました。



―― UQ mobileだと、おサイフケータイ対応端末の種類もそこまで多くないので、au Payは使えるといいですね。



菅氏 (FeliCa非搭載の端末を)補完する意味では、あると思っています。ただし、現時点では、いつ提供できるといった整理がついていません。



●UQも分離プランを出さないといけない



―― 分離プランについては、義務化されると御社も影響を受けることになります。こちらについては、どうお考えでしょうか。



菅氏 はい。そういった意味では、われわれも分離プランを出さなければなりません。ただ、正直なところ、まだ(どのぐらい安くするかの)水準は決めていません。当然ですが、他社の状況も見ていかなければなりません。出すからには、市場に評価される水準にしなければいけないと考えています。



―― ちょうど今、端末を購入したときにつく「マンスリー割」分ぐらい安くなるといったところでしょうか。



菅氏 MVNOはそんなにマージンを取っているわけではないため、割引の余裕はそこまでありません。法令を順守しながら……ですね。



―― 逆に、MVNOとして端末割引がきちんとあるのは珍しいと思います。その分、一般的なMVNOより料金は少し高く、ある意味差別化できていたのではないでしょうか。分離プランで差別化しづらくなるということはありますか。



菅氏 その辺はある程度考えていかなければなりません。確かに、(今のマンスリー割が)ご評価いただいているのも事実です。プランの仕立てや最後の水準感に関しては、もう少し時間をかけて決めていくつもりです。今年は、8月から9月にかけ、業界全体がバタバタするのではないでしょうか。駆け込みのようなものがどこまであるかは分かりませんが、9月は1つのターニングポイントになると見ています。



―― もう省令が施行される10月まで、時間がないですからね。何か策はありますか。



菅氏 策が見えればいいのですが(笑)。今は、マーケットの読みが本当に難しい。特に今年の下期は、いろいろな仕組みがガラッと変わり、マーケットの環境も大きく変わります。そこをどう読んで、いかにアセットを有効活用し、生き残りを図っていくかが重要になります。電気通信事業法もガイドラインも、少しずつ見えるようになってきましたが、それにどう対応していくのかは、日々考えています。



―― 端末割引がなくなると、ラインアップの傾向も変わってくることになるのでしょうか。



菅氏 今は、われわれの品ぞろえもミドルレンジとローエンドが中心ですが、そこをそれぞれ充実させていくことになると思います。分離プランになったからといって、ローエンドの比率を高めることにはならないと思います。



―― 逆にMNOも含め、どの会社も一律割引がないのであれば、ハイエンドを提供する手もあると思いますが、いかですか。



菅氏 われわれの位置付けを考えると、分離プランで10万円を超えた端末は、ちょっと難しいですね。



●1年目の1000円値下げも変更に?



―― 省令に関していうと、いわゆる“2年縛り”はUQ mobileにもあります。これも解除料は1000円になるのでしょうか。



菅氏 これは、省令案に沿って変更していく必要があります。



―― 1000円程度の抑止力であれば、いっそのこと、なしにしてしまってもいいのではないかと思いました。



菅氏 そういう考え方もあると思っています。楽天さんは前から解除料を取らないような趣旨のことを言われていますが、170円しか値差がつけられないのであれば、そこは考えなければなりません。(2年縛りを)やると、縛りあり、なし両方の料金が必要になり、どうしてもシンプルではなくなってしまいます。われわれとしてどうするかは、これから検討していきます。



―― 現状の料金プランは、1年目のみ1000円下がります。これも変わるのでしょうか。



菅氏 今は端末の購入にひも付いているので、このままだとダメになると思います。全員に適用するか、やめてしまうかは検討中です。



―― なるほど。料金プランには、かなり手を入れることになりそうですね。ちなみに、料金プランでいうと、昨年末からデータ容量が2倍になります。この影響で、プランごとの比率が変わるなど、何か変化はありましたか。



菅氏 顕著な違いは見えないですね。それだけ、逆にユーザーがデータを使うことが増えているのだと思います。



―― ドコモは新料金プラン発表時に、1GB未満が4割という発表をしていましたが、UQ mobileのユーザーはもっとデータを使うのでしょうか。



菅氏 ドコモさんは昔からのお客さまも多いので、そういう傾向はあるかもしれません。UQ mobileも単体では「プランS」の数が一番多いのですが、「プランM」と「プランL」の比率が高く、合計ではプランSを上回っています。



―― 最後に、社長就任の意気込みをお聞かせください。



菅氏 UQコミュニケーションズはサービス開始から10年になり、市場での認知もそれなりに高まり、存在感のある会社になってきていると思います。ただ、昨年4月に入り、いろいろな話を聞いていますが、創業当初のベンチャースピリットみなぎる職場の活気や活力が、少々衰えてきているとも感じています。われわれはMVNOではありますが、ベンチャースピリットを持ちながら戦っていかなければなりません。今年度はかつてない激動の1年になりますが、そういった思いで、荒波を乗り切っていきたいと考えています。



●取材を終えて:料金プランが大きく変わる可能性



 大々的なCM展開やデータ容量の改定、セット割の導入、通信品質の高さなど、UQ mobileがMVNO市場で伸びているのは、その総合力に理由があるようだ。今後は、オープン化したau IDを活用し、サービスの連携にも力を入れていくことがうかがえた。



 一方で、電気通信事業法の改正を受け、料金プランはここ数カ月でガラッと変わってしまう可能性がある。まだ詳細は決まっていないようだが、マンスリー割がなくなり、2年契約や割引の仕組みも見直されることになりそうだ。特に端末割引は、他のMVNOとの差別化にもなっていただけに、影響がどう出るかは未知数の部分がある。引き続き、同社の動向には注目しておきたい。


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