『Heaven?』原作の世界観そのままに伝える“自由”の意味 ゲストには野間口徹も

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2019年07月17日 12:01  リアルサウンド

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火曜ドラマ『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』(c)TBS

 開店から1ヶ月が経ってもまったく客足の伸びない「ロワン・ディシー」に、新たなアクシデントが訪れる。それはフレンチレストランにとって要ともいえる存在のシェフ・小澤(段田安則)の性格が災いした、ある大きな問題。わりと一大事のようなアクシデントでさえも、原作の世界観そのままのコミカルな雰囲気で描き出すTBS系列火曜ドラマ『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』。16日に放送された第2話では、個性的なキャラクターのひとりにフォーカスを当てることで、その内面と過去を深掘りしていくエピソードとなった。


参考:場面写真ほか多数


 三ツ星レストランで働いた経験がありながらも、どういうわけか勤めたレストランが次から次へと潰れていくという物騒なジンクスを持つ小澤。その不安を常に抱えながら、閑古鳥が鳴く「ロワン・ディシー」の厨房に立ち続けるものの、まったく客が来ないせいもあって料理に制約が生まれ、どんどんやる気が失われていく。そしてそれに比例するように、作る料理の味気さえも失われてしまう小澤は、そのせいで客が来ないのだと思い込み、さらに落ち込むという堂々巡りに陥ってしまうのだ。


 味にパンチがないと不満げな仮名子(石原さとみ)をはじめ、伊賀(福士蒼汰)ら「ロワン・ディシー」の面々は何とかして小澤が“味”を取り戻せるように、店が繁盛するための策略を練る。そこで編み出したのは、ミッドナイトランチ。売上につながるランチ営業をしたい店長の堤(勝村政信)と、それを頑なに拒み深夜営業を押し出そうとする仮名子の案の折衷案として伊賀が提案したこの秘策は、言うなれば“夜食”といったところか。ハーフポーションで提供される美味しい料理を楽しみながらお酒も飲める。まさにこのレストランにぴったりの策であるといえよう。


 そんな折、突如として舞い込んだ「1人5万円の予算でコースの内容はシェフにおまかせ」という大口の注文を一任されてしまう小澤は、さらにそのメンタルの浮き沈みの激しさを露呈していく。もっとも、作る料理の味気がなくなるというのは、ある意味では心因性の味覚障害のようなものなのだろう。そんな彼の“味”を取り戻すきっかけとなるのは、コース料理を注文した大手企業の社長・岡野(石橋凌)。彼はかつて小澤が働いていた店を訪れ、その料理の腕に惚れ込んだ“最初のファン”だったのだ。料理に舌鼓を打った岡野が小澤を讃える際に言う「放り込まれた自由の中で惑わされずに答えを出した」との言葉は、“自由”というものが何かを改めて考えさせてくれるものであった。


 ところで、今回のエピソードの序盤で近所にできたフレンチレストランに偵察に行くシーンで、その店のウェイターとして登場した野間口徹。前クールの日本テレビ系ドラマ『あなたの番です』でキーパーソンといえる役柄を演じていた彼だが、今回のように程よく嫌味とちょっと抜けた感じがある脇役で場をさらうというのがよく似合っている印象だ。そして岡野社長を演じた石橋凌といい、なかなか豪華な顔ぶれがゲストとして登場するのはドラマの楽しみを増やしてくれるものだ。今後のエピソードでも、ゲストキャラクターに注目しておきたい。  (文=久保田和馬)


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