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7pay騒動から見えた、モバイル決済の懸念 生き残るために必要なものとは?

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2019年07月17日 14:32  ITmedia Mobile

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写真7月4日に開催されたセブン幹部らによる緊急会見の様子。解決の糸口はいまだ見えず
7月4日に開催されたセブン幹部らによる緊急会見の様子。解決の糸口はいまだ見えず

 サービス開始から3日目には不正利用が表面化し、翌7月4日には関係会社3社の幹部らによる緊急会見が実施された「7pay」だが、その後も問題が収束する気配は見えない。セブン-イレブン・ジャパンとしては初の沖縄進出で全国47都道府県制覇となる同県内での14店舗同時オープンが実施されるなか、同日夕方にはセキュリティ対策の一環としてTwitterやFacebookなど外部IDからのアクセス遮断が発表され、関係者らによる対策が現在もなお内部で進んでいる。



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●まだまだ長引く7pay問題



 7pay問題の根は深い。筆者の知り合いが7payで30万円の不正利用被害に遭ったことはさまざまな媒体で紹介しているが、モバイル決済の専門家である知り合いの被害者が細心の注意を払ってIDとパスワードの設定を行ったにもかかわらず、設定から1日とたたずに登録したカードから30万円のチャージが行われ、1時間ほどの間に関東圏内の離れた場所にある3店舗で一気に利用された。



 その道のプロでさえこの状態であり、ほぼ全てのユーザーはこの問題に関してなすすべはないだろう。しかも7月11日に発表された外部ID遮断は、「OAuth(オーオース)」と呼ばれる外部サービスの認証機構を利用する仕組みに関するもの。7payが導入された「セブンイレブン」アプリなどのモバイルアプリにおけるOAuth関連の実装に問題があり、ターゲットとなる外部IDサービスのユーザーIDさえ分かれば、パスワードなしでセッションに介入できる状態だったという話がある。



 だが筆者の知り合いのケースを見る限り、これだけでは7payでのチャージパスワードは解析できないため、まだ7payならびに7iDを利用するオムニ7関連全てのサイトに何らかの問題が内在している可能性が高いと考えている。



 実際、セブン社内ではまだ混乱が続いているようで、セキュリティ対策と顧客サポートの両面で手が回っていない印象を受ける。



 後者について、前述の知り合いの30万円被害が含まれたカード請求額が確定したということでカード会社に問い合わせたところ、この問題についてはセブンイレブン側に問い合わせてほしいとの回答だったという。7月4日の会見でセブン側では被害者への全額補償に言及しているが、これは現時点でなおカード会社との交渉が進んでいないことを意味する。



 このケースでは10日締めのカードだったが、今後7月初旬の不正利用が含まれた請求額が15日、20日という締め日の形で次々と確定していく中、この対応に不安を抱く被害者は少なくないだろう。実際に引き落としが行われるかも含め、セブンやカード会社(イシュア)の動向を引き続き追いかけていくつもりだが、1〜2カ月程度で収束しない問題なのは確かだ。



●「10月1日」をデッドラインに各社がなだれ込む



 消費税増税と軽減税率導入に伴い、2019年10月1日から実施される「キャッシュレス・消費者還元事業」では、中小小売店を対象にキャッシュレス対応のためのPOSや決済機器導入に関する助成金支給の他、実際にキャッシュレス決済で買い物を行った消費者に対して中小小売で5%、大手小売やチェーン店などで2%のポイント還元が行われる。



 1年弱ほどの期間限定の施策ではあるが、小売店舗には顧客獲得のための呼び水に、そして消費者にとっては数多あるキャッシュレス決済への入り口として機能することが期待されている。現状で20%程度といわれる日本国内のキャッシュレス決済比率を、2025年までに40%へと倍増させる国の指針を実現する上で重要な施策だ。



 このポイント還元施策を最大限に活用するには、10月1日時点で小売店のキャッシュレス決済対応を済ませておくのはもちろんだが、昨今話題の○○Pay的な「モバイル決済」サービスを提供する事業者は、それまでに十分な顧客を獲得しておく必要がある。いざ10月1日が到来したとして、サービスとしての規模が小さければ、活用してもらう機会も必然的に減るからだ。



 ポイント還元施策自体が顧客獲得と利用拡大のためのブースター的役割も果たしており、この時点で参入できていないモバイル決済事業者は今後の○○Payレースで生き残れる可能性は限りなくゼロに近い。ゆえに10月1日をデッドラインとして、各社がこぞってこの市場へとなだれ込んできているのが現在のトレンドだ。



●増える「コンビニPay」と「銀行系Pay」



 一連の○○Payレースで、いわゆる「コンビニPay」は最後発組となる。ファミペイと7payの2つのみだが、7月1日という日程はポイント還元施策を利用するにはほぼギリギリのタイミングであり、以後参入する○○Payは、市場シェアという面で広がりは期待できず、「地域限定など特定市場での利用に特化」「特定のサービスや用途に特化したニッチ向けサービス」での利用にとどまることになる。



 コンビニPayの後に続く○○Payとは、銀行が提供する「銀行系Pay」アプリのことであり、今秋以降に順次リリースが見込まれている。



 現在、銀行系PayとしてはGMOペイメントゲートウェイが提供する「銀行Pay」に属する「はまPay(横浜銀行)」「YOKA!Pay(福岡銀行)」「ゆうちょPay(ゆうちょ銀行)」と、みずほ銀行が提供する「J-Coin Pay」がある。



 この他、日本電子決済推進機構(J-Debit)が提供する「Bank Pay」が、J-Debit参加各行から一斉にリリースされることになり、最終的に1000以上の金融機関が○○Payレースに参加することになるという。現在名前が挙がっていないメガバンクや大手行もBank Payを中心に参入が見込まれ、さながらイベント終了間際に大量の大花火が打ち上げられるイメージだ。



 だが現在、Bank Payベースで10月1日までに参入可能な金融機関はごく限られるとみており、最終的にサービスインまでこぎ着けられるところは3桁に満たないというのが筆者の見立てだ。限られた市場で多くのコストを投入しても成功する確率は極めて低く、20や30も決済サービスが乱立しても生き残ることはできない。



 現在、各社は○○%還元の大規模キャンペーンを次々と打ち出して顧客を呼び込みつつ、定期的にサービスを利用する循環をうまく作り出そうとしているが、キャンペーン終了後も継続して利用されるサービスがどれだけあるだろうか。



 生き残るためには、キャンペーン終了後も相応の価値を提供できるかが重要だ。加盟店数か、便利な付加機能かは分からないが、他社より秀でた特徴を持つことは最低条件で、その上で一定規模を維持できた2〜3社を中心に○○Payのコード決済市場が構築され、残りは吸収合併や消滅、あるいはニッチな市場でほそぼそと生きていく形になると予想する。2020年夏のポイント還元施策終了時点で、ほぼ雌雄は決しているという見立てだ。



●筆者がモバイル決済でSuicaを使う理由



 スケールできないサービスが生き残れない理由は明白で、利便性が低いからだ。例えば筆者はモバイル決済ではSuicaを多用しているが、ポイント付与もほぼ存在しないに等しいSuicaを利用するのは単純に「使える場所が多い」という理由による。



 ポイントをためることにあまり興味がないという理由もあるが、単純にサービスごとにチャージ金額が分散しているのが面倒という考えだ。



 PayPayやLINE Payなども利用しているが、前者は電子マネー非対応でPayPayのみ対応店舗がいくつかあること、後者は割り勘等で入手した送金額をそのまま支払いに充てる使い方が多いように思う。適材適所ではあるが、メインの支払い手段があって、それを補う形で他の決済手段があるという組み合わせだ。



 中国のユーザーは、気分でAlipayとWeChat Payを使い分けているという話を何度か聞いたことがある。キャッシュレス先進国としてよく挙げられるスウェーデンでは、普段の支払いはデビットカードを利用し、たまに気分や対面送信の場面でSwishを使うという話を聞く。もちろん、お得なポイントプログラムのついた専用アプリを決済に使うケースもあると聞くが、常に複数の決済手段を所持し、買い物単位で最適なものを適時使い分けるユーザーはそれほど多くないと筆者は考える。



●モバイル決済にまつわる3つの懸念



 今後のモバイル決済、特に○○Payの世界を考えるうえで3つの懸念がある。



 1つは、特定商圏のみをターゲットとしたアプリがどこまで受け入れられるかだ。今回の例でいえば、コンビニPayがそれに該当するが、それ以外にも地域通貨的なもので「投入した資金を特定地域のみで環流させる」ことを目的としたものも該当する。地域通貨の場合はユーザーの移動範囲も限られており、実際にほとんどの店舗で利用できるなど相応のメリットが存在するならば問題ない。



 だがコンビニPayのように特定チェーンのみでの利用に限られる決済手段の場合、決済ツールとしてはあまり活用されず、クーポン利用などが中心になると予想する。またスケールしないビジネスでは、各社が掲げているビッグデータ活用も機能しない可能性が高い。



 2つ目の懸念は、自社サービス拡大のために他社サービスの活動を阻害する行為だ。例えば、日経ビジネスで原隆氏がレポートしているが、ゆうちょ銀行がモバイル決済を提供する他の事業者との接続に際し、高い接続料を要求しているという話がある。



 ○○Payのモバイル決済サービスでは、銀行口座経由でユーザーに利用金額をチャージしてもらい、これを支払いや送金に充てる仕組みが構築されている。その際、口座数1億2000万という日本の人口とほぼ同規模の巨大シェアを持つゆうちょ銀行は格好の提携相手であり、実際に広く活用されてきた。



 だがレポートによれば、既存と新規問わず接続料を大幅に引き上げたことが報告されている。ゆうちょ銀行では「ゆうちょPayへの誘導を目的とした施策ではない」と否定しているものの、筆者も4月以降に接続料が上がったという話を聞いており、「これまでの一方的に接続先として資金を吸い上げられる関係ではなく、これをビジネスとして成り立たせつつ、ゆうちょPayも盛り上げていく」という意図があるのは確かだろう。



 長い低金利時代が続く中、金融機関の収益源は限られつつあり、特に体力の弱い地方銀行を中心に存続の危機が叫ばれている。これはゆうちょ銀行も例外ではなく、今後似たような形で各行が接続料や手数料を引き上げる形で収益源とし、結果としてモバイル決済市場の盛り上がりを阻害する可能性がある。



 3つ目は、今回の7payのようにセキュリティが甘い、あるいはアプリとしてのコンセプトや完成度が低いものが増え、利用者離れを起こす懸念だ。ネガティブニュースが連日報じられる形で「モバイル決済は危険」という情報が拡散されることは、キャッシュレス普及施策を掲げる国にとってもマイナスでしかない。



 同様に、これまでモバイルアプリ戦略への取り組みが弱い金融機関が銀行系Payで大量参入することで、セキュリティ上の問題を抱えている、あるいは使い勝手の悪いアプリや機能性の低いアプリが大量に市場投入されることを考えれば、これらに触れたユーザーがモバイル決済に関して悪い印象を抱いてもおかしくはない。



 モバイルアプリは誰でも作れるという意見をたまに聞くが、真に安心安全で便利なアプリを提供しているベンダーはそれほど多くない。ノウハウなしで乗り切れるほど甘い世界ではないからだ。参入自体は容易な市場ではあるが、実際に生き残れるかは別の話だ。事業者は自身のビジネスのコアがどこにあるかを認識しつつ、目指すべきターゲットに本当に必要なものを提供してほしい。


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  • 消費者が望んでいるのは〇〇ペイの乱立ではなく日本中を横断して使えてポイントも統合された決済サービスだと思うんだよね。財布からポイントカードが溢れたようにスマホ画面がペイのアイコンまみれじゃ意味がない。
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