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広瀬隆「韓国の民主化闘争の軌跡とは?」

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2019年07月17日 16:00  AERA dot.

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写真広瀬隆(ひろせ・たかし)/1943年、東京生まれ。作家。早稲田大学理工学部卒。大手メーカーの技術者を経て執筆活動に入る。『東京に原発を!』『危険な話』『原子炉時限爆弾』『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』『第二のフクシマ、日本滅亡』などで一貫して原子力発電の危険性を訴え続けている。『赤い楯―ロスチャイルドの謎』『二酸化炭素温暖化説の崩壊』『文明開化は長崎から』『カストロとゲバラ』など多分野にわたる著書多数。
広瀬隆(ひろせ・たかし)/1943年、東京生まれ。作家。早稲田大学理工学部卒。大手メーカーの技術者を経て執筆活動に入る。『東京に原発を!』『危険な話』『原子炉時限爆弾』『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』『第二のフクシマ、日本滅亡』などで一貫して原子力発電の危険性を訴え続けている。『赤い楯―ロスチャイルドの謎』『二酸化炭素温暖化説の崩壊』『文明開化は長崎から』『カストロとゲバラ』など多分野にわたる著書多数。
 前回までに紹介した3本の韓国の大ヒット映画『タクシー運転手』『弁護人』『1987、ある闘いの真実』は、1980年代に起こった韓国の一連の民主化闘争の悲劇と勝利を描いて、それがどれほど烈しく燃え上がったかを、韓国のすべての世代に伝えてきた。このような史実に取り組む韓国の映画人の気概は、世界でも一頭地を抜いているとほれぼれする。

【写真】植民地支配の拠点だった京城(現ソウル)の朝鮮総督府庁舎

 これらの作品が教えた意味は、韓国人であれば知らぬ者のない光州事件、学林事件〜釜林(プリム)事件、六月民主抗争を通じて、人権弁護士だった盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と、彼と共同で法律事務所を開いていた相棒弁護士の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の人生の軌跡を映し出していたところにある。二人とも投獄されながら、国民のためにどれほど身を挺して闘ってきたかを再認識させる作品群であった。

 ところが、これほどの常識を知らずにテレビ報道をしているのが、隣国のわが国なのだから、驚きませんか? だって、昨年10月から、文在寅大統領に対する批判に熱を上げてきたのが、日本の全テレビ局なのですよ。テレビだけではなく、どの新聞もほとんど同じレベルであった。

 改めて言っておくと、韓国には、現在も人間の思想を裁くおそろしい「国家保安法」という法律があって、この法は、北朝鮮を「反国家組織」、つまりこの世に存在してはならないものと規定し、韓国の国民が許可なく(家族であっても)北朝鮮の人間や資料に接することを禁じ、最高刑は死刑という時代錯誤の法律である。国家保安法が公布されてから、1年間で逮捕者が11万人に達したことを、日本のテレビ報道界の何人が知っているだろうか。

 この法を廃絶するため闘ってきたのが盧武鉉と文在寅なのである。それが、韓国の民主化闘争、つまり軍事独裁政治を終わらせた闘いだったのである。

 では、拷問を駆使するこの国家保安法を生み出したのが誰か知っていますか? 悲しいかな、日本人なのである。大正時代の日本で、反政府思想を取り締まるために制定した治安維持法が生みの親であった。作家の小林多喜二たちを拷問によって虐殺した日本の特高警察をそっくりまねて、韓国の初代大統領・李承晩(イ・スンマン)が、1948年に国家保安法を施行して、「米軍の撤退と南北朝鮮の統一」を主張する平和主義者をすべて犯罪者にしたのだ。

 1948年?

 そう、この2年後に北朝鮮と韓国のあいだで朝鮮戦争が始まった、と言えば、初歩的な歴史を知らない現代日本の若いテレビ報道人も、知識の一滴を飲んで、自分たちが見ている北朝鮮と韓国の関係について、多少は目が覚め始めるだろう。

 韓国は、1993年まで軍事独裁政治がおこなわれてきた国である。日本は戦後にGHQが乗り込んできて、治安維持法を廃止したため、やむなく民主化されたが、韓国は日本より後進国だったのだ。そこで2003年の盧武鉉政権時代から、国家保安法を廃止させようとしながら、朴槿恵(パク・クネ)=前大統領=たちの保守派が抵抗して、いまだに廃止できない。日本人も韓国映画『弁護人』を必ず見なさいと私が言うのは、この世に拷問なんてあってはならない、というとても分かりやすい話だからである。文在寅大統領を批判するような日本のテレビ報道界には、人間の血が通っていないと私が感じるわけがそこにある。

 安倍晋三たちが、特定秘密保護法を制定して国民の目をふさいでも平然としている日本人と、日本人が生み出した国家保安法をいまだに廃止できない韓国と、どちらがいいかって? どちらもおかしいんだろ? 問題は北朝鮮ではないんだろ? ならば、他国の悪口はいい加減にして、もう喧嘩はしないようにしたらどうかねと、言ってるんだよ。軍国主義なんて、もうたくさんだ、と言ってるんだよ。

 軍事力というのは、いきなり使われるのではない。「わが国を守るため」と宣言して戦争が始まるのが不文律だ。その開戦のレールを敷くのは、国民を戦場に駆り出す目的のため、人間を洗脳する報道界なのだから、軍人の血気を諫(いさ)めるシビリアン・コントロールの役割がどれほど重要であるかについて、私のような人間が、頭のいい報道界に説教する必要はないはずだ。

 文在寅大統領がめざしてきたのは、昨年韓国の平昌(ピョンチャン)オリンピックに「南北合同チーム」が参加した通り、同じ民族同士が対立させられてきた南北朝鮮の平和的統一という、最大の難しい問題なのだから、韓国政府批判はやめなさい。

 加えて、日本のテレビ報道界は、歴史を知らなすぎる。ここまでは、韓国の国内事情を中心に話を進めてきたが、そもそも、日本のテレビ報道界が文在寅批判をスタートしたのは、昨年2018年10月30日に、日本の植民地統治時代に日本企業が朝鮮人に強制労働をさせたことに対して、韓国大法院(最高裁判所)が賠償を命じる判決を出してからだ。その時、テレビ報道界は一斉に「賠償する必要はない」というトーンで、韓国を非難した。

 いいかね、1939〜1945年の強制連行労働者は、『朝鮮人強制連行の記録』(朴慶植著、未來社)では72万人以上、『太平洋戦争下の労働者状態』(法政大学大原社会問題研究所編、東洋経済新報社)では82万人以上としているが、日本政府の計画では初期にこの朝鮮人労働者を「供出」させたとある。辞書を引いてご覧なさい。供出っていうのは、物資に使う言葉だよ。朝鮮人は、日本人によってモノ扱いされたんだ。日本のテレビ・新聞は徴用工(ちょうようこう)と呼んでいるが、徴用なんて生やさしい話ではない。

 それをやったのが、私の祖父たちの世代なのだから、賠償を拒否する日本人を私が一喝したくなる気持は分かるだろう。1910年に日本の韓国統監・寺内正毅(てらうち・まさたけ)が韓国と日韓併合条約を締結して朝鮮を植民地化し、自ら初代・朝鮮総督に就任した当日、朝鮮の首都・京城(けいじょう)=現ソウル=で写真館を経営していた私の祖父が寺内に呼ばれて、韓国併合の祝賀会を撮影した。その後、祖父は京城商工会議所議員にトップ当選しているのだ。

 幸いにも、1945年8月15日に日本が白旗を掲げて無条件降伏したので、わが祖父は無一文になって日本に帰国したが、日韓併合も強制連行も知らなかったわれわれの世代が、「私は赤ちゃんで何も知らなかったので、日本は賠償する責任はありません」なんて言ってはいけない。

このニュースに関するつぶやき

  • 国家保安法の廃止を今の韓国の国民に問うといい。今の韓国なら一発で廃止できたはず、何故やら無い?日本隠しの為、文が変わってしまったと言う事です。反日なら日本由来の法律と言うだけで今なら即廃止でしょ。
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  • ちょっと何言ってるかわからない🤪
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