次世代F1マシンにグラウンドエフェクトが復活か。バトル促進策の目玉とF1が発表

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2019年07月18日 08:11  AUTOSPORT web

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F1が発表した2021年F1コンセプトカーの画像
F1が2021年の新レギュレーション案において“グラウンドエフェクト”を再導入しようとしていることが明らかになった。これこそがバトルを活発にするための有効な策であるとF1上層部は考えている。

 2021年に向けてテクニカルレギュレーションの大幅な変更が行われる予定となっており、F1、FIA、チームが協議を続けている。F1は17日、その規則案の概要を発表した。

 F1は、新レギュレーションのコアとなる4つの原則として、「よりレースをしやすいマシン」「より競争の激しいグリッド」「あっと言わせるマシン」「経済的に実現可能な選手権」を発表。その最初の項目の鍵となるのが、アンダーボディの空気を利用してダウンフォースを得る、グラウンドエフェクトの復活であるという。

 現在のF1カーは、ダウンフォースを主にウイングやバージボードなど、マシン上部の空力コンポーネントによって生み出している。1970年代からグラウンドエフェクトカーが登場したものの、安全性の問題から禁止され、それ以来、マシンのフロアはフラットにすることが求められている。

 しかし2021年にバトルをしやすいマシンを導入することを目指す技術者たちは、ダウンフォースの生み出し方についてのアプローチを変更しようとしており、マシン上部のデザインをシンプル化し、フロアにベンチュリトンネルとディフューザーを設けることを考えた。これにより前のマシンに近づきやすくなると、FIAのシングルシーター技術担当責任者であるニコラス・トンバジスは言う。

「小さなコンポーネントの多くが取り除かれ、今のマシンよりもシンプルになる。特に、サイドポッドのフロント部とフロントウイングにそれが顕著にみられる」とトンバジス。

「ベンチュリトンネルのような形で、マシン下にディフューザーが設けられる。サイドポッド下の前部から後部にかけてトンネルが設けられるのだ」

■「前のマシンに近づくことによるダウンフォース低下を5〜10パーセントに抑える」

 この効果について、トンバジスは次のように説明している。

「現在のマシンは2台分の距離まで前のマシンに近づくと、後ろのマシンはダウンフォースをほぼ50パーセント失うため、ついていくのが難しい。さらに、タイヤにもダメージを負うのだ」

「理由はふたつあり、ひとつはマシンがスライドしやすくなること。もうひとつは、タービュランスを受け、動きが遅い空気のなかで走ることで、タイヤとマシンの温度が下がらなくなることだ」

「しかし、(新規則では)後ろを走るマシンは今よりはるかにクリーンな空気のなかで走ることができる。マシン2台分の距離まで前のマシンに近づくことによるダウンフォース低下が約50パーセントだったものが、(2021年のマシンでは)5〜10パーセントのロスに抑えられる」

「つまり、他のマシンの後ろをついていくことによるダウンフォース低下を大幅に抑えることになるのだ」

「大きな目的のひとつは前のマシンから発生される乱れた空気を改善し、後ろを走るマシンのパフォーマンス低下を大幅に抑えることである」

 後続のマシンのタイヤがダメージを受ける問題に対応するため、ピレリタイヤにも変更がなされる。現在の13インチから18インチに変更され、デグラデーションがなく、ドライバーが今よりタイヤマネジメントに気を配らずにレースができるタイヤを作ることをF1側はピレリに求めているという。

「(予想しづらいレースにするために)我々がピレリに依頼してきたことは完全に間違っていた」とF1のチーフテクニカルオフィサー、パット・シモンズは言う。

「デグラデーションを高くするという目標は進むべき道ではなかった」

 2021年の新レギュレーションは今年10月末までに明らかになる見込みだ。

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