ホーム > mixiニュース > スポーツ > 野球 > 脅威の25奪三振、一人で三重殺…夏の甲子園、地方予選の「神ってる記録」

脅威の25奪三振、一人で三重殺…夏の甲子園、地方予選の「神ってる記録」

1

2019年07月18日 16:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真福島工戦後、インタビューに答える日大東北・斉藤投手 (C)朝日新聞社
福島工戦後、インタビューに答える日大東北・斉藤投手 (C)朝日新聞社
 今年も甲子園出場をかけた夏の熱い戦いが全国で行われているが、懐かしい高校野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「思い出甲子園 真夏の高校野球B級ニュース事件簿」(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、全国高校野球選手権大会の地方予選で起こった“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「“神ってる”プレー&記録編」だ。

【写真特集】あの伝説のマネージャーも登場! 増刊『甲子園』の表紙を飾った美少女たち

*  *  *
 27個のアウトのうち、なんと25個までが三振という「神ってる」記録が誕生したのが、1983年の福島大会3回戦、日大東北vs梁川だ。

 日大東北の左腕・斉藤勝己は、内外角の高めをつく直球と低めに決まるカーブのコンビネーションで初回から三振の山を築く。1回2死後から6回2死まで15人連続三振を記録するなど、付け入る隙を与えない。

 14対0とリードした9回も連続三振であっという間に2死。しかも、この時点で安打を1本も許していなかった。

 だが、1番・斉藤正勝にカーブを中前にはじき返され、あと1人でノーヒットノーランならず。それでも次打者を空振り三振に打ち取り、夏の地方大会では、34年に京都商の沢村栄治(元巨人)が記録した「23」を更新する25奪三振、被安打1、与四球1で完封勝ち。「初回の四球と9回の安打があったから、80点の出来です」と自己採点した。

 そして、翌日の4回戦、福島工戦でも新たな“伝説”が生まれる。

 連投の斉藤は、直球のスピード、コントロールとも今ひとつと見ると、前日2割程度だったカーブの割合を倍近くに増やし、打たせて取る投球を心がけた。

 投げつづけているうちに、直球もスピードが乗りだし、外角高めにビシビシ決まる。奪三振こそ11と減ったが、前日同様、9回2死までノーヒットノーラン。今度こそ快記録が誕生すると思われた。

 ところが、1番・加藤新一にカーブが真ん中に入ったところを中前に打たれ、またしても目前で快挙を逃す羽目に……。2試合連続ノーヒットノーランはあっても、2日連続「あと1人でパー」はおそらく前代未聞だろう。

 そんな記録にも記憶にも残る福島のドクターKも、4日連続試合が組まれた不運もあり、4連投目の準決勝で金沢健一(元ダイエー)の棚倉に延長10回の末、0対2と敗退。甲子園のマウンドに立つことはできなかった。

 たった1人で三重殺を完成させて味方のピンチを救う――。プロ野球でもたった1例(67年に阪急・住友平が達成)しかない神業のようなプレーが見られたのは、85年の和歌山大会準々決勝、智弁和歌山vs箕島だ。

 センバツ出場校vs前年夏の代表校の好カードは、3年連続の夏出場を狙う箕島が6回を終わって4対1とリード。

 これに対し、智弁和歌山も7回に浜口実のタイムリーで2点差に詰め寄り、なおも無死満塁。このチャンスに1番・木村庄作は三塁ベース寄りに強い当たりのゴロを転がした。

 難なく打球を処理したサード・中尾宏司は、すかさず飛び出していた三塁走者にタッチすると、自らベースを踏んで2死。そして、一塁に送球して、トリプルプレーであっという間にスリーアウトチェンジとなった。

 しかし、レフトの線審は「ファウル」、主審は「フェア」と判定が分かれる微妙な打球だったため、智弁和歌山・高嶋仁監督が「ファウルではないか」と抗議したが、結局、主審の判定が優先される形で三重殺が成立した。

 最大のピンチを中尾の好守備に助けられた箕島は8対2と快勝。実は、中尾はこの回無死一塁でサード正面のゴロをトンネルしてピンチを広げていただけに、尾藤公監督も「よくあの場面であれだけ冷静なプレーができたものだ」と感心しきり。

 一方、3年連続夏の県大会で箕島に苦杯を喫した高嶋監督は「(7回)あそこでひっくり返すつもりだっただけにこたえました。(選手が「ファウル」だと)自分で判断してプレーを止めてしまったのは、私の指導が至らなかったからです。これで選手も成長してくれるでしょう」と雪辱を誓っていた。

 事実上の決勝戦を制した箕島だが、準決勝で和歌山工に0対2で惜敗。以後、黄金期を迎えた智弁和歌山の厚い壁に阻まれ、夏の甲子園は13年まで遠ざかることになる。

 1イニングにソロ、2ラン、3ラン、満塁のサイクル本塁打が飛び出したのが、00年の高知県大会準々決勝、清水vs明徳義塾だ。

 1回裏、明徳義塾は先頭打者の田窪孝允が左越えに先制ソロ。2番・田山国孝が四球を選び、無死一塁、今度は木下達矢が左越えに2ランを放つ。ファウルフライを落球で命拾いした直後の一発だった。これで3対0。

 さらに1死二、三塁で7番・内村英二郎が左中間に3ラン。なおも攻撃の手を緩めず、先発・徳久雄太をKO。3連打で1死満塁としたあと、4番・清水信任が2番手・倉松丈二の真ん中直球を鋭くとらえ、右翼場外にとどめの満塁本塁打。この回は9安打を集め、一挙12点を挙げた。

 1イニングのサイクル本塁打は、85年の福岡県大会で東筑も記録しているが、1、2、3、4と順番に打ったのは、偶然とはいえ、神がかり的な快挙だった。

 明徳は2回にも木下が左越えに2本目のアーチをかけ、1試合5本塁打の県記録も更新。21対0で5回コールド勝ちした。

 2ランと満塁弾をアシストした田山主将は「過去2試合、序盤に点を取れていなかったので、初回からエンジン全開でいこうと話していた。そのとおりになってうれしい」と会心の結果に満足そうだった。

 だが、高知県内では無敵だった明徳義塾も、同年の甲子園では、2回戦で今江年晶(現楽天)らのPL学園に9点を取られて敗退。上には上があることを思い知らされた。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

このニュースに関するつぶやき

  • 春日部共栄の中里篤史が5回15奪三振で完全試合やったのって夏の予選やったかな? https://mixi.at/abAGdZn
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

あなたにおすすめ

ニュース設定