『トイ・ストーリー4』今年最高のオープニング成績を記録 一躍、2019年夏映画の主役に

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2019年07月18日 17:01  リアルサウンド

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『トイ・ストーリー4』(c)2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 本格的な夏休みシーズンの先陣を切って7月12日に公開された 『トイ・ストーリー4』が、爆発的なヒットを飛ばしている。先週末土日2日間の動員は103万1000人、興収は13億7700万円。祝日(海の日)を含む初日から4日間の累計では、すでに動員185万人、興収24億円を突破。今年に入ってから公開されたすべての作品で最も勢いがあるだけでなく、最終興収255億円の『アナと雪の女王』のオープニング3日間の数字も更新して、アニメーション外国映画の歴代ナンバーワンのオープニング成績を記録した。


参考:『トイ・ストーリー4』なぜファンが戸惑う内容になったのか? 作り手のメッセージから読み解く


 1995年に公開(日本公開は1996年)された『トイ・ストーリー』の1作目はピクサーにとって記念すべき初の長編作品であるだけでなく、今ではすっかり当たり前となったフルCGアニメーション作品として、世界で初めて劇場で公開された長編作品でもあった(製作総指揮には当時ピクサーのCEOだった故スティーブ・ジョブズも名を連ねている)。当時の日本での累計興収は約15億円(当時は配給収入での発表のため推定)。その後、2000年日本公開の『トイ・ストーリー2』の累計興収は34.5億円、2010年公開の『トイ・ストーリー3』の累計興行収入は108億円と、作品を追うごとに興収が前作の倍増以上になるという驚異な伸びを示してきた。


 ディズニー本体のアニメーション作品と違って、近年のピクサー作品は『リメンバー・ミー』や『インクレディブル・ファミリー』のように海外で大ヒットした作品も日本では興収50億円あたりが上限で、今回の『トイ・ストーリー4』に関してもそれなりのヒットになるとは見込んでいたものの、ここまでのロケットスタートになることを予想していた人はあまり多くなかったのではないか。個人的には、『トイ・ストーリー』の生みの親であったジョン・ラセターが社内セクハラ行為が原因でピクサーを離れてから初の新作ということも、事前にこのシリーズ続編に対して全幅の信頼を置くことができない理由の一つだった。


 しかし、そんなことはまったく関係なく、日本の観客の『トイ・ストーリー』愛はすさまじかった。海外では目立っていない今作への否定的な意見も多くあがっているとのことだが、それも『トイ・ストーリー』シリーズへの愛着が深い証拠だろう。今週中にも100億に届く『アラジン』、それ以上のペースで数字を積み上げている『トイ・ストーリー4』、そして「『君の名は。』よもう一度」の期待が高まっている今週末公開の『天気の子』と、一向に気温が上がらず雨の日が続いている2019年の夏は、映画興行にとっては空前の「熱い夏」となる可能性が高まってきた。


■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。


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