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ベトナム人技能実習生「教育施設」の実態 全寮制で外出も制限され…

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2019年07月19日 07:00  AERA dot.

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写真入国前の日本語教育施設で日本語検定4級レベルの日本語を目指す。ほかに日本文化などを学ぶ。月に1度のペースで実習生の学習態度や日本語レベルが送り出し機関から企業にレポートされる(撮影/ジャーナリスト・澤田晃宏)
入国前の日本語教育施設で日本語検定4級レベルの日本語を目指す。ほかに日本文化などを学ぶ。月に1度のペースで実習生の学習態度や日本語レベルが送り出し機関から企業にレポートされる(撮影/ジャーナリスト・澤田晃宏)
 日本で急増するベトナム人技能実習生。彼らが来日する前に日本語や日本文化を学ぶ「施設」の存在をご存じだろうか。その実態をジャーナリスト・澤田晃宏氏がリポートする。

*  *  *
 朝6時、校庭にお揃いのユニホームを着た570人が整列していた。左胸には、日本とベトナムの国旗がプリントされている。日本語での「おはようございます」の挨拶に続き、ラジオ体操が始まった。ここは、ベトナムの首都・ハノイ市内にある日本語教育施設。技能実習生の募集や教育をする送り出し機関が運営している。企業の面接に合格した実習生は、日本に入国するまでの約半年から1年間、ここで日本語や日本文化の勉強をする。

 送り出し機関のスタッフに、その場にいた570人の属性を聞いた。性別は、男性が341人、女性が229人。年齢は、19〜20歳が140人、21〜30歳が394人、31〜40歳が36人。学歴は、高卒が446人、専門学校卒が70人、大学・短期大学卒が54人。中卒は、募集していない。

 日本語教育施設の一日は長い。6時のラジオ体操に始まり、6時半から清掃が1時間。8時から授業が6コマあり、最後の授業が終わるのは16時半だ。夕食後も19時から自習が3時間ある。

 日本語教育施設は全寮制で、消灯時間は22時半。学校の許可が出れば、月に1度、帰省が許されるが、外出には制限がある。施設内にはあらゆる場所に標語が掲示され、最も目立つ場所には「労働は幸福をもたらす」と書いていた。日本でのごみの分別方法や、道路標識などが掲示された壁もある。

 圧巻は階段だ。一段、一段、蹴り上げ部分にベトナム語を併記した日本語の単語やフレーズが貼られている。これでは休み時間も頭が休まらない。

 実習生の寮にも入った。部屋には二段ベッドが六つと、荷物を入れるアルミケースが人数分置かれていた。ベッドの上には薄いござが敷かれているが、これで体は休まるのだろうか。

 ただ、この施設が特別というわけではない。筆者は別の三つの日本語教育施設に足を運んだが、どこも同じスタイルだった。日本にいるベトナム人技能実習生たちは最低半年間、こうした合宿を乗り越えてやって来ている。

 現在、日本の外国人労働者数は約146万人。国籍別に見るとベトナム人は約32万人で、約39万人の中国人に次いで多い。他国と決定的に違うのは、大半が技能実習生か留学生として、いわゆる単純労働に就いていることだ。ベトナム人労働者全体の約85%が、いずれかの在留資格で滞在している。

 特にベトナム人技能実習生は、東日本大震災や大規模な反日運動をきっかけに減少した中国人と入れ替わる形で急増。2011年には約1万4千人だったが、18年には16万5千人と、今やベトナムは最大の技能実習生送り出し国だ。4月に新設された単純労働分野の就労も認める在留資格「特定技能」でも、多くの受け入れが見込まれている。(ジャーナリスト・澤田晃宏)

※AERA 2019年7月22日号より抜粋

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