元甲子園球児に聞いた「野球少年と大人達に伝えたいこと」

0

2019年07月19日 12:14  ベースボールキング

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ベースボールキング

写真
5試合で計77安打。チーム打率.418と驚異的な数字を残したのが2014年夏の甲子園でベスト4に進出した敦賀気比(福井)。そんなチームで中軸を担い25打数8安打2本塁打、打率.320の成績を残した峯健太郎さん。今年の春に日体大を卒業し、今は地元の和歌山で社会人としての第一歩を歩み始めました。そんな峯さんに子ども時代のお話を聞いてみました。



■大学で潰えた、プロになる夢
入学直後の1年春にベンチ入りするなど、大学でも野球能力の高さを示した峯さん。しかし、中学時代に痛めた肩の状態は「ひどいときは塁間も投げられなかった」という。それでも甲子園での活躍を知る周囲からの期待は高く、それに応えたいという一心で痛みに耐えてバットを振った。しかしそんな状態で結果を残せるほど大学野球は甘くはなかった。
「部員が150人もいて、他にも頑張っている選手もいるのに自分だけこんなに試合に使ってもらっていいのかと申し訳ない気持ちになりましたね……」と自責の念にかられたこともあった。
チームのトレーナーに診てもらうも肩の状態は一向に回復の兆しを見せない。満足なプレーができないまま時間が過ぎ、首脳陣や高校時代の恩師とも話し合った末、3年春のリーグ戦終了後に現役を退いた。幼い頃から抱いた「プロ野球選手になる」という夢がここで潰えた。

■小、中学生の時からケアの大切さを知って欲しい
大学卒業後は地元和歌山で就職した。勤務のかたわら、古巣である和歌山シニアで不定期ながら後輩の指導にもあたっている。中学生を指導していて感じるのは、環境の変化だ。まず、自分たちが在籍していた頃より選手数が激減している。
「今は1学年20人ぐらいですかね。明らかに減っています。あとは自分たちがいた頃はコーチが厳しく練習を管理していましたけれど、今はそこまで管理されていなくて、どちらかといえば自由ですね」

中学時代、きつくて辛かったランメニューは子ども達に課しているのだろうか?
「現役時はとにかく走りまくりましたが、今はそこまで走らせることも少なくなりました(笑)。走ることは悪くないと思いますけど、走ったから何が変わるかと言われると……考えますね。走ったとしても、その後にちゃんと体のケアをしないといけないですね。自分はケガをしてからストレッチをするようになりましたけど、ケガをしたことでケアの大切さを知りました。だから、今野球をやっている子どもには小、中学生の時からケアの大切さを感じて疲労を取ることやストレッチをどんどんやって欲しいですね。楽しくプレーするためにはストレッチは大前提です」


■子どもが「痛い」と言える環境作りが大事


ストレッチの重要性を唱える峯さんだが、そこには自身の二の舞になる選手が出て来てほしくないという願いがある。
「もっと野球がしたいのに、ケガのせいで断念することほど悲しいことはないですから。特に子どもの頃は痛いと思っても自分からは言うことがなかなかできないものです。気づかないまま悪化することもあるので、親を含めた周りの大人が気づいてあげられる環境、子どもが痛いと言える環境を作ることが大事だと思います」。

肩の状態が限界になってからは野球が嫌いになったこともあるという峯さん。今は野球に対してどんな思いを抱いているのか聞いてみた。
「野球をやってきたことは全く後悔していません。むしろやってきて良かったとしか思えないですね。相手を敬う大切さ、挨拶、礼儀などすべてが社会に出た今に繋がっていると思います。
高校時代に和歌山から5時間近く車を走らせ、福井まで試合の応援に来てくれた家族、自分を指導してくださった指導者の方々、支えてもらった仲間達には感謝の気持ちしかありません」

最後に峯さんにこんな事を聞いてみた。将来、子どもができたら野球をさせたいですか?
「自分の子どもには絶対に野球をさせたいですね。それが今一番の楽しみです(笑)」
(沢井史/写真:本人提供)

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定