声優・駒形友梨「春夏コレクション」な新譜『Indigo』を語る

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2019年07月19日 17:02  マイナビニュース

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●前作以上に、自身の意見や想いの反映された1枚が完成
昨年6月、シングル「トマレのススメ」でアーティストデビューを果たした声優・駒形友梨。今年2月には1stワンマンライブも成功させ、このたび2ndミニアルバム『Indigo』をリリースする。

タイトルどおり青や水、さらにはリリース時期の夏を連想させる楽曲揃いではありながら、いずれも駒形らしいポップなナンバーとなっており、サウンドと歌声との相性も良好だ。今回はそのリリースにあたってのインタビューを敢行。1stワンマンを通じての心境の変化なども含めて、語ってもらった。
○■ファンの温かさを感じ、信頼を得た1stワンマン

――2月の1stワンマンを経て、歌うことに対しての意識に変化はありましたか?

ワンマンまでは、自分ひとりをみなさんが観に来てくれるから「自分が、みなさんを楽しませないと!」って思っていたんですよ。でもみなさんがいちばん持って帰りたいものって何かな? と考えると、私はダンスがすごく踊れるわけでもないし、お喋りが上手なわけでもない。やっぱり私の歌を聴きにきていただいていると思うんです。だからとにかく歌に没入して集中して、ひとつでも多くの表現を歌に乗せていく。それが私のスタイルみたいになっていくんじゃないかな? ……っていうのは、ライブ後に考えました。

――それも、実際にライブを経験したからこそ生まれた考え。

はい。コンテンツのライブは、踊りも交えて「みんなで盛り上がる」もので。それ自体すごく楽しいし、みなさんもそれを求めて来ているので、自分のワンマンについても「そうしなきゃ」と思っていたんです。でも実際にやってみた自分のワンマンと今まで出演してきたライブを比べ、自分の想いを整理していった結果、今は「別に、そこに強く意識しなくてもいいのかな?」っていう気持ちのほうに傾いている、という感じですね。

――ライブに対する先入観みたいなものが取っ払われた。

そうですね。そう思えるぐらい、1stワンマンでのみなさんの表情が柔らかくて、空気も温かくて……勝手かもしれないですけど、何に対しても「いいよ」って言っていただけるくらいの穏やかさを感じたんです。だからこれからはもっと、自分のやりたいことをワガママにやってみるのもアリかなって思いました。

――そのワンマンを経てリリースされる『Indigo』ですが、製作にあたってのコンセプトはどのようなものなのでしょう?

最初の話し合いでは、どこか1stミニアルバム『〔CORE〕』の延長線上にあるようなイメージで作れたらいいね、っていう話をしていて。発売時期もあって、「『〔CORE〕』が秋冬コレクションだとしたら、『Indigo』は春夏コレクション」みたいなイメージで走り出しました。

――収録曲それぞれについてもリクエストをされた?

はい。夏のアルバムということで、「夏っぽい、ドライブに似合う曲をぜひ1曲」というお話をさせていただいて。そのほかにも柔らかい雰囲気の曲とか、ちょっと幻想的な曲とか。あとはバラードとか、そういうイメージを何個か挙げさせていただいて。以前は「提示されたものに対して意見を言う」という感じだったんですけど、今回は「こういうのがやりたいです」っていう私のイメージをもとに曲を集めていただいたり、「こういう世界観がいいです」って歌詞のリクエストをして。ありがたいことにそういうふうに私の意見をもとに考えていただく機会が多かったので、前作以上に私の考えや想いがすごく反映されたアルバムになっていると思います。
○■リード曲「ララルハレルヤ」には、激しくはないものの夏らしいワクワクさが

――そのなかで、ドライブ曲というとリード曲の「ララルハレルヤ」になると思います。サウンドもポップですが、歌詞を読むとちょっと悲しい部分があったりもしますよね。

そうなんです。歌詞を結城アイラさんに書いていただいたんですけど、「普段お仕事とかをすごく頑張ってやっているけど、日々のストレスとかモヤモヤが溜まりに溜まって耐えきれなくなって、思い切ってひとりで遠くにドライブに出かける、っていう感じで書いてください」ってお願いしたんですよ。しかもこの曲ができる前に決まっていたアルバムタイトルも、ちゃんと入れてくださったのも、すごくうれしかったです。

――サウンド的にはいかがでしたか?

夏といっても「遊ぶぜイェーイ!」みたいなハイテンション過ぎる感じではなくて、テンポ感もありながらちょっと懐かしい感じもありつつ、激しくはないけど心がワクワクするようなメロディラインの曲なので、そこがすごく気に入ったんです。

――少し『〔CORE〕』の「クロックワイズ」もほうふつとさせるような曲調で。

たしかに! やっぱり私の曲たちは、どこかちょっとこう懐かしいような感じがしますよね。あと、「クロックワイズ」も「ララルハレルヤ」も、強い女性が主人公なんですよ。なので、強い女性なんだけどその弱い部分を歌っている、っていう共通点もあるかもしれません。

――レコーディングはいかがでしたか?

自分からも歌い方を提示しつつ、それよりも大げさに、それぞれの言葉が立つような歌い方というか……言ってしまえば「ちょっとかわいらしく歌ってみてください」というディレクションをいただいたんですよ。夏のウキウキするような気持ちのノリのいい曲なので、そういうニュアンスも多めに入っていると思います。

――ちなみに、この曲もなんですけど、今回は結城アイラさんが4曲も作詞をされていて。

そうなんです。今回、作詞は私かアイラさんかということで、女性しか歌詞を書いてないんです。より女性に共感していただきやすいんじゃないかなって思いますし、男性の方にも「女の人ってこんなこと考えてるんだ」みたいに感じ取れるところもあるんじゃないかなと思って。これはこれで、いいアプローチだなって思いましたね。

●書きたいテーマが明確だった、ふたつの自作詞曲
○■“笑顔”をテーマに、誰にでもあてはまる形に仕上げた「おそろい」

――では、続いて駒形さんご自身が作詞された2曲についてお聞きしたいのですが、まず「おそろい」は甘い感じの世界観の曲で。

もともと、「人の笑顔って、どこから来るんだろう?」ということをテーマに歌詞を書きたくて。その人の笑い方って家族だったり、よく会う友達とか憧れている人だったり、自分にとってすごく大切な人からちょっとずつもらっているものなんじゃないかな、と思うんですよ。で、近い距離で笑顔が移っていくとなると、やっぱりその……恋人同士ということにしたほうがわかりやすいのかなと思って(笑)。なので、みなさんには相手を自分の家族とかに置き換えていただいてもいいですし、好きに解釈していただければ。決して私の実体験ではないので、そこだけは誤解しないでいただきたいです。

――あはは(笑)。

テーマはもちろん私が感じたことではあるんですけどあくまで歌詞という、そこだけは言っておこうと思いまして……(笑)。でも、独特な笑い方の人がまわりにいたりすると、それがかわいかったりその人の個性になっていて、いいなと思ったりもしているんですよ。そういう私の普段の想いとかは、反映されていると思います。

――歌声に目を向けますと、おっしゃったようなテーマを踏まえた歌詞なので、少々歌のアプローチも甘めで。

そうですね。とにかく距離が近いほうがいいかなと思って、より話しかけている感じで歌いました。だから、録っている最中もですけど録ったあとは本当に恥ずかしくて(笑)。人に書いていただいた歌詞は「そういう世界観だから」って歌えるんですけど……だからこの曲だけ、しばらく聴けませんでした(笑)。でも妹に聴いてもらって「『おそろい』すごく好きだよ」って言われてからは、「あー、よかったぁ……」って安心して。それからは、ちょこちょこ聴いていますね。

――人によっていろいろ立場とかを置き換えられるということは、ひとりの人にとってもすごく長く聴ける曲になったと思います。

うれしい……それは結構、意識して書きました。言いたいことはしっかり決めていたんですけど、そのあとの言葉選びではなるべく想像の余白みたいなものができるよう、あまり限定しすぎずに書こうと心がけています。
○■「優しい雨」では、荒削りさが良好な化学反応を生む

――ということは、もう1曲「優しい雨」も歌詞を書かれるときには同じようなアプローチを?

そうですね。「きっと一生忘れないし、思い出すたびに悲しい気持ちになるんだろうな」と思うぐらいの悲しいことやつらいことがあったとしても、時が経つにつれて毎日は思い出さなくなっていったり、思い出したとしても、逆に楽しかった記憶だったりするじゃないですか? 「それって、いいことなのかな?」とか、「”忘れる”って、やっぱりよくないことなのかな?」みたいな疑問が自分の中にあって。それを、この曲では書こうと思ったんです。曲の雰囲気自体は切なくもあるんですけど前向きで優しい感じなので、歌詞もそれに合わせて、最終的には前向きになるような形で書かせていただきました。

――歌う際にも、世界観はすんなり作れた?

普段は1コーラスにわけてそれぞれを3回ずつぐらい歌うんですけど、この曲はそんなに長い曲でもないので、まるっと録ることになって。詞を書くのに必死で、事前にたくさん練習をしていったわけではなかったんですけど、その危うさみたいなものがディレクションをしてくださったアイラさん的にはよかったとおっしゃっていただけたんです。その1回目を聴いて、反省を活かそうと思いながらもう1回だけ歌ったんですけど、結局いちばん最初に歌ったものがすごくよかったので、それが採用になっています。

――歌いこんで臨まれたら、また違う形が出来上がっていたかもしれないですね。

そうですね。これから発売記念イベントなどで歌っていくなかで「ここはもっとこういうふうに歌っていきたい」っていうものも出てくるでしょうし。これからまた変わっていくのかもしれないですね

●「マリオの、スター状態中みたいな」
○■「アクアリウム」では、特に感情の押し引きを感じながらの歌唱に

――そのほか結城アイラさんが歌詞を書かれた3曲ですが、1曲目に置かれた「アクアリウム」は『Indigo』というタイトルともマッチして、サウンドも含めて水というものを強く感じました。

やっぱり『Indigo』っていうタイトルのアルバムがこの曲から始まることで、よりこのアルバムの世界観に深く引き込むという、すごく大事なポジションの曲なんですよね。歌詞の意味もすごく抽象的で、読めば読むほど解釈が変わっていったり新しいものに気づいたりするようなものにできたと思うんですよ。曲自体も幻想的で水の中を泳いでいくような感じがするところが、すごく好きで。歌っていても、この曲がいちばんテクニカルに歌えたんじゃないかな、って思います。

――Aメロから三連符も出てきて、そういった要素がより水の中にたゆたうようなイメージを感じさせてくれました。

歌い方も序盤は感情の波があまりないようにして、それがサビに行くにつれて、波が打ち付けるみたいに感情もすごく前に出ていったり、かと思えばスッと引いたりさせていて。そういう感情の押し引きみたいなものを感じながら歌っていましたね。それに「アクアリウム」という言葉のおかげで、より波とか水を自分も感じることができたので、すごいイメージしやすかったです。自分でもとてもお気に入りで、最近いちばん聴いている曲だと思います(笑)。

――ただ、この曲を書かれた矢野達也さん、「invincible self」では攻めてきたなぁと思いまして。

そうなんですよ。矢野さんからは毎回挑戦状みたいな曲を叩きつけていただいています(笑)。これも最初聴いたときに「え? ここ全部歌詞?」みたいに思うぐらい言葉がたくさん入るし、高いし速いし……でもそれも、「きっと駒形なら歌えるだろう」っていう信頼の形かな? って思っています。私の曲にあんまりこういうアッパーな曲が少ないので、ライブではすごくみなさんと一緒に楽しめそうな曲ですし。……聴いていると、楽しいですね(笑)。

――できたものを、聴いていると。

はい。歌詞については「マリオの、スター状態中みたいな」っていうリクエストをさせていただいたんですよ。「この曲を歌っている間や聴いている間は、もう無敵!」みたいな、前に突き進んでいくパワーみたいなものがあったらうれしいですとお伝えした曲なんです。だから、歌いだしたらきっと無敵になれるんじゃないかな? と信じて、リリイベを楽しみにしています。きっとお客さんも、一緒に参加しやすい曲だと思うので。
○■本作唯一の悲しい曲も、重くなりすぎないようアプローチ

――そしてもう1曲の「August 31」ですが、今作で明確に悲しみが前面に出ている曲は、実はこの曲ぐらいなんですよね。

そうなんです。今回「『〔CORE〕』は悲しかったから、明るい曲を作っていきましょう!」という形で作っていたら、気づいたら悲しい曲が全然なくて。それで「そういう曲も入れよう!」となってから、曲を集めました。

――やっぱりそういう曲は、1曲は欲しい。

欲しいですね。ずっと幸せだときっと疲れちゃうし(笑)、人生って楽しいことばかりじゃないですからね。

――この曲、タイトルにすごく取り残された感があって、そこも素敵だなと思いました。

歌詞については「夏と秋の狭間に取り残されて、そこから抜け出せないっていう葛藤みたいなもの」というお話をしたら、まさにバッチリなタイトルと歌詞をいただきました。

――以前、ナチュラルに歌うと声が少し暗めになってしまうとお聞きした記憶があるのですが、この曲ではそういった部分は作用しましたか?

最初キーが低く感じたので上げるかどうかという話も出たんですけど、曲の雰囲気が変わってしまうのでキーはそのままにしたんです。でも、そのキーに乗せて私が普通に歌うと結構重たい雰囲気になるので、思っているよりは明るい音で軽めに、重くなりすぎないように歌っていくよう心がけました。

――そしてスキャット入りの神秘的な「night sea」で終わることで、1曲目の「アクアリウム」にも戻れるような感じがして。

あ、そうなんです! そういう雰囲気になったらいいなって思って、曲のいちばん最後にまた水の音を入れてくださいとお願いしました。最初は「アクアリウム」はショートバージョンで、プロローグとして冒頭に入れようかっていう話もあったんですけど、『〔CORE〕』とは逆に最後に、エピローグになる短い曲をつけることになりました。

――さて、『Indigo』が発売されるとさらに持ち歌が増えるので、2ndワンマンへの期待もより高まります。実現するとしたら、新しく挑戦したいことはありますか?

1stではアコースティックコーナーが本当に楽しかったので、生で演奏する人たちと呼吸を合わせて、そのときだけの演奏をしたいです。曲の間にも映像を流して世界観を作ったり……「曲が終わったから終わり」じゃなくて、ライブが終わるまで空間全体を統一した空気感みたいなものを作ったり、そういういろんな演出には挑戦してみたいですね。(須永兼次)

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