ホーム > mixiニュース > スポーツ > 野球 > プロ野球でも、メジャーでも達成されていない偉業を高校生が... 前人未踏のノーノー

プロ野球でも、メジャーでも達成されていない偉業を高校生が... 前人未踏のノーノー

2

2019年07月21日 17:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真出水中央の林真司投手 (C)朝日新聞社
出水中央の林真司投手 (C)朝日新聞社
 今年も甲子園出場をかけた夏の熱い戦いが全国で行われているが、懐かしい高校野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「思い出甲子園 真夏の高校野球B級ニュース事件簿」(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、全国高校野球選手権大会の地方予選で起こった“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「ノーヒットノーラン編」だ。

【写真】あの伝説のマネージャーも登場! 増刊『甲子園』の表紙を飾った美少女たち

 外野ゴロアウトが功を奏して、宮城県大会史上初の完全試合を達成したのが、泉の2年生右腕で身長169センチの井上誠だ。

 1992年の県大会1回戦・松島戦、球威はあっても四死球で自滅しやすいタイプだという井上は「初球ストライクを取れ」という監督の指示を守り、得意のスローカーブから入り、速球と鋭いカーブを内外角に散らす巧みな投球で1人の走者も許さない。「5回くらいから、カーブ、スライダーが面白いように指にかかるので、ひょっとすると、と思った」そうだが、スタンドも記録を意識してざわつきはじめた。大会本部のある宮城球場でも、快記録達成に備えて、県高野連関係者が慌ただしく過去の記録をチェックしだした。

 だが、自らのタイムリー二塁打も含めて6対0とリードした7回、松島の先頭打者・小幡達矢の打球が右前に弾む。ついに記録が途切れたか? 応援席からも悲鳴が上がった。

 ところが、ここで、まさに野球の神様がもたらしたような“奇跡”が起きる。ライト・赤門真人が素早く打球を処理すると、一塁に矢のような好返球。間一髪ライトゴロに仕留めたのだ。赤門はもうひとつ、右直も好捕しており、2度にわたって同学年の井上をアシストした。

 バックの堅守にも助けられて、最後の打者も遊ゴロに仕留め、ゲームセット。奪三振16、内野ゴロ9、外野ライナー1、外野ゴロ1という内訳で、見事パーフェクトを達成。「先輩のためにもと頑張ってきて、自分がこんな記録を作るとは……」と信じられないような様子ながら、「右翼手がヒットかと思った当たりを一塁でアウトにしてくれて助かりました」と感謝しきりだった。

 井上は2回戦の岩ケ崎戦でも7回から3番手でリリーフし、2イニングをパーフェクトの8回コールド勝ち。3回からリリーフした3回戦の中新田戦では、2人目の打者に死球を与えたものの、7イニングを被安打4でゼロ封。そして、4回戦の石巻商戦で3試合ぶりに先発したが、8回、26イニング目に大会初失点を許し、0対1と惜敗した。

 5回コールドの参考記録ながら、打者15人をオール三振に切って取る快挙で完全試合を達成したのが、根室の橘啓介だ。

 93年の北北海道大会釧根地区Aブロック2回戦の厚岸水産戦、公式戦初先発を果たした背番号19の2年生は、184センチの長身を利した速球を武器に、初回を3者連続三振に抑えると、「投げているうちに段々良くなった」とエンジン全開に。コントロールも決まり、2、3、4回と打者9人をいずれも三振に打ち取り、5回の先頭打者も三振。ここで初めて「ノーヒットノーランを意識した」という。

 これが力みとなり、14人目の打者となった代打に対し、初球から3球続けてボールと苦しくなるが、開き直って「とにかく真ん中に投げた」のが功を奏し、三振に打ち取った。

 そして5回2死、最後の打者を空振り三振に仕留め、全員三振のパーフェクトを達成。74球中ファウルはわずか5本。うち前に飛んだのは、一塁方向への1本だけと球威で圧倒した。

 前年地区代表決定戦で敗れた雪辱を期す同校は、次の釧路東戦では、後輩の快挙に「僕もぶざまな投球はできない」と奮起した3年生エース・木根崇臣が力投。2年連続代表決定戦に駒を進めたが、残念ながら橘の出番がないまま、釧路緑岡に2対4で敗れた。

 プロ野球でも、メジャーでも達成されていない延長14回ノーヒットノーランという、とてつもない快記録が生まれたのが、05年の鹿児島県大会2回戦、出水中央vs中種子。

 出水中央の右下手投げ、林真司は初回、1、2番打者を連続三振に切って取り、2回も4、6番を三振と好調な立ち上がり。3回1死から死球で初めての走者を許し、送りバントで2死二塁のピンチも、落ち着いた投球で次打者を三振に打ち取った。その後、4回にエラー、5回に四球の走者を出したが、いずれも後続をピシャリと抑え、6〜9回はいずれも3者凡退。普通なら、この時点でノーヒットノーラン達成である。

 ところが、味方打線も寺田昭二を打ちあぐみ、初回からゼロ行進。「ノーヒットノーランは9回に知って狙っていました。早く点を取ってくれと思っていたんですけど……」というエースの思いとは裏腹に、試合は延長戦へ。

 そして、0対0で迎えた14回裏、出水中央は1死一、三塁のサヨナラチャンスに林自らが打席に。「自分のバットで決めてやる」の執念が乗り移ったかのように痛烈な打球を放つが、不運にもショートへのライナーとなった。一塁走者が飛び出しており、併殺でスリーアウトチェンジと思われたが、この日先発して11回途中に肘の痛みで降板後、ショートに回っていた寺田は、肘痛が影響してか、痛恨の一塁悪送球。ボールがグラウンドを転々とする間に三塁走者がサヨナラのホームを踏み、この瞬間、延長14回ノーヒットノーランが達成された。

 甲子園では、57年に当時早稲田実の2年生だった王貞治が延長11回ノーヒットノーランを達成しているが、それを上回る快挙。180球を投げ切った林は「やっているときは疲れを全然感じなかったけど、今はすごくきつい」と疲れきった様子だった。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

このニュースに関するつぶやき

  • 県高野連関係者が慌ただしく<<落ち着けよタコがw
    • イイネ!1
    • コメント 1件

つぶやき一覧へ(1件)

あなたにおすすめ

ニュース設定