サリバン氏の言う”怒りと悲しみ”は、野蛮で残酷な殺害方法に向けられている。密猟者はゾウから手っ取り早く牙を取り出すために毒矢や銃でゾウを倒し、死後硬直が始まる前にまだ生きているゾウの顔をチェーンソーでえぐり取り、鼻を切り離す。逃走する密猟者が手に入れるのはマネーだ。環境保護団体「Big Life Foundation」は、密猟者の象牙の売値は1キロ約1万8千円(170ドル)、闇市場の最終価格は1キロ約21万5千円(2,000ドル)になるとの調査結果を公表している。ビジネス優先のこんな残酷なやり方は、到底許されるものではないだろう。
ボツワナのモクウィツィ・マシシ大統領は今年5月、ゾウの数が16万頭に達したことで環境収容力が限界に達したうえ、多数の家畜に被害が出ているなどの理由から5年に及んだゾウの狩猟禁止措置を解除していたが、環境保護団体からは非難の声があがっていた。動物保護団体「Elephants Without Borders」はボツワナ国内のゾウの数は13万頭で、2017年〜2018年に密猟により400頭のアフリカゾウが国内で犠牲になったという調査結果を報告している。ゾウの狩猟解禁と急増する密猟により、犠牲になるゾウの数はさらに増加が見込まれるという。密猟に対する早急な対策が求められるのは言うまでもない。