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来年から10モデル以上を発売! トヨタ・寺師副社長、「EVを日本でどう売るか?」を語る

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2019年07月23日 06:31  週プレNEWS

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写真ついにEVに本腰を入れたトヨタ。2020年代前半には世界で10車種以上をラインナップする計画で、試作車をズラリ披露した
ついにEVに本腰を入れたトヨタ。2020年代前半には世界で10車種以上をラインナップする計画で、試作車をズラリ披露した

6月7日、都内で「〜トヨタのチャレンジ〜EVの普及を目指して」と題された記者会見が開催され、来年からのピュアEVの販売が宣言された。その全貌に迫るべく、自動車ジャーナリストの小沢コージがトヨタの副社長・寺師茂樹(てらし・しげき)氏を直撃した!

■EV嫌いのトヨタがいきなり攻めモード!

──いきなり超本気ですね! 来年、日本で超小型EV(電気自動車)を発売すると。しかもEV専用プラットフォームのe-TNGA(イー・トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)まで造ってあり、10車種以上をグローバル展開すると。

ハイブリッドばかりで本格EVを造ってこなかったことに対し、やっぱし焦ってきたということですか?

寺師 正確には違います。私自身、アメリカでテスラとRAV4EVを開発してEVの良さはわかっていました。でも昨年、次世代モビリティ「e−Palette」を出しても、アレをトヨタのEVと思ってない人がとても多くて、もう説明するしかないなと。

──ズバリ電動化計画を5年前倒しした理由は? 世界的なEVブームに乗った?

寺師 前倒しの理由はEVがブームだからではなく、「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」技術の進化によりビジネスチャンスが一気に広がったことが挙げられます。また、競業プレイヤーもGoogleやAppleなどIT系に代わり、もはや競技が変わってしまったこともあります。

──なるほど。それにしてもe-TNGAには驚きました。共有プラットフォームで大小EVを造るのはもちろん、取り急ぎミディアムSUVをスバルと共同開発すると。

ただ、トヨタは2年前にマツダと「EV C.A.スピリット」という会社をつくり、その後、ダイハツや日野自動車も巻き込んだニッポン連合を構築している。てっきり、このままEV C.A.スピリットとEVの開発をやり続けると思っていましたが。

寺師 もちろん、基盤技術はEV C.A.スピリットから供給されますし、スゴく勉強になっています。ただ、差し当たりマツダさんは独自開発を進められていますので。

──なるほど。ところで全体的に言えることですが、ピュアEVの根本的な電池問題は変わっていません。重くて価格が高く航続距離も基本短い。それがピュアEVです。

寺師 まぁ、だいぶ良くなってると思いますよ。電池メーカーもものすごく頑張って、電池の価格も下がっている。これならビジネスとして成立できる。先は長いと思いますが、ひと昔前ほどなんともならないってことはないかと。

──図らずもホンダもピュアEVのホンダeを発表しました。ただ電池サイズは35kWちょいで航続距離は約200km。対する欧米メーカーは400kmとか500km走る。トヨタは欧米のEVに対抗できますか。

寺師 さっきのEV C.A.スピリットですが、僕が社長で、マツダ副社長の藤原清志さんが開発トップでやっているんですが、考え方が全然違うんですよ。

僕らはCセグメントのそこそこ大きいコンパクトカーなどを想定し、どうしても電池容量や航続距離が欲しくなったりしますが、マツダさんは軽からトラックまでの幅で考えている。さらにダイハツや日野でシミュレーションをやると電池容量が違うどころか違う電池を使ってもいいと考えたりする。

──つまり、メーカーによってEVに対する感覚が全然違うワケですか?

寺師 それこそが僕らの大きな学びで、EVの需要は一律じゃないワケです。

──ピュアEVはプリウスのように年間30万台売る大量生産モデルではないってお話ですね?

寺師 過疎化に困っている地方とか、都会で駐車場はないけどちょっとだけクルマを使いたい、そういうところにEV需要はあるなと。

──とはいえ、テスラのモデル3やVW(フォルクスワーゲン)のID.もそうですが、欧米勢はVWゴルフやプリウスの代わりになるEVを造っている気がしますよ。

寺師 そうかもしれません。でも台数の考えでいくと一定量はこちらのほうが「確実にある」かもしれないんです。

──来年日本で発売する超小型EVはどこを狙ってます?

寺師 小型モビリティはいろいろやっています。今回発表した1人乗りの立ち乗りEVは観光地とかで活用できるでしょうし、2人乗りEVは主に地方向けです。免許を返納する寸前の、もうあまりクルマに乗らない人とか。

──高齢ドライバー向き?

寺師 発表会じゃあまり言えなかったんですが、困ってるのはやはり地方のディーラーさんなんです。過疎地だからクルマを売らなくていいという話ではない。

そこでは売る以上に、新しいサービスであり、困っていることをお手伝いする感覚が必要かなと。そこで免許返納直前の人にオススメなのが、時速60キロ以上出なくて、その分、小さく安くフルに安全装備がつくEVです。もちろん自動運転はなるべく早くつけたい装備ですね。

ご近所しか走らないのであれば本格ナビも必要ありませんし、導入ハードルも下がる。クルマも通常はディーラーで保管し、例えば高齢者が病院や買い物から自宅に戻ったら、またディーラーで充電し、保管しておくとか。

──だったら農家で使う軽トラもEV向きですよね。1日に30kmぐらいしか走らないし、スピードも出さない。電池も10kWあれば十分ですよね。

寺師 そのとおり。実は近所のガソリンスタンドがどんどん減っていて家から50km走らないとスタンドに行けないという地方の声もある。1日30km走るために、50km走って給油するよりは自宅で充電できるほうが楽ですよね。

──ほかにどういう想定が?

寺師 営業車として何千台と軽を持っている会社です。企業の姿勢としてゼロエミッションのクルマに替えたい。だけど普通のEVだと高いし、距離も必要ない。そういう会社が台数の2割から3割は定期的に買い替えていいよという声がすでにある。

──そうやってトヨタのEVは細かく売っていくと?

寺師 ほかにも電力会社とか環境対応を必要とする会社は多いです。あとはいろんな市場のスイートスポットに合わせていかにクルマを造るか。

──需要予測が非常に大切?

寺師 そうです。今までは需要全体に対しEV比率何%とかやっていましたけど、今回は商品企画の段階で国内営業に入ってもらいました。

──これまでの"いいもの"を造れば売れるというプロダクト主導型ではなく、ピュアEVは完全にマーケット主導型のビジネスになると。

寺師 同時にピュアEVはマースやシェアリングと親和性が高く、そもそもEVはコネクテッドと自動運転がセット。そうなると販売台数も1万台とか2万台とか読める。

──それでトヨタは最近東南アジアのGrab(グラブ)とかアメリカのUber(ウーバー)と組んでる?

寺師 そのほうがビジネス構築は絶対に早いですから。

──そうなると売りっぱなし厳禁ですね。かつて三菱自動車が軽トラのEVを出していますが、たぶんロクに農家に売り込んでなかったのかすでに消えています。

寺師 実はそこも勉強しています。弊社の子会社にはバスやトラックを売る日野自動車がありますが、実は販売ではほとんど利益が出ていないんです。

トータルサポートであり、売った後にどれだけ面倒を見るかで利益を出してます。ピュアEVはそれとほぼ同じことになると思っています。もちろん、料金定額のサブスクリプションとも相性はいいと思います。

──残る問題は免許制度や法律です。例えば高齢者向けの小型EVが軽自動車より税金が高かったら売れません。それと1人乗りのEVは現状だと公道をまともに走れない。

寺師 そこは特区にしてもらうとか、地方自治体と相談していきます。

──そこのロビー活動ってトヨタパワー強そうですね。

寺師 だといいですが(笑)。

取材・文・撮影/小沢コージ 写真協力/トヨタ

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